グーグルによる研究資金援助に批判―関係者は疑惑を否定

グーグルによる研究資金援助に批判―関係者は疑惑を否定

20177月初頭、ウォール・ストリート・ジャーナルと米国を拠点とする非営利組織、Campaign for AccountabilityCfA)が、「自社の方針や立場に有利な論文を出版させるために、金銭面での関係性を開示しないまま、研究者に資金援助を行なっている」として、グーグルを告発しました。


CfAグーグル透明化プロジェクト(Google Transparency Projectが発表したレポート、「Google Academics Inc.」によると、20052017年の間にグーグルが資金援助を行なった学術論文は330本存在あるとされています。これらの論文はすべて、独占禁止、プライバシー、インターネットの中立性、検索の中立性、特許、著作権などをテーマにしたもので、グーグルのビジネスにおいて重要なものです。また、研究者は500040000ドルの資金援助を受け、そのうちの66%が資金の提供元を公表していないとしています。同レポートは、このようなグーグルの行為は学術研究と委託研究の線引きを曖昧にし、同社の介入を知らない政策決定者がこれらの論文に影響を受ける可能性があるとして、非難しています。CfA はさらに、グーグルから直接的に(あるいは間接的に)資金を受け取った研究者のリストを公開しました。CfAのダニエル・スティーブンス(Daniel Stevens)事務局長は、「グーグルは莫大な資金力と権力を駆使して、あらゆるレベルの政策決定に影響を与えようとしている」とし、「グーグルにとっての利益が国の利益になるとは限らない」と述べています。


同レポートは、グーグルと、レポートで名指しされた研究者からの反発を招いています。複数の研究者が、グーグルからの資金提供は拒否したと主張しており、誤ってリストに掲載された名前を削除するよう求めています。たとえば、ケース・ウェスタン・リザーブ大学法学部のアーロン・ペルザノウスキ(Aaron Perzanowski教授は、リストに名前が挙がった研究者の1人ですが、グーグルが資金提供を行なった研究プロジェクトへの参加経験があるジェイソン・シュルツ(Jason Schultz)氏との共著論文が多いことが、今回の誤解に繋がったと考えています。援助を受けた研究はそのスポンサーを公表すべきであるという点は、ほとんどの研究者が同意するところであり、ペルザノウスキ氏は、「CfAのレポートがずさんであったために、本当に重要な問題がぼやけてしまった」と心情を述べています。


グーグルは、研究への資金援助を通して政策決定に影響を与えようとした疑いを否定しています。同社パブリックポリシー部門のディレクターを務めるレスリー・ミラー(Leslie Miller)氏は、ブログCfAのレポートに反論しており、グーグルが資金提供を行なっていない組織も含まれていたため、レポートは「大きな誤解」であると非難しています。また、研究への資金援助疑惑を否定しつつ、同社が適切に資金源を公表し、研究の独立性が保たれたリサーチ/政策フェローシップ・プログラムを複数運営していることにも触れています。さらに、「CfAのリストに掲載されている研究者の多くは、グーグルと、さまざまなトピックにおけるグーグルの方針を激しく批判している」と指摘して、自社の潔白を表明しています。加えて、CfAが「自らの資金提供源を公表することを拒み続けている」と指摘し、CfAのスポンサーの多くはオラクルをはじめとするグーグルの競合企業であると主張しています。


CfAがレポートを公表した背景に何らかの意図があったのかどうかは不明ですが、もっとも被害を被ったのは、レポートに名前が記載された研究者たちでしょう。ペルザノウスキ氏は次のように述べています。「CfAは、研究者のことなどどうでもいいのでしょう。(中略)私たちは彼らの標的ではなく、ただの鉄砲玉にすぎないのです」。 


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