質問: 科学者の世界に性差別はありますか?

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回答:

良い時に質問してくれましたね。科学者の世界での性差別は、現在、世界中で広く議論されているテーマです。この問題について口火を切ったのは、エール大学の研究者が行い、先日PNASで発表された研究です。

この研究では、アメリカの様々な研究大学の物理学、化学、生物学部の教職員に、研究室長に志願する学生の願書を評価するように求めました。全体の願書の半分は女性、残りの半分は男性のものになるよう、無作為に選びました。教職員は願書から、候補者の能力、雇用すべきかどうか、初任給をいくらにするか、その候補者にどの程度メンタリング支援を行いたいか、について評定しました。

その結果、願書そのものが同じであっても、志願者が男性であるほうが、能力を高く評価され、雇用されやすく、初任給が高く、メンタリング支援も多く受けるということが見えてきました。もっと興味深いのは、様々な専門分野で優れている女性の願書を読むのは楽しかったと主観的な報告はしていても、男女どちらの教職員とも、候補者としては男性のほうを好ましく思っていたということです。

この論文が発表されて以来、The ScientistScientific AmericanThe New York Timesのような、アメリカでもっとも主要な科学会報においてこの問題が議論されています。 性差別は存在しないとこれまで主張してきた多くのアメリカ人科学者が、今では、統計的に有意な結果であることと、結果が決定的であることに驚いています。

この研究の著者たちによると、科学における女性の進出を妨げようという意図的な思いから現れた結果というよりは、かすかで意識下にある、社会に影響された先入観が、教職員の判断に影響を与えていたということです。しかし、このようなかすかな影響により、女性が研究のキャリアから均等な機会を奪われるという、現実の世界での重要な問題がもたらされているかもしれないのです。

さて、質問に戻りましょう。上で挙げた研究知見によれば、あなたの願書は男性志願者の願書と全く同じ評価は受けないかもしれません。けれども、この研究により、性差別が内在していることに科学者が気づいたのは朗報ですし、気づきこそが変化への第一歩なのです。この研究や、その後関連する報告を読んだ科学者はおそらく、意識下で差別をしている可能性を、より意識するようになるでしょうし、そのことが評価を行う際、より公平であろうとする意識につながるかもしれません。願書を書くときは、業績を積極的に位置づけ、CV(職務経歴書)が印象的に見えるように努め、最善の結果を期待しましょう。申請している役職につけるよう期待しています。がんばってください。

みなさんの国では、学問の世界における性差別の問題を議論することは興味深いと思われていますか? あらゆるレベルで差別を避けるため、科学者が具体的に取っている措置が何かありますか? この2つの質問は、自由に議論していただくため投げかけたものです。コメント欄から意見をくださることを楽しみにしています。