著者による無自覚な著作権違反:ケーススタディ

著者による無自覚な著作権違反:ケーススタディ

事例:ある著者の論文がジャーナルにアクセプトされました。論文は短報で、掲載後はオープンアクセスにするという合意がなされていました。アクセプトされてうれしくなった著者は、自分のブログで論文をシェアしました。しかし数日後、ジャーナル編集者からメールが届き、ジャーナルの著作権に関する合意に反したため、論文の掲載を取りやめると言われました。著者は驚き、困惑しました。オープンアクセス論文なら、ジャーナルが著作権を所有しているわけではないと思っていたからです。著者はエディテージ・インサイトにアドバイスを求めました。


対応:ジャーナルのウェブサイトを確認すると、ハイブリッドジャーナルであることが分かりました。つまり、無料でアクセスできる論文と、購読者のみアクセスできる論文が混在するジャーナルだったのです。さらにウェブサイトには、ジャーナルの著作権に関する方針がはっきりと書かれていました。


著者に話を聞くと、ジャーナルのウェブサイトによく目を通していないことが分かりました。論文をシェアしたブログ記事には、ジャーナル名と共に、論文がアクセプトされて出版される予定であることも書かれていました。これは、故意ではなかったにせよ、完全に著作権違反となります。我々は、ブログから論文を削除するよう著者にアドバイスしました。


また、ジャーナルの著作権方針の意味について著者に説明し、彼の間違いを指摘しました。第一に、出版前に論文をシェアすべきではありませんでした。第二に、投稿前にジャーナルの方針を注意深く読むべきでした。出版後にブログでシェアする場合も、オンライン版の論文へのリンクをシェアするか、ジャーナルから事前に許可を取り付けることが必要でした。


著者には、編集者に謝罪のメールを送り、ブログから論文を削除したことを伝えるよう提案しました。そして、著作権違反は故意ではなかったこと、そして原因は自分の認識不足にあると説明するよう伝えました。編集者からの返信には、この件は編集委員と討議した上で決定する必要があると書かれていました。


その後、時間をかけて何度もメールのやり取りをした結果、編集委員会でようやく論文を出版するという合意がなされました。しかし著者は、今後この行為が繰り返された場合は厳しい処置がとられるという警告を受けました。


まとめ:著作権に関する方針はジャーナルによって異なります。アクセスが限定されている従来型のジャーナルや購読ベースのジャーナルでは、著者は、自分の論文を出版し公開する権利をジャーナルに譲渡することになります。たいていのオープンアクセス・ジャーナルでは、著者に非独占的ライセンスを要求することはなく、ジャーナルに著作権を譲渡しなくてもよいことになっています。しかし、すべてのオープンアクセス・ジャーナルがこのシステムを採用しているわけではありません。オープンアクセス・ジャーナルでも、著作権譲渡の方針を採用しているところもあります。著作権の譲渡が必要なジャーナルでは、著者が論文を利用するたびに、ジャーナルから許可を得なければなりません。このことは通常ジャーナルのウェブサイトに書かれており、著者は、論文がアクセプトされた後に著作権譲渡合意書にサインしなければなりません。


著者は、ジャーナルに投稿する前に、ウェブサイトに書かれた著作権や利用方法に関する方針を読み、そこに書かれたすべての条件に従わなくてはなりません。方針をよく理解できなかった場合は、論文をシェアする前に許可が必要かどうかを編集者に確認した方がよいでしょう。著作権の侵害は法的問題です。そのような問題は直接交渉で解決されることもありますが、法的通知が出されることもあり、極端な場合には訴訟や処罰などに発展する可能性もあります。

 

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