科学と人種差別: イギリス・ケニヤの研究プログラム、差別の告訴に直面

科学と人種差別: イギリス・ケニヤの研究プログラム、差別の告訴に直面

科学における性差別 の事件が明らかになり、広く議論されていますが、ケニヤ医学研究所(KEMRI)ウェルカム・トラスト・リサーチ・プログラムで働く6名のアフリカ人が、彼らへの差別により研究所を告訴し勝訴した、という珍しい事件が起きました。ケニヤ産業裁判所は、「研究機関での人種差別」と「組織的な差別」に直面した賠償金として研究者たちに3千万ケニヤシリング(341,000 USドル)の支払いを命じました。


KEMRIウェルカム・トラスト・リサーチ・プログラムは、オックスフォード大学と提携しており、イギリス最大の慈善医療事業であるウェルカム・トラストから資金援助を受けています。博士号取得に向け勤務していた医務官か臨床研究官だった研究者(KEMR sixとしても知られています)のサムソン・グワー(Samson Gwer)、マイケル・ムワニキ(Michael Mwaniki)、ナハショーン・トゥオウ(Nahashon Thuo)、ジョン・ワガイ(John Wagai)、モーゼス・ンデリツ(Moses Ndiritu)、アルバート・コンバ(Albert Komba)は、ヨーロッパ出身の同僚が優遇されているのに、自分たちの出世は押さえつけられているとして、研究所を訴えました。自分たちの研究が盗まれ、ヨーロッパの研究者に渡されたと申し立てたのです。能力は同じなのにヨーロッパ出身の同僚より給与が少なく、助成金の獲得や研修の機会も平等に与えられていませんでした。2010年、プログラムの責任者に対し待遇が不公平であると訴えたところ、6人は停職処分にされてしまいました。そこで、賠償を求め研究所を訴え、復職を求めたのです。彼らの告訴はケニヤの法制度によって支持されました。

 

ザンビアで生まれ英米で教育を受け、現在は南アフリカにあるケープタウン大学創薬センターの責任者である生化学者のケリー・チベイル(Kelly Chibale)はこう述べています。

豊かな国と貧しい国の協力から緊張が生まれるのは避けがたい。持つ者と持たざる者の間の亀裂が、人種やかつての植民地支配をなぞって走る場合、緊張はさらに悪化する 。



問題を解決する方法としてKEMRI sixのSamson Gwer が指摘しているのは、開発途上国と先進国の間の提携をもっと徹底的に監視して、提携の透明性と、資源の公平な分配を確実にすることです。人種差別と組織的な差別に関する自覚を地球規模で芽生えさせるのに、本訴訟の判決は広い影響を与えるだろう、というのが多くの医学研究者の思うところです。

 

この訴訟についての意見を聞かせてください。人種、性、国籍などにもとづく差別事件にあったことはありますか?

 

 

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