質問: 研究機関に所属しており、今年度で契約が終了します。現在共同研究を行っている企業から、非常勤という形で仕事にきてほしいと依頼を受けました。

質問の内容 -
共同研究のデータは取得し終わっており、現在論文を作成中です。ただ、この状況で仕事を受けてしまうことで、利益相反のことを心配しています。なお、現在所属中の研究機関には、今後籍だけを置く形となり、報酬は発生しません。共同研究先での報酬も年間20万円以内になると思います。このような状態で、仕事を受けてもよいでしょうか。また、受ける場合に気を付けることは何でしょうか
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回答:

その企業(A社)はすでに共同研究に参加しているとのことなので、あなたがA社で働くかどうかにかかわらず、利益相反自体は存在し続けることになります。ご質問からは、A社が研究や論文執筆にどの程度関与したのか分かりません。単に財政的支援を行なっただけかもしれませんし、A社の社員が論文の共著者になったのかもしれません。A社が研究結果に関心を持っていないとすれば、何も問題はないでしょう。ただし論文著者は、論文投稿時に、あなたの移籍という利益相反について、ジャーナルに開示する必要があります。


A社の正社員になるとしても、状況はほぼ同じです。あなたがもしA社の株を保有するなら、(研究結果がA社に経済的利益をもたらす場合、)あなたはその研究結果から直接的に利益を得ることになります。とはいえ、ご質問からすると、一従業員にとどまることになると推察できるので、状況に変わりはないでしょう。)


確実に行わなければならないのは、論文投稿時に、現在の利益相反と将来的な利益相反について完全に開示することです。決断を下す前に、共同研究先企業で働くことについて、所属先の研究機関に何らかの方針がないかどうかも確認してみましょう。


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