著者はシングルブラインド・ピアレビューを好む―ネイチャー・パブリッシング・グループの調査より

著者はシングルブラインド・ピアレビューを好む―ネイチャー・パブリッシング・グループの調査より

著者が好むのは、シングルブラインド・ピアレビューとダブルブラインド・ピアレビューのどちらだと思いますか?ネイチャーパブリッシンググループ

NPG(ロンドン)が実施した大規模調査では、ダブルブラインド・ピアレビューを選んだ著者は少数派でした。学術界で一般的なシングルブラインド・ピアレビューの優勢は、今後も続きそうです。


従来型の査読形式である非公開査読は、学術界で広く採用されています。シングルブラインド・ピアレビューでは、著者に査読者の名前が明かされません。ダブルブラインド・ピアレビューでは、著者にも査読者にも互いの名前が明かされません。それぞれの方式に長所と短所があり、好まれる方式は研究者によって異なります。これまではシングルブラインド方式がより一般的でしたが、ダブルブラインド方式への関心も高まっています。2013年には、Nature Geoscience誌とNature Climate Changeでダブルブラインド・ピアレビューの選択が可能になっています。シングルブラインド・ピアレビューが依然として人気を保つ中で、ダブルブラインド・ピアレビューを選択する著者が多かったため、Natureシリーズでは最終的に、すべてのジャーナルでダブルブラインド・ピアレビューを選べるようにしました。


ダブルブラインド・ピアレビューへの需要を把握するため、NPGは、20153月~20172月の間にNatureシリーズのジャーナルに投稿された106373本の論文を対象に調査を行いました。その結果、以下のような興味深い傾向が明らかになりました:
 

  • ダブルブラインド・ピアレビューを求めたのは12%のみだった。
  • ダブルブラインド・ピアレビューを選んだ論文(14%)の大半は、NPGでもっとも評判が高いNature誌への投稿論文だった。
  • ダブルブラインド・ピアレビューを選んだ著者の割合がもっとも高かったのは、インド(32%)と中国(22%)だった。フランスと米国はそれぞれ8%7%だった。
  • 名声が低めの機関に所属する研究者ほど、ダブルブラインド・ピアレビューを選ぶ傾向があった。
  • 選択における性別間の有意差は見られなかった。
  • ダブルブラインド・ピアレビューでアクセプトされた論文は25%にとどまったのに対し、シングルブラインド・ピアレビューを選んだ論文のアクセプト率は44%だった。


著者がシングルブラインド・ピアレビューを好む理由はいくつかあるようです。最大の理由は、論文から自分のアイデンティティを完全に消し去ることが難しいからでしょう。オスロ大学の音楽研究者であるアレクサンダー・ジェンセニウス(Alexander Jensenius)氏は、「論文から私や共著者の痕跡をすべて取り除こうとすれば、内容の乏しい論文に仕上がってしまうでしょう」と述べています。また、たとえ名前が伏せられていたとしても、ほとんどの査読者は、担当論文の著者を推測することができます。Conservation Biology誌で編集者を務めるインペリアル・カレッジ・ロンドンのマーク・バーグマン(Mark Burgman)氏は、「ダブルブラインドを選ぶと、何かやましいことがあるのではと疑われることを恐れている著者がいます」と述べています。これもまた、著者がダブルブラインド・ピアレビューを選ばない方向に導いている理由かもしれません。以上の知見は、8回査読に関する国際会議で発表されました。


参考記事:

Few authors choose anonymous peer review massive study nature journals shows


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Reports from 2017 Peer Review Congress

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