福引ツイッターキャンペーン:受賞者インタビュー(1)

福引ツイッターキャンペーン:受賞者インタビュー(1)

今年1月に実施した新年福引ツイッターキャンペーンにご参加頂き、見事A賞を受賞した3名の方にお話を伺いました。第3弾は文部科学省 科学技術政策研究所 科学技術動向研究センターで統括ユニット 上席研究官を務める七丈直弘さんにインタビューしました。
 

まずは、ツイッターにご当選されたときの感想を教えてください!

嬉しかったですね。最近、カバンを買ったばかりなのですが、すぐカバンは消耗してしまいますので、もらえて嬉しいです。飛行場から効率的に移動するには小さなカバンが移動するためには役に立ちますね。このような機内持ち込みできる大きさの鞄で1週間から10日位の出張にも余裕で対応できます。

 

七丈さんはどの様なご研究をされているのですか?

研究開発やコンテンツ産業などを含む「クリエイティブ産業」におけるイノベーションの分析を行っています。このような領域では、自動車産業に代表される製造業とは異なり、人や組織のコラボレーションが競争優位の育成に大きな寄与をします。私はそのプロセスの動的側面を理論的に研究しています。  研究とコンテンツ産業は一見大きくかけ離れているように見えますが、すべては人のアイディアから始まるという点で一致しています。でも、知識が生まれていくプロセスは目に見えなくて、わかりにくいものですよね。仮に、密着型の調査をすれば仕組みがよくわかると思うのですが、時間もかかりますし、多くの事例を扱うのは無理そうです。そこで私は、研究であれば論文や特許等のデータ、コンテンツであれば作品データといった、いわゆる「マイクロデータ」を基に分析を行うことで、知の創造の担い手が知識を産み出すプロセスを推定しています。経営学、組織学、社会学などといった複数分野から多様な手法を援用しており、非常に学際的な領域です。

 

科学技術政策研究所(NISTEP)の非常に細かい大学のベンチマークや論文数等のレポートを拝読しました。今後の新しい評価システムの研究やNISTEPとしての研究について教えてください。

あくまで個人としての見解ですが、大学のベンチマークは通常の学術研究よりもさらに高度な頑強性が求められるでしょう。しかし、一定の尺度がなければ評価しにくいですので、このようなデータは常に更新され、その分析方法論も不断に改善されるべきだと思います。  特に近年では、いわゆる「純粋科学」だけでなく、社会からの要請に応じた「社会のための科学」も求められています。ですので、「起業家精神」を持った研究者も求められています。また、「純粋科学」と「社会のための科学」も相互に影響しあっています。これらがどのように相互作用しているのかというメカニズムを踏まえて、より望ましいイノベーションシステムを提案できると面白いかなと思っています。

異なる志向性を持った研究者同士の相互作用を知るには、個々の研究者の活動を、多方向から評価することが必要です。近年では、機関レポジトリ、論文データベース、特許データベース等、個々のデータは揃ってきましたが、共通の個人IDがありませんので相互利用ができず、研究活動の他面的評価を阻んでいました。この問題を解消するために、NISTEPでは特許、論文、科研費など異なったデータベースをつなぐ変換表(コンコーダンステーブル)を作成しつつあります。これが実現されれば、イノベーション研究が大いに発展すると期待されます。

 

昨今、大学の評価は盛んに言われていますが、大学のパフォーマンスデータを読むときに注意すべきポイントはどこですか?

教員ごとに個性が異なるから、複雑な相互作用が生まれ、そこからセレンディピティーが生じるのではないでしょうか。大学についても同じことが言えるでしょう。

 

英語で論文を書く際の苦労・留意していることなどはありますか?

論文執筆のプロセスにおいて、過去の文献調査はかなりの時間を占めています。英語文献を読みながら、ネイティブ的な発想、良い表現等をピックアップし、誰が、どの文献で、どんな発言をしているか、というリサーチメモを作っています。これを参考にして、自分が執筆する論文の内容に照らし合わせて、オリジナルな表現に置き換えて、執筆をしています。まあ、いずれにせよ、いつも四苦八苦して論文を書いているというのが現状です。

 

今回のキャンペーンのテーマ、「日本の研究力を高めるために必要なことは?」では、「学位やテニュア取得の制度およびテニュア取得者の撤退条件の厳格化・透明化によって自然と国全体の研究力が高まると思いますが…」とおっしゃられていました。

既に、日本においてもテニュアトラックが導入されはじめているといわれますが、いくつかのケースではテニュア取得の条件が明確になっていないなど、実質的には任期制と全く変わっていないという事例も耳にします。任期制の研究員とテニュアトラックの教員に分類し、どちらについても公平かつオープンな審査を行うべきだと思います。テニュア取得の基準が明確になれば、健全な競争が行われ、自然と競争力が向上するのではないでしょうか。

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