質問: 評価尺度の使用にあたっての著作権違反について

質問の内容 -
ある治療の効果を検討する臨床研究で、外国で作成された評価尺度を用いました。 その尺度の使用にあたっては作成者との使用契約が必要だったので、作成者と直接やり取りをして、使用にあたっての金額を支払い、いくつかの契約条件が書かれた書面に署名し契約を交わしました。 効果検証を行った研究は論文化して公表されたのですが、その後に評価尺度の作成者側から尺度の使用について契約内容に違反しているとの旨の連絡をいただきました。 確認すると自分の確認不足で確かに契約書に書かれた内容に反していること(具体的には、1年の使用期限が定められていたが2か月間程超過してしまったこと、結果・謝辞に使用した尺度が著作権上保護されている旨の文章を記載しなかったこと、指定された引用文献に不足があったこと)がありました。 これらを解決するために先方からは、2つのオプションを提示されました。一つは、尺度の作成者達を外国から招いてその尺度の使用についての講習を研究に参加した全施設が受けること(+日本円で130万円程の要求)、もう一つは、論文を発表した雑誌に(可能かどうかわかりませんが)論文への追記を求めて修正を図ること(+日本円で170万円程の要求)、それらがありました。 上記のような状況なのですが、こういった場合にはどのような対応がよいのでしょうか?
1 この質問に答える
回答:

著作権侵害は出版界では大変深刻な問題なので、慎重な対応が必要です。契約書に定められた期限を2か月超過したとのことなので、著作権保持者が懸念するのも無理はないでしょう。今回は、提示されたオプションのいずれかを取るしかないと思われます。対応を取らないでいれば、ジャーナル論文の撤回や法的措置などの深刻な問題につながりかねません。そうなれば、現在示されているオプションよりもずっと高額な費用がかかる可能性があります。著作権手続きについての同僚たちの認識が十分でない場合は、提案されている講習は有益だと思いますので、ぜひアレンジしてください。そうすれば、多くの人にメリットがもたらされます。2つ目のオプションとして示された論文の修正は、ジャーナルの規定によっては、必須の要求事項になります。

今回の件には真摯に対処し、同僚や上司と相談した上で、できるだけ早くスマートな対応を取りましょう。

 

関連記事:

論文コピー配布時の著作権

著作権譲渡契約書への署名は、ジャーナル掲載日が確定してからでもいい?

著者による無自覚な著作権違反:ケーススタディ


このコンテンツは「ジャーナルへの論文投稿」ステージに属しています。

あなたの論文にぴったりのジャーナルを選びたいですか?個別コーチングプログラムでエキスパートのアドバイスを受けましょう。