ジャーナルの信頼性評価を支える3つの「透明性の原則」

ジャーナルの信頼性評価を支える3つの「透明性の原則」

出版倫理委員会(COPE) は、出版社、エディター、編集委員会のメンバーが倫理的にふるまい、学術ジャーナルの経営・ビジネス業務を専門的に行うのを支援するため、ガイドラインと文書を作成しています。
COPEから出されている文書の1つには、「学術出版における透明性の原則と成功事例("Principles of Transparency and Best Practice in Scholarly Publishing")」 というタイトルがついています。

2013年末、初めてオンラインに掲載されたこの文書は、10t, which first appeared online in late 2013, was produced in cooperation with the Directory of Open Access Journals (DOAJ)、オープンアクセス学術出版社協会(Open-Access Scholarly Publishers Association (OASPA))、世界医学雑誌編集者協会(the World Association of Medical Editors (WAME))の協力のもと、作成されました。
この文書により、学術論文の著者は、ジャーナルを評価してから、論文を投稿し、編集委員会のサービスを受け、その場その場での査読をする前にジャーナルを評価することができるようになります。 

 

多くのオープン・アクセス出版社は、DOAJやOASPAのような評価の高い団体への加入・リスト掲載を申請しています。そうした団体への加入により、注目度が上がり、信頼性が増すからです。残念ながら、プロではない出版社の中には、正当に見えるようにすること、またこうした「協会による正当性」がさらに多くの論文投稿を招き収入が増えることを期待し、正規の団体への加盟を利用しようとするものもあります。これらの団体が出版社からの加盟申請を詳しく検査するとき、透明性の原則が役に立ちます。

 

搾取目的の出版社(Predatory publishers)の業務には透明性が欠けていることが多く、不誠実ですらある出版社もあります。たとえば、実際にそうではないのに、アメリカあるいはイギリスに拠点を置いていると主張する出版社があるかもしれません。こうした国に拠点を置くジャーナルには、論文が投稿されやすいことを期待してそのように主張しているわけです。 

 

COPEの文書では16 個の「透明性の原則」を挙げています。その中から、怪しい出版社という文脈で見ると、一番重要だと思われる3個を紹介しましょう:

1.    原則2番では、「ジャーナルは、編集委員会、もしくはその他の運営機関をもつものとする。そのメンバーは、ジャーナルが扱う分野で広く認められている専門家である」。正確に言うと多くのジャーナルで、これはできていません。怪しげなジャーナルでは、広く認められている専門家からなる編集委員会を持っていることはほとんどないからです。実際、搾取目的の出版社が、ある学者について知識も、その人たちからの許可もないのに、彼らの名前を編集委員会に加えているのは、よくあることです。しかし、ここには透明性はありません:完全にだましの手口です。

2.    原則5番では次のように述べています。「著作権と使用許諾の情報は、ジャーナルのウェブサイトに明確に記載しなくてはいけない。また、掲載されている論文(HYML、PDFとも)すべてに使用許諾期間を記載すること」。
掲載している論文に使用許諾期間を記載していない学術出版社は多いです。事実私も、論文のPDFファイルに矛盾した使用許諾情報が記載されているのを見たことがあります。たとえば、「無断複写・複製・転載を禁ず」と書いてある隣に、論文の自由な使用を認めるクリエイティブ・コモンズのCC-BY(訳注:著作権者の表示)がある場合などです。 

3.    原則15番は非常に重要です。オープンアクセス出版を通じて自分の研究のインパクトを増やそうとしている研究者にとっては、特に重要になってきます。原則15番には「ジャーナルがもはや出版されていない場合…、電子バックアップをとったり、ジャーナルの内容へアクセスできるようにしておくというジャーナルの意向は明示しなければならない」


この3つ目のポイントが重要なのには、理由が2つあります:

  • 第一に、ゴールド・オープンアクセスモデルを使っているジャーナルでは、著者は研究を掲載するため出版社に料金を支払っているため論文が未掲載のままということはありません。もっと重要なことですが、掲載料を払うということは、掲載する内容について無期限で利用可能であると解釈しなければなりません。
     
  • 第二に、電子バックアップのサービスがあるということは、出版社の信頼性の指標として役に立つかもしれません。質の低い、怪しげなジャーナルにはたいてい、バックアップのプランはなく、コンテンツをなくしてしまったり、廃業する場合も時にはあります。コンテンツは永遠に失われ、投稿する著者に被害が及ぶまでになります。
     


著者が、自分の評価する出版社において、透明性の原則に目を光らせる事が可能であり、そうすべきであるのに対し、出版社は、ガイドラインすべてを満たしていると見えるよう、自社サイトに文章を沿え、透明性の原則すべてに従っているフリをすることは、今でも可能です。ですから、論文を投稿する前に、時間をかけ多様な点からジャーナルを詳しく評価し、搾取的な出版社が著者をだますために使う手口をよく理解することが大切です。

 

 

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