ある科学者の言葉:「今はまだコロナウイルスに気を緩める時期ではありません」

ある科学者の言葉:「今はまだコロナウイルスに気を緩める時期ではありません」

【注:この記事は、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン准教授のレナ・シリック(Lena Ciric)氏が執筆し、The Conversationで公開したものを、ここに再掲載したものです。シリック氏の経歴はこちらをご覧ください。】


新型コロナウイルスによるロックダウン中の生活や先行きの不透明感は、世界中の人々を困難に陥れています。束の間、平時に近い生活様式に戻れるチャンスが来たことを歓迎した時期もありましたが、ロックダウンの緩和後に多くの国で感染再拡大が起きたことで、パンデミックがまだ終わっていないことが示されました。今はまだ、気を緩めたりリスクを冒したりする時期ではないということを心に留めておかなければならないでしょう。


各国の政府はさまざまなアプローチでこのパンデミックに対応していますが、ソーシャルディスタンシングは共通する対策の1つとなっています。ソーシャルディスタンシングは、感染予防のためのもっとも強力な手段です。人と接する機会を減らすほど、ウイルスを拡げるリスクを抑えられ、感染者を減らすことができるからです。


67月の欧州での新規感染者数は著しい減少傾向にあったため、各国政府はロックダウンなどの措置の一部を緩和し始めました。


世界の1日当たりの新規感染者数は、英国のパブやレストランのほとんどが営業を再開した74日の時点では205610人でしたが、この記事の公開日には266864人まで増えました。この数字は、英国の新規感染者数がピークに達していた4月の3倍以上です。


このように感染者は増え続けており、感染リスクは依然として存在しています。89月の間に人々がより大きなリスクを負って社会活動をしていた事実を踏まえると、より厳格な対策を講じ続けていた場合と比べて、感染者は増えることになるでしょう。


2波の到来に備える


科学コミュニティでは、多くの人が2波は確実に到来すると考えています。そしてそれは、寒さが増す季節、風邪やインフルエンザが流行する季節にやって来ると考えられています。


しかし、その深刻度は、私たちの手に負えないわけではありません。すべての人がより慎重に行動するようになれば、今後数ヶ月で増加するであろう感染者や死者だけでなく、医療機関への負担も減らすことができます。


微生物学者の私は、ウイルスを含む有害微生物が屋内空間でどのように生息しているかを研究しています。3月以降は新型コロナウイルスの研究に携わっているので、その危険性も理解しています。


同時に私は、1人の人間です。家族や友人に会えないことを寂しく思っています。息子は、以前のように友人と遊ぶことも学校に行くこともできなくなっています。それによって彼の成長が阻害されるのではないかと気を揉んでいます。旅行や外食にも行きたいです。しかし、今気を緩めれば、自分や周りの人をウイルスに晒すことにつながります。このウイルスを相手に、そんなリスクを冒すつもりはありません。


確かに、感染者のほとんどは軽症です。しかし、重症化する可能性は常に存在しており、手遅れになってからでは遅いのです。私が軽症でも、夫は重症化するかもしれません。または、周囲にいる重症化リスクの高い人にうつしてしまう可能性もあるでしょう。


このウイルスがどのように活動し、どのように拡がっていくのかについて、私たちは日々知見を積み重ねてきました。その結果、政府はこの数ヶ月でより効果的な指示を出せるようになっています。確実なのは、感染者は症状が現れる前にウイルスを広める可能性があること、そして、無症候感染者の多くも感染源になり得るということです。これが、新型コロナウイルスが急速に拡がっていく理由です。


感染は主に屋内で起きることも分かっているので、人と接する場合は屋外がベストだと言えます。また、当初は空気感染の可能性を示すエビデンスはほとんどありませんでしたが、現在は確実にその可能性があることが分かっています。つまり、マスクやフェイスガードなどの着用が自分や周囲の人を守ることにつながるのです。また、細胞の中でも鼻腔内の細胞がもっともこのウイルスに感染しやすいというエビデンスもあるので、マスクなどを着ける場合は必ず鼻も覆うようにしましょう


どれだけ願っても、新型コロナウイルスが私たちの前から突然消え去ることはないでしょう。しかし、警戒や自制をさらに強めることで、医療崩壊を防ぎ、多くの命を失う事態に陥る可能性の目を摘むことはできるはずです。


職場、買い物、外食に行くときは一旦立ち止まり、その外出に本当にリスクを負う価値があるかどうかを考えてみましょう。

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