質問: 悪質な査読に際した場合に、申し立てを扱う上位機関のようなものはないのでしょうか?

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回答:

良いご質問です。しかし残念ながら、査読のみならず、共著や剽窃を含め、問題が生じた場合に申し立てを行えるような学術出版界の上位機関は存在しません。国際医学雑誌編集者委員会(ICMJE)出版規範委員会(COPE)など、さまざまな指針を示している業界団体はありますが、そこに申し立てを行うことはできません。ほとんどの場合、状況に応じて、ジャーナルが調停者もしくは裁定者となります。


したがって、悪質な査読に際した場合は、あなたの論文やあなた自身にはね返ってくる影響がない限り、ジャーナル編集者に相談するのがベストでしょう。あるいは、上司に助言を求め、代わりに対応してもらうことも考えられます。


今回については、以下の方法を取ることを提案します。

まず、少しだけ休止期間を置きましょう。数日間、査読コメントを見ないようにするのです。数日後に見直してみたら、多少落ち着いて見られるかもしれません。査読コメントを見ても以前より心が乱れないようなら、コメントへの対応に取り組みましょう。この場合はおそらく、時間を置くことで、別の角度から見られるようになっているということです。こうなれば、論文の修正やコメントへの対応に、穏やかな気持ちで取り組めるはずです。次の査読結果は、おそらくより良いものになっているでしょう。

査読コメントへの対応については、以下の記事を参考にしてください:


その方法を取っても、「悪徳」という印象もあなたの気持ちも変わらなければ、原稿を取り下げることを検討してみましょう。その場合は、取り下げる理由(今回なら、査読コメントの悪質性)を編集者に伝えましょう。そうすることが、ある種の「申し立て」となります。当の査読者について、多くの著者からこのような報告があれば、編集者は、査読の依頼をストップするなど、何らかの対応を取るでしょう。ただし、その査読者が分野で確固たる地位を築いていて、依頼を続けざるを得ないこともあるかもしれません。その意味で、複雑な問題だと言えます。


査読プロセスは、出版プロセス全般と同様に、ストレスのかかるものです。でも、徐々にうまく対処できるようになってくるものです。どのようなときに粘り続け、どのようなときに切り替えるべきかも分かってきます。そのあたりのことに関しては、こちらの記事をお勧めします7 Secrets to help you build academic resilience


最後に、建設的な査読コメントもあるということをお知らせするために、励ましの意味も含めて、最近届いたこちらの質問をご紹介しますHow do I best respond to positive feedback from reviewers?

次のステップがうまくいくことを願っています!


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