コロナ禍で結婚式を中止し、研究のプレッシャーに追われる日々

コロナ禍で結婚式を中止し、研究のプレッシャーに追われる日々
2020年07月06日 556 ビュー

今年は私にとって、特別な年になるはずでした。結婚しようと思っていたからです。


私は、博士課程の2年目を終えたところでした。まとまった休暇は一度も取らずに駆け抜けてきたので(数日間の休暇は何度かありましたが)、結婚式の準備がすべてったタイミングで、2週間半ほどの休暇を取る予定でした。博士課程はストレスフルで嫌なことも多かったので、結婚休暇中は研究のことをすべて忘れて思い切り楽しもうと決めていました。


そうして実験をすべて終わらせ、休暇に入りました。しかし、最初の週末から翌週の平日にかけて、結婚式に招待していた人たちが新型コロナウイルスの感染拡大を理由に次々と出席をキャンセルし始めたため、私は不安と失望感でいっぱいになりました。ほかに選択肢があるはずもなく、結婚式は、当日の3日前に、翌年への延期を決めました。1年前から心待ちにしていた晴れの日だったので、それは苦渋の決断でした。博士課程のストレスからの解放感という意味でも、個人的に大きな意味を持っていた休暇は、社会情勢によって台無しになってしまいました。


研究室の主任とPIに状況を報告すると、2人とも気遣う言葉をかけてくれました。しかし、翌日の午前9時に2人から、「今後の研究計画について話し合いたい」と連絡がありました。そこで金曜日に電話で話したところ、PIから「研究室に来て実験ができないか」と打診されたのです。幸い、主任が「それはさすがに難しいだろう」と言ってくれましたが。


私はがっかりしました。今は年に一度の休暇の真っ最中です。休暇中の人間にミーティングの時間を取らせること自体が、そもそも間違っています。心身ともに限界を迎え、明らかに休みが必要だった私のような状況なら、なおのことです。私は休暇の1週間前、2年目の総括をしている途中にストレスのあまり吐いてしまうほど疲れ切っていたのです。


コロナ禍で大切な人を亡くした人が世界中にいることを思えば、結婚式を挙げられないことは大した問題ではありません。それでも、人生の一大イベントである結婚式を予定通り挙げられなかったことは、私にとって大きな痛手でした。この傷は、自分なりに癒していかなければなりません。結婚式をキャンセルした2日後(つまり挙式の前日になるはずだった日)にミーティングを持ちかけるのは、無神経な振舞いなのではないかと感じました。休暇に入る前に、やるべきことはすべてやったつもりです。それにも関わらず、ロックダウン中に実験のために呼び出すということは、私の心身の健康よりもプロジェクトを優先していると受け取られても仕方のないことだと思います。


最近、所属機関の研究員の1人から、大学院生宛てに、任意参加のジャーナルクラブについてのメールが発信されました。メールには、「ジャーナルクラブへの参加に消極的な学生が多いようです。そこで、参加者をランダムに選ぶことにしました。選ばれた方で、どうしても参加できない方はお知らせください。ただ、この状況では、ほかに行くところもないはずです!」と書かれていました。その下には、ランダムに選ばれた学生の名前がリストアップされていました。このメールを見て、私はパニックになりました。私は、博士課程の活動の中で、研究発表や、大勢の前で話すことに大きなストレスを感じています。博士課程のほかの学生たちと同じように、学会や研究発表には真剣に臨んでいますが、聴衆の前で話すことを想像するだけで気分が悪くなるのです。リストに自分の名前が含まれているか恐る恐る確認しましたが、なかったので、心底ほっとしました。


確かに、今は皆が家の中に閉じ込められている状況です。けれど、それは必ずしも、どんなことにも参加する時間や意思があるということではありません。私たちは今、パンデミックの真っただ中にいます。人々は、諸々の不確かなことに対処しなければなりません。大切な人を亡くした人、家で子どもの勉強を見ている人、仕事で忙しい人、気分が落ち込んでいる人など、状況は人それぞれです。ソーシャルメディアを見ていると、在宅ワークがよく話題になっていますが、その中のほとんどが、「1日数時間でも、仕事ができるだけでありがたい」といった内容です。私には、そこに、社会的孤立によるメンタルヘルスへの影響に配慮することなく、「いつも通り働け」という圧力が存在しているように思えてなりません。


所属機関は、この間に失った時間を埋め合わせるために博士課程期間を延長するかどうかを協議しています。在宅でどれだけ活動できるかによって、ケースバイケースで判断していく方針のようですが、このような状況下で、9時から17時まで執筆作業を続けることは不可能だという現実を考慮してくれることを願っています。人には、家族や友人と会えないことで受けるストレスと向き合うために、1日まったく仕事をしなくてもいい時間が必要なのです。


公私ともに不確かな要素は依然としてありますが、このロックダウン生活にも慣れてきました。私は、来年の結婚式のことを想像しながらモチベーションを保っています。その日は、仕事やストレスに邪魔されることなく、完全にリラックスした状態で愛する人々に囲まれることができる、人生でもっとも待ち焦がれた大切な日になることでしょう。

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