第7回「査読と生物医学出版」国際会議:研究者への意義

第7回「査読と生物医学出版」国際会議:研究者への意義

「査読と生物医学出版」国際会議は、科学、技術、医学系の出版の中心的な問題に取り組む、最大かつ最も重要な会議でしょう。アメリカ医師会ジャーナル(Journal of the American Medical Association;JAMA)主催のこの会議は、4年おきに開催され、優秀な人材と新時代のリーダーの集まりとして代表的な存在です。
もちろん、エディテージも参加しました!アメリカ支部代表のドナルド・サミュラックとサービス・品質部部長のアディティヤ・バドレヴュは、論文著者の皆さんと関係が深い課題について、様々な議論に参加してきました。テーマの中には、オーサーシップ、引用、査読、倫理、オープンアクセスなどがありました。ここではいくつか、リサーチコミュニティに一番関連のある重要な点をピックアップします。

査読

品質や、ジャーナルでの仕事の流れにおける効率性という点から、査読を分析した研究はありましたが、論文著者の視点から見て一番興味深いのは、米国内科学会紀要(アナルズ・オブ・インターナル・メディシン;Annals of Internal Medicine)といった雑誌で利用されている、統計的レビューのモデルでしょう。これは、ジャーナル編集者や査読者があらかじめ選んだ論文のレビューを、専門的な統計学者に依頼し、論文著者は統計学者からの特別な統計的側面からのレビューコメントを受け取り、それに回答するというものです。多くの論文著者が、このような統計的レビューを受けたあと論文が改善したと答えています。レビューコメントを取り入れ、回答を書くのは非常に労力のかかることですが、論文が改善する程度に応じて認められる、と論文著者は思っているようです。

オーサーシップ

テクノロジーの急激な進歩や、オンライン出版を支えジャーナルの仕事の流れが急速に変化している状況で、論文の著者はオンラインのみで発行されるジャーナルを、以前より受け入れるようになっているのでしょうか?アメリカとノルウェーの著名なジャーナルに発表された研究によれば、オンラインのみの出版を実際受けて入れている著者もいますが、大部分の著者は、論文を活字で発表するかオンラインで発表するかの決断は、拒否権を持っている編集者に任せるか、編集者と一緒に決めたいと思っているとのことです。

引用



この会議では、引用の強要—ジャーナル編集者が論文著者に、そのジャーナルの論文を引用しなければならない事態に追い込むこと—が、活発な議論のテーマになっていました。オランダの研究者が、経済誌のインパクト・ファクターに及ぼす強要引用の影響を調べました。それによると、自誌論文引用の割合は、実際に、引用の強要によって増加したということです。このタイプの研究は他の分野やジャーナルに広がるのでしょうか?それとも、引用の強要をチェックし修正する方法を明らかにし始めるところまで広がるのでしょうか?

倫理

予想通り、倫理についてのセッションは、大勢の参加者で熱狂し、活発な意見交換が行われていました。セッションで注目を浴びていたのは2つのテーマ、つまり二重投稿と剽窃です。二重投稿についての研究によると、米国国立図書館の医学件名標目表は、「二重投稿」を出版の別の形として表示していますが、ジャーナルは特定された論文をすばやく修正しようとはしないということです。出版業界が二重投稿に対しもっと注意深くなるように、との決定がなされました。剽窃については、一連の研究で、剽窃を発見するためジャーナルで使われるソフトウェア・ツールの役割が検討されました。こうしたツールは、ジャーナルでの作業の流れの一部として積極的に使われていますが、PLoS のような一流の出版社は今でも、剽窃の決定において人間の判断を必要としています。

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