査読プロセスをスムーズに進めるには:著者へのアドバイス

査読プロセスをスムーズに進めるには:著者へのアドバイス

学術出版が広く認められているのは、査読プロセスがあるからです。査読の本質は、同僚(研究者)に自分の学術コミュニケーションを評価してもらうことであり、また、先行研究の文脈が十分に考慮されているか、実験や議論から妥当な結論が導き出されているかを確認することです。査読者は論文を精査し、興味深い点や懸念される点を編集者に伝えます。この記事では、著者が査読プロセスをできるだけスムーズに進めるためのコツやヒントを紹介します。なお、ここでは、すでに論文投稿を済ませ、査読コメントが返ってきている状況を想定して話を進めていきます。


まずは、ここまで本当にお疲れ様でした!この段階までたどり着いたということは、あなたが書き上げた論文が、査読に値すると編集者から認められたということです。査読報告書には、主に2つの役割があります。1つは、出版に値する論文かどうかを編集者が判断するための材料としての役割です。もう1つは、論文を改善するために、現状での不備を著者に把握してもらうための役割です。論文を速やかに出版するためには、査読者からのコメントに、編集者がその論文を出版したいと思えるレベルまで、十分に対応することが重要です。査読が2巡目に突入することもよくありますが、査読者への回答は、長々しい議論を挑むようなものにならないようにしましょう。査読プロセスは、そのようなやり取りに適した場所ではありません。


査読者が誰であるかを勘ぐるのはやめましょう。普段の文体(スペリングや文法のスタイル)を、わざわざ変えてコメントを書いている査読者もたくさんいます。査読者が誰であっても、特定の人物に向けて返答することは、得るものが少なく失うものが多い行動と言えるでしょう。


査読コメントにはすべて目を通しましょう。コメントの11つに対応する修正や説明、あるいは反論を用意しなければなりません。ただし、楽観的な姿勢で臨むことをお勧めします。コメントは、論文の質の向上に役立つものです。コメントを参考にして論述の内容を磨き、より伝わりやすい文章に書き直し、後世に残る論文に仕上げましょう。


すべてのコメントを新しい文書に貼り付け、3色を使い分けて(例:元のコメント→黒、コメントへの回答→青、論文の修正箇所→赤)、コメントを整理するとよいでしょう。回答は、取った行動と、これから対処すべき点に分けましょう。コメントへの対応には、2つの選択肢があります:(1) 論文を修正する。(2) 編集者が精査できるようなエビデンスを添えて反論する。これらの回答は、すべて簡潔にまとめましょう。できるだけシンプルに答えるよう心掛け、長引きそうな議論を始めるのではなく、指摘に端的に答えましょう。査読者のコメントや助言を無視するようなことをしてはいけません。このような行動は関係者全員を不快にさせ、プロセスをむやみに長引かせるだけです。経験豊富な査読者や編集者は、著者が問題から逃げていることを瞬時に見抜きます。少なくとも、各指摘に対する回答を用意しましょう。さらに、元の文章を指摘に沿って修正すれば申し分ありません。査読者が指摘をしているということは、あなたの文章が、本来の意味で読み手に伝わっていないということです。論文内の文章や図を修正する場合は、関連する箇所を回答用文書にコピー&ペーストし、修正部分をハイライトしておきましょう。論文の修正部分もハイライトしても構いません。


ときには、査読者の指摘が誤っていたり、査読者があなたの結果や主張を誤解していたりするケースもあるでしょう。そんな場合は、できれば参考文献を添えて、自分の主張の要点を簡潔明瞭に説明しましょう。著者が査読者に反論する場合、その議論の判定を下すのは編集者の役割です。したがって、編集者が正しい判断を下せるように、また彼らの手間を最小限に抑えられるように、自分が持っている情報はすべて提供するようにしましょう。なお、論文が2巡目の査読に突入する場合、2人以上の査読者が論文の修正版(および1巡目での査読者とのやり取り)に目を通すのが一般的です。また、2巡目も、基本的には最初の査読者が査読を担当しますが、スケジュールが合わないなどの理由で、別の人が担当することもあります。


回答と論文の修正版が用意できたら、両方を読み直し、専門家としての姿勢や、丁寧さ、冷静さを失っていないかを確認しましょう。査読プロセスでは、編集者を「味方」に付けておくことが大事です。査読者に抱いている負の感情は排除するよう努めましょう。査読者は、自分の時間を割いて無償でフィードバックを提供してくれているのですから、彼らへの感謝の気持ちを忘れないようにしましょう。


共著者には、回答プロセスに早い段階で参加してもらうとよいでしょう。コメントの対象範囲が広く、自分の専門外の指摘が含まれる場合や、追加実験が必要になる場合は、なおさらです。いずれにせよ、回答と論文の修正版が完成したら、全共著者からの承認を得る必要があります。


また、回答がまとまる目処がついたら、査読に対する自分なりの(専門家としてのポジティブな)気持ちを簡潔にまとめた、編集者宛てのカバーレターの用意も始めましょう。できれば、査読によって浮上した問題点がすべて解決したこと、したがって2巡目の査読は不要であることを編集者に納得してもらいたいものです。さらなる査読が必要か否かを決定するのはジャーナルの編集者であり、その判断はジャーナルの方針に基づいて行われます。編集者の目を覆い隠すようなことはしないようにしましょう。また、強引な著者ほど、編集者から疑いの目を向けられる傾向があるので、そのような態度は逆効果であることを忘れないようにしましょう。


以上のハードワークを終え、文書をアップロードしたら、再び待機の時間です。編集者が論文を2巡目の査読に回すかどうかの決定を下すまで、数分で終わることもあれば、数週間かかることもあるでしょう。


また、正式な査読報告書とは別に、査読者が編集者に補足的なアドバイスを内密に提供する場合があります。この補足的な懸念を解決する必要がある編集者が判断すれば、編集者から著者に直接指示が与えられ、修正すべき内容を提言されることがあります。このように、編集者が自らの時間を割いて提供してくれたコメントに対しても、その他の指摘と同様に、またはそれ以上の注意を払って対応しましょう。


最後に、査読者の指摘に応えるための修正があまりにも膨大である場合は、論文を別のジャーナルに投稿し直すことも検討しましょう。とは言え、論文を改善するためには、それらの指摘に可能な限り応える努力をしなければなりません。別のジャーナルに再投稿したとしても、同じ人が査読を担当する可能性もありますし、出版された論文を読んだその査読者から、次の学会で指摘をもらうことになるかもしれませんから!


[この記事のオリジナル版は、ヒンダウィで公開されています。本記事の著者であるベン・ブリトン(Dr. Ben Britton)博士は、記事の依頼と編集を担当したヒンダウィのトーマス・ファウスト(Thomas Faust)氏に謝意を表しています。]


ブリトン博士は、 インペリアル・カレッジ・ロンドンの上級講師および王立工学アカデミーのリサーチフェローを務めています。この記事は、本人のブログMedium blogで公開されたものを、許可を得てここに再掲載したものです(元記事はこちらからご覧頂けます)。

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