欧州研究会議(ERC)、助成対象プロジェクトの研究成果を評価

欧州研究会議(ERC)、助成対象プロジェクトの研究成果を評価

基礎研究分野で需要の高い助成金を支給する欧州研究会議(ERC)は、助成した研究プロジェクトの結果のモニタリングを開始すると発表しました。ERC理事長のジャン・ピエール・ブルギニョン(Jean-Pierre Bourguignon)氏は、「ERCは科学者と助成金申請書の審査員の双方に、一定のリスクをとることを奨励している。したがって、実際にリスクがとられ、適切なプロジェクトが選ばれているかを確かめることが重要である」と述べています。


ERCは、最先端研究のための欧州全土を対象とした初の研究助成機関で、欧州連合(EU)の第 7 次研究開発フレームワーク計画に基づいて2007年に設立されました。これまで6000件近くのプロジェクトが助成されましたが、これらの研究の影響力を理解するため、初期のプロジェクト199件に対する評価が試験的に実施されました。その際、テーマにこだわらず様々な研究の影響力が調べられました。評価の重点は、世界経済にどのような影響を与えたか、社会にどう役立ったかという点でした。このため成功の評価は、書誌計量学ではなく、各評価者の専門家としての知識や経験に基づいて行うようにとの指示に基づいて行われました。


ERCのプレスリリースによると、ERCの助成プロジェクトのうち、すでに科学的に画期的な成果があったものが70%以上、徐々に成果が出てきているものが約25%、目立った科学的成果の見られないものが4%という評価結果でした。報告書ではほかに、ERCの助成するプロジェクトはほとんどが「ハイリスク・ハイリターン」であること、また大部分が学際的プロジェクトであるということも報告されています。そして、ERCは「経済と社会の全般に大いに貢献している」と結論づけられています。この調査費用の20万ユーロ(22万ドル)は、ERCの全予算131億ユーロから見れば微々たるものです。


ERCは、助成した基礎研究の成果をおそらく初めて分析した研究機関であることから、科学界は今回の調査を称賛しています。欧州の研究とイノベーションに関するコンサルタント企業、Technopolis(英ブライトン)の会長であるエリック・アーノルド(Erik Arnold)氏は、「基礎研究への助成機関で、研究の実績や影響力をさかのぼって分析するところはほとんどない。ERCの取り組みが他の機関にも広がれば素晴らしい」と述べています。


参考記事

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