欧州科学編集者協会2014年総会の報告

 欧州科学編集者協会2014年総会の報告

2014年6月12-15日、クロアチアのスプリトで開催された 欧州科学編集者協会(EASE)第12回総会・会議(12th General Assembly and Conference of the European Association of Science Editors) に出席してきました。

アドリア海沿岸の景観の良い町スプリトに到着した私は、総会の3日間にわくわくしていました。会議のプログラムと アブストラクト を見ると、重要で魅力的な会議で、本会議(plenary talks)、分科会(breakout sessions)、休憩時間(networking breaks) が適切に配置されていました。会議のテーマは「科学論文の編集という複雑な世界(“The complex world of science editing.”)」でした。

総会は、EASE会長ジョーン・マーシュ(Joan Marsh)の挨拶とオープニングセレモニーから始まりました。セレモニーではスプリト医師合唱団(医師、歯科医師、スプリト大学医学部の医・歯学部の生徒で構成)によるクラシックの演奏が行われました。

続いて、ノーベル賞受賞者サー・ティム・ハント教授による講演「科学とは何か?」が行われ、人によっていかに科学の重要性が異なるか、様々な研究者が同じ問題を解決するためにいかに違う質問をしているか、どうしたら「もっとも偉大な発見が、みなさんの信念を根底から揺るがすものになれるか」、についてお話してくれました。教授がノーベル賞を受賞した研究について、ジャーナルの査読者が「欠陥のある論理にもとづく突拍子もない推測」と呼んだという、興味深い話もありました。教授は、研究者に対し「正しいことより面白いほうが大切だ」、なぜならたとえ間違っていても、いずれ時がたてば誰か他の研究者がそれを直してくれるから、と強調していました。著名な科学者の興味深い言葉をたくさん引いて話してくれましたが、最後はシュレーディンガーの有名な言葉「科学はゲームである、ただし現実をともなったゲームだ("Science is a game, but a game with reality.”)」で 講演は終わりました。

 

2014 European Association of Science Editors, Split, Croatia, Meeting report, Report of the 2014 conference of the European Association of Science Editors

1日目の終わりには、海の側にあるメシュトロヴィッチ美術館で、すばらしい歓迎レセプションが行われ、前菜、飲み物がふるまわれ、クロアチアの伝統的な踊りが催されました(右の写真をご覧ください)。

2日目はスケジュールが詰まっていました。はじめに、クロアチア科学芸術アカデミーおよびヨーロッパ科学財団のミレーナ・ジックフックス(Milena Žic-Fuchs)教授による総会講演“Inter/multi/trans-disciplinarity: 出版界の挑戦” があり、学際的な研究の増加の必要性があるにもかかわらず、この種の研究は出版に対し固有の問題を提出している、つまり(a) ジャーナルがさらに専門的になっている、(b) 学際的な(interdisciplinary)ジャーナルはインパクトファクターが低いと思われている。 

ジックフックス教授の講演の後は、(a) ソーシャルメディアと (b) 生物医学翻訳の質の分科会が並行して行われ、ランチ兼休憩時間をはさみ、もう1つの総会講演がおこなわれました。エリザベス・ウェージャー(Elizabeth Wager)教授による、査読における技術革新と、査読プロセスをより効率的にする方法に関する講演です。教授のお話から驚くべき事実を紹介しましょう:

·         査読は、個人的な偏向と偏見から無関係ではいられない

·         編集者は通常、採択/不採択判断に関して査読者間で一致することは少ない、と思っている

·         誤りや詐欺(事件)を除去するという点では、査読は効果的といえない

·         統計的に見て信頼のおける結果のためには、査読者は6人必要だろう

ウェージャー教授は続けて、読みやすさの問題、ジャーナルのスタイル、データ管理、読者に思考材料をたくさん与えること、について論じました。

次に (a) ジャーナルのジェンダーに関する方針、と(b) 出版倫理委員会(COPE)から提供された事例の研究、についての分科会が同時開催されました。心温まるディナーで2日目が終わりました。

3日目は同時開催の分科会から始まりました:1つは インパクトファクターとその他の引用尺度引用を使った尺度(Declaration on Research Assessment ;DORA)について、もう1つは編集者にとっての能力育成(professional development)に関するもので、私も話題提供者の一人でした。編集者の能力育成についての分科会は、まずPSPコンサルタントのピッパ・スマート(Pippa Smart)から始まり、編集者が訓練の必要性を述べているという調査結果が示されました。次に私が論文著者と編集者向けの総合的なリソースのひとつとしてエディテージ・インサイト を示し、いくつかあるコンテンツの中から特に 業界のエキスパートへのインタビュー や サラミ法に関するビデオを紹介しました。続いて、INASPのスー・カミング(Sioux Cumming)は、開発途上国でジャーナルのオンラインプロジェクトがどのように編集者を支援し訓練しているかを話題にし、バイオメド・セントラル社のマリア・コワルチェック(Maria Kowalczuk)により、バイオメド・セントラル社がいかにして、ウェブサイトとオンラインを使った遠隔での学習課程を通じて、編集者へのサポートを提供しているかが取り上げられました。

次に、(a) 衛生研究と医学に関する報告ガイドライン、と (b)編集者団体間の協力、に関する分科会が同時開催されました。最後に、イギリスの医学統計センターのダグラス・アルトマン(Doug Altman)教授による総会講演があり、EQUATOR networkを介して学べる報告ガイドラインについて紹介されました。

休憩時間はポスター発表を見る時間も兼ねていました。質の高い11のポスター掲示され、編集者の関心を引く持つトピックが取り上げられ、その中には ルーヒ・ゴーシュ(Roohi Ghosh) と 私自身が発表した、文化の壁を超えた著者教育戦略に関するエディテージのポスターもありました。

 

 

2014 European Association of Science Editors, Split, Croatia, Meeting report, Report of the 2014 conference of the European Association of Science Editors

ポスターセッションにてエディテージのポスターを説明するクラリンダ・セレジョ(Clarinda Cerejo)、2014年EASE、スプリト

全体を通して、今回の会議は、科学論文の編集と出版の分野で学ぶことがたくさんあり、この分野の先輩の専門家と交流する良い機会を与えてくれました。2016年6月ストラスブルグで開かれる次回のEASEが楽しみです。

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