世界の人々は科学をどう見ているか――グローバル調査の結果から

世界の人々は科学をどう見ているか――グローバル調査の結果から

140ヶ国14万人を対象に行われた調査で、およそ約4分の3の人々が科学者を信頼していることが分かりました。この調査は、科学やヘルスケアに対する人々の考え方や理解度を把握することを目的として、ロンドンを拠点とする生物医学研究の支援団体であるウェルカム・トラストが実施したものです(Wellcome Global Monitor)。この記事では、調査結果の中からとくに興味深かったものを抜粋しました。


科学に対する社会の信頼


科学者をそれなりに信頼している人々の割合は54%でした。一方、大幅に信頼している人は18%、あまり信頼していない人は14%、「どちらでもない」と回答した人は13%でした。また、受けた教育のレベルや、国立機関への信頼度が、科学者への信頼に大きく影響していることが分かりました。そのため、大学に進学した人々の方が、科学研究への信頼度が高くなる傾向にありました。


科学が社会にもたらす恩恵


科学による社会への貢献に関する問いについては、回答者の69%が、科学は「自分たちに恩恵をもたらす」と回答した一方、「国中の人々にあまねく恩恵をもたらす」と回答したのは41%でした。また、15%が「一部の人々にしか恩恵をもたらさない」と回答しました。高所得国に暮らしていながら経済的困難に直面している人々は、ほかの人々よりも、科学に疑念を抱いている割合が3倍も多いことが明らかになりました。


一般の人々の科学知識


科学の知識に関する問いでは、57%が「科学についてよく知らない」と回答しました。興味深かったのは、教育レベルが同等の男女間において、それぞれの科学知識に対する自信に明らかな差があったことです。科学知識に自信を持っている割合は、男性の方が高く、科学知識が「ある程度ある」または「豊富にある」と回答した男性が49%だったのに対し、女性は38%でした。


この結果について、ウェルカム・トラストの文化/社会部門ディレクター、サイモン・チャプリン(Dr. Simon Chaplin)博士は、Times Higher Education誌の記事で、「科学界における教育・キャリア構造・研究文化が男女平等を支持し、我々が生きる社会の人口構成を反映するものとなるように、より一層の努力が必要」と述べています。


予防接種の安全性と効果


調査結果の中で興味深かった別のトピックは、予防接種に対する人々の考え方です。回答者の92%が自分の子供に予防接種を受けさせており、受けさせていないのはたった6%でした。予防接種が安全で効果的であると考えている回答者の割合がもっとも高かった国は、バングラデシュとルワンダでした。対照的に、フランス人の3人に1人は、予防接種の安全性に疑問を持っていました。また、ウクライナ人の約半数は、予防接種の効果自体を疑問視していました。北米では、子供に予防接種を受けさせるべきだと考えている人々の割合は74%にとどまりました。


ウェルカム・トラストのジェレミー・ファラー(Jeremy Farrar)ディレクターは、今回の調査の意義について、「どれだけ素晴らしいアイデアを思い付こうと、どれだけ画期的な治療法を発見しようと、どれだけ頑強な研究結果を得ようと、それらの恩恵を受ける人々から認められなければ、意味がない」と述べています。


この調査の完全版は、こちらからご覧頂けます。


この調査についてどう思いますか?このような調査が、学術界と一般社会の間の溝を埋めることにつながると思いますか?ぜひ、皆さんのご意見をお寄せください。


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