「政府が政策を動かす“運転手”なら、研究者はその効果的な斜行を担う“敎備士”です」

「政府が政策を動かす“運転手”なら、研究者はその効果的な斜行を担う“敎備士”です」

ナスッフ・りティ゚むネショラ・アデレケYusuff Utieyineshola Adeleke氏は、発展途䞊囜の科孊者を察象ずした、むンド政府による栄えあるリサヌチトレヌニング・フェロヌシップを獲埗した5人のナむゞェリア人研究者の1人です。このプログラムのもず、ゞャワハルラヌル・ネルヌ倧孊ニュヌデリヌで6ヶ月間2017幎16月を過ごしたアデレケ氏は、母囜ナむゞェリアでは、囜立技術経営センタヌNational Centre for Technology Management 、NACETEMの科孊政策およびむノベヌション研究Science Policy and Innovation Studies、SPIS郚門の䞻垭研究員を務めおいたす。孊術研究のトレヌニングや孊術政策に関するさたざたな掻動に携わっおおり、サむ゚ントメトリクスの研究、政策立案、研究者のためのワヌクショップやセミナヌのオヌガナむズ、センタヌのための各皮コヌスの蚭眮、研究マネゞメントず方法論の教育掻動、センタヌ代衚者ずしおの䌚議むベントぞの出垭など、研究倖の領域でも幅広く掻動しおいたす。たた、スタッフォヌドシャヌ倧孊英囜で技術経営分野の修士号を取埗しおいたす。


アデレケ氏は長幎に枡り、研究者ずしおのスキルを磚きながら、若手から䞭堅の研究者にさたざたな機䌚を提䟛する掻動に積極的に関わっおきたした。最善の研究出版慣行をグロヌバルレベルで掚進できる゚ディテヌゞ・むンサむトのアンバサダヌに志願したのも、そのような掻動の䞀環です。アデレケ氏の参加を歓迎するずずもに、その熱意に感謝の意を衚したいず思いたす。


今回のむンタビュヌでは、むンドずナむゞェリアにおける研究環境の違い、研究者が政策決定に果たす圹割、研究者や研究機関にずっおのむンフラの重芁性などに぀いお䌺いたした。たた、若手䞭堅の研究者がもっずも䞍安に感じおいる2぀のこず孊䌚発衚ず助成金申請に関しお、ご自身の経隓に基づく実甚的なアドバむスを頂きたした。

発展途䞊囜の科孊者のためのリサヌチトレヌニング・フェロヌシップに぀いお詳しく教えおください。

発展途䞊囜の科孊者のためのリサヌチトレヌニング・フェロヌシップResearch Training Fellowship for Developing Country Scientists、RTF-DCSは、NAM S&TセンタヌCentre for Science and Technology of the Non-Aligned and Other Developing Countriesが実斜する、発展途䞊囜の若手研究者にチャンスを提䟛するためのプログラムです。このフェロヌシップに遞ばれた研究者には、同センタヌず提携するむンドの孊術・研究機関で、短期間、研究掻動に埓事する機䌚が䞎えられたす。むンド政府ず科孊技術省が資金を提䟛するこのプログラムでは、リサヌチフェロヌに、囜内倖ぞの枡航費や生掻費、研究費を含めた経枈的支揎が行われたす。201213幎床の開始以来、同プログラムで遞ばれたリサヌチフェロヌたちは各配属機関で滞りなく研究を完了させおおり、順調に成果を挙げおいたす。このプログラムは発展途䞊囜の研究者から高い人気を集め、むンドの研究機関からも匷い関心が寄せられおいるため、201415幎床のフェロヌシップは、20名から50名に増やされたした。この床、5期目のプログラムが終了を迎えたばかりです。


RTF-DCSプログラムの䞻な目的は以䞋の通りです:
 

  • 発展途䞊囜の科孊者研究者のむンドぞの流入を増やすずずもに、圌らにむンドのR&D孊術機関で働く機䌚を提䟛し、スキルや専門性を高めおもらう
  • むンドをはじめずする発展途䞊囜の科孊者間の情報亀換や亀流のハヌドルを䞋げ、協力䜓制を構築するためのネットワヌクを䜜る


たた、RTF-DCSフェロヌは、垰囜埌は、博士・修士レベルの研究プロゞェクトで、むンドの研究者が共同で指導しおくれる機䌚を埗られたす。


光栄なこずに、私は今幎床のナむゞェリア代衚ずしお遞ばれた5人の研究者の1人になるこずができたした。今回は、玄50ヶ囜の発展途䞊囜から応募があったようです。遞ばれた埌は、ゞャワハルラヌル・ネルヌ倧孊科孊政策研究センタヌCentre for Studies in Science Policy、CSSP)のマドハノ・ゎノィンドMadhav Govind准教授のもずで、「Scientometrics as a Tool for Effective Evaluation of Science, Technology and Innovation (STI) Policy Performance in a Developing Country Context発展途䞊囜における効果的な科孊技術むノベヌション[STI]政策評䟡のためのサむ゚ントメトリクス」ず題した研究の指導を受けたした。

むンドでの経隓から、むンドずナむゞェリアにおける研究環境の類䌌点ず盞違点は䜕だず感じたしたか

むンドに6ヶ月間滞圚した経隓から埗た印象をもずにお話したいず思いたす。たずは類䌌点ですが、どちらの囜でも、瀟䌚で必芁ずされる技術的発展、人々の瀟䌚経枈的生掻氎準の向䞊、持続的発展の実珟を目的ずした研究が䞻流です。䞀方、盞違点ですが、むンドでは、これらの目的を達成するために、囜家的なむノベヌションシステムが蚭定されおいお、より組織化されおいたす。むンド政府は、囜䞭に戊略的に配眮したむノベヌションリサヌチセンタヌに察しお、各地域の発展に寄䞎するこずを求めおいたす。これらの研究機関は、その任務を果たせるように、政府や民間から十分な支揎を受けおおり、適切な劎働環境ず最先端の蚭備が敎えられおいたす。孊術界や公的機関圹所、䌁業ずの亀流を図るためのセミナヌやワヌクショップも定期的に催されおいお、むンドの経枈的な競争力を高めるための蚈画が共同で進められおいたす。


䞀方、ナむゞェリアの研究環境の珟状はどうでしょうか。ありのたたをお話しするず、6幎間公務員を務めた䞭で感じたのは、ナむゞェリアの研究は、明確な目的を持っお戊略的に進められおはいないずいうこずです。これは、4幎に䞀床政暩が倉わっおしたうこずや、各政暩がその郜床新たな目的や方針を定めおいるこずが芁因ずしお挙げられたす。こういったアプロヌチは、倉化を続ける瀟䌚的ニヌズに察応するために継続的に曎新しおいく必芁のある長期的研究には向いおいたせん。たた、研究に圓おられる予算も䞍十分で、堎合によっおは、プロゞェクトのための予算ずしお蚈䞊された資金が、もっずも必芁ずされるずきに支払われず、予算幎床が終わる盎前に支払われるずいうようなこずもありたす。この問題は研究者たちの䞍満を生み、頻繁に抗議の声が挙がるようになっおいたす。䜕より深刻なのは、この問題が研究者のモラルに圱響を及がすこずで、ひいおはその成果物の質に圱響しかねたせん。むンドず違い、ナむゞェリアの省庁Ministries, Departments and Agencies、MDAsは、ニヌズではなく、政略的動機に基づいお動きたす。このようなシステムが、ナむゞェリアの省庁の働きが䜎氎準である芁因になっおいたす。ナむゞェリアには適切な機䌚やキャリアを求めおいる優秀な研究者がたくさんいるので、これは倧倉残念なこずです。

助成金申請に関するトレヌニングを受けたご経隓をお持ちですが、これに぀いお詳しく教えお頂けたすか若手研究者たちに、申請曞類を曞くずきのアドバむスをお願いしたす。

助成金申請に぀いおは、いく぀かトレヌニングセッションを受けたした。セッションでは、欧州での助成金申請、助成金の皮類、申請曞の審査プロセス、华䞋される申請曞の特城などに぀いお孊ぶこずができたした。


以䞋は、申請曞類の執筆に関する若手研究者ぞのアドバむスです:
 

  • すべおの申請曞に圓おはたる䞇胜なテンプレヌトはありたせん。資金提䟛元にはそれぞれのテンプレヌトがあり、申請者はそれに埓う必芁がありたす。
  • 適切な資金提䟛元を遞ぶためには、それぞれの機関が扱っおいる分野を理解し、助成の制限や締め切りなどを把握したしょう。研究提案募集Request for Proposals、RFPsでは通垞、資金提䟛察象ずする分野が芏定されおいたす。この芏定に該圓しおいない申請曞が承認されるこずはありたせん。
  • 締め切りは厳守したしょう。資金提䟛元が時差のある地域にある堎合は、早め行動する必芁がありたたす。時差による䞍受理を避けるためには、最䜎でも締め切りの1日前に申請曞を提出した方が良いでしょう。締め切り最終日に提出するこずは絶察に避けおください。なぜなら、コンピュヌタヌやむンタヌネット接続などの技術的な問題が発生しないずも限らないからです。たた、提出前の芋盎しず修正に時間がずれず、審査員の心蚌を悪くするようなミスだらけの申請曞を提出せざるを埗ない状況になるかもしれたせん。
  • 申請曞を曞く前に、関心のある研究テヌマに぀いお詳しく調べおおきたしょう。そのテヌマの珟圚の関心事や、資金提䟛元の求めに自分の研究がどう応えられるか、などに぀いお考えおおきたしょう。

倚くの研究者にずっお、孊䌚発衚はもう1぀の䞍安の皮です。こちらに぀いおも、ご経隓に基づいたアドバむスをお願いしたす。

孊䌚発衚は、ほずんどの研究者が䞍安に感じおいるものです。初めお参加する研究者にずっおはなおのこずでしょう。私は、本番の数週間前に、別の地域孊䌚や囜際孊䌚に出垭しお緎習の機䌚を䜜るようにしおいたす。自分が関心を持っおいる研究に぀いお、研究者たちの前で発衚するずいうのは、玠晎らしい機䌚です。若手研究者が䜙蚈な䞍安から解攟されるためには、緎習あるのみです。経隓豊富な研究者から質問されるこずも想定しおおかなければなりたせん。萜ち着いお、自信を持っお、自分を信じるしかありたせん。私は、質問されたら、「分かりたせん」ずは答えないようにしおいたす。そう答えるず、知識や自信のなさを衚明しおいるこずになっおしたうからです。難しい質問にも、できる限り答えるようにしたしょう。「この件に぀いおは、埌ほど議論しお、意芋や知識の亀換ができればず思いたす」などず付け加えるのも䞀案です。

科孊技術発展のための、科孊技術むノベヌションScience, Technology and Innovation、STI指暙に着目した論文を執筆されおいたす。このずおも興味深いテヌマに぀いお詳しく教えお頂けたすか

論文は、ケニアのAfrican Technology Policy Studies (ATPS) Networkのニュヌスレタヌずしお、TechnoPolicy Africa誌に、「Scientometrics and STI indicators as an option for improving S&T Development in Africaアフリカの科孊技術の発展のためのサむ゚ントメトリクスおよびSTI指暙」December 2016 Issue No. 0007 pp.5-6ずいうタむトルで掲茉されたした。


この論文では、アフリカの科孊技術発展のためのさたざたな取り組み䞖界サミット2005や囜連ミレニアム・プロゞェクト2005などに泚目したした。それらの取り組みはすべお、「アフリカで持続可胜な発展を実珟するには、STIシステムの構築が必芁である」ず匷調しおいたす。私はそれに察し、「瀟䌚の発展にSTIが寄䞎した床合いを枬定できない限り、それを定矩し評䟡するこずはできない」ず述べたした。そしお、特定の指暙を枬定するツヌルずしお、サむ゚ントメトリクスを提唱したした。「サむ゚ントメトリクス」ずいう蚀葉は、䜿甚する研究者によっおさたざたな定矩がありたす。サむ゚ントメトリクス分析ずは、簡単に蚀えば、䞻にビブリオメトリクスず特蚱指暙に基づいお、むノベヌションシステムを定量的に評䟡するこずです。この評䟡では、分野ごずの論文出版数が研究掻動の指暙になりたす。同様に、特蚱分析においおは、研究機関囜の特蚱数申請数および取埗数が科孊技術掻動の指暙になりたす。぀たりこの論文では、゚ビデンスベヌスの政策立案によっお、アフリカの研究環境を敎備しおいくこずの重芁性を䞻匵したのです。

サむ゚ントメトリクスのどの郚分に関心をお埅ちなのでしょうか。

出版に関連した指暙に関心がありたす。ずくに、生産性や匕甚の圱響床、科孊的コラボレヌションの指暙の評䟡に関するものです。たた、研究のアりトプットずむンパクトに関する、囜や研究機関単䜍での比范も行なっおみたいず思っおいたす。

発展途䞊囜をはじめずしお、党䞖界の持続的成長や発展に繋がる政策研究ぞの関䞎が目暙だず述べおおられたすが、これに぀いお詳しく教えお頂けたすか

ナむゞェリアが抱えおいる問題は、政策を䜜れないこずではなく、それを実行する術を知らないこずです。この状況に぀いおは、「Breaking the jinx: A Neo-Synthesis Approach to Successful Implementation of Nigeria’s National ICT Strategic Framework 2015-2020ゞンクスを砎ろう: 20152020幎のナむゞェリアのICT戊略的構想を実珟するための新たな総合的アプロヌチ」ず題した孊䌚論文の䞭で詳しく論じ、ニュヌデリヌで開催された囜際孊䌚Innovative Research in Mechanical, Electrical, Civil, Computing and Information Technology、MECIT-2017で発衚したした。ナむゞェリアの研究掻動は、瀟䌚的な問題や課題を解決するためではなく、研究者が所属機関で昇進するこずが目的になっおいたす。目的が達成されれば、研究成果を、人類や呚蟺環境に䟡倀を䞎える手段に転換しようずする努力をしなくなっおしたいたす。2012幎8月にInternational Journal of Innovation Management and TechnologyIJIMT誌に掲茉された私の初めおの論文「Strategic Approach to Research and Development (R&D) Commercialization in NigeriaナむゞェリアにおけるR&Dの商業化のための戊略的アプロヌチ」vol 3 No 4 pp 382-386では、連邊科孊技術省FMSTの各研究機関が任務ずしお䜜り出した200以䞊のR&Dアりトプットを利甚しお、倱業䞭の若者の雇甚創出を含む、ナむゞェリアの瀟䌚経枈的発展を目指すセヌフティネットずしおの状況解決モデルを提唱しおいたす。このように、私はい぀も瀟䌚の重倧課題を特定し、それを解決するための適切なモデルの提唱を目指しお研究に取り組んできたした。

研究ず政策にはどのような関係繋がりがありたすか研究者ず政策決定者はどの郚分で協力できるのでしょうか。たた、どのように協力すべきだずお考えですか

政策が䞊手くいくかどうかは、それが研究によっおどの皋床裏付けられたものであるかによっお決たりたす。研究が完了するず、結果をもずに立案した政策を、政策決定者に提案したす。ほずんどの政策は、それがいかに環境やシステムを改善するかずいう芳点で政策決定者を説埗するこずに焊点が圓おられたす。したがっお、研究ず政策は共生関係にあるず蚀えるでしょう。たた、政策は研究の方向性や重芁性を決定するものでもありたす。すべおの政策文曞には、いわゆる「実行蚈画構想」が含たれおおり、「実行蚈画曞」ずいう曞類が別途甚意されおいる堎合もありたす。いずれにせよ、すべおの政策は、倉化を必芁ずする理由が瀺された研究によっお裏付けられおいる必芁がありたす。政策立案プロセスでは、課題蚭定の段階から監芖・評䟡の段階たで、研究が鍵になりたす。研究によっお瀺された゚ビデンスが確かであるほど、政策提案の説埗力も匷化されたす。したがっお、研究者ず政策決定者は、政策の立案ず斜行においお、効率的か぀持続的なコミュニケヌション䜓制の䞭で協同する必芁がありたす。

研究者が、「政策に圱響を䞎える立堎にある」こずぞの意識を高めるには、どのようなこずが必芁ですか

研究者は、政策の立案ず斜行のあらゆる段階に関わっおいなければなりたせん。研究者が政策に圱響を䞎え続けるには、政府や関連助成機関が、研究・孊術機関ず政策決定者間のコミュニケヌションを匷固なものにする必芁がありたす。政府や政策決定者が政策を動かす「運転手」であるなら、研究者はその効果的な斜行に責任を負う「敎備士」ず蚀えるでしょう。


アデレケ氏、興味深いお話をありがずうございたした

孊術界でキャリアを積み、出版の旅を歩もうずしおいる皆様をサポヌトしたす

無制限にアクセスしたしょう登録を行なっお、すべおのリ゜ヌスず掻気あふれる研究コミュニティに自由に参加したしょう。

゜ヌシャルアカりントを䜿っおワンクリックでサむンむン

5侇4300人の研究者がここから登録したした。