学術出版における中国の立ち位置とは?

学術出版における中国の立ち位置とは?

の記事では、トムソン・ロイターが2012年4月にリリースした国際出版報告、いわゆる“ Global Publishing: Changes in Submission Trends and The Impact on Scholarly Publishers” をまとめます。報告によりますと、世界的に、また個々の国において、学術論文の投稿率と受理率に変化が見られているそうです。

投稿数の年間合計は、国際的なジャーナルと地域のジャーナルのどちらでも、世界中で確実に増加しています。けれども、増加の程度は国によってかなり異なります。投稿数の合計において、アメリカは中国より先んじていますが、アメリカの占める割合は2005年の26.2%から2010年の22.9%へと減少しています。それに対し、投稿率の高い上位20カ国のうち中国が全投稿数に占める割合は、6.1%から11.3%へと、もっとも飛躍しています。

ですが残念なことに、中国からの投稿の受理率は他の国に比べると全般的に低いです。中国の受理率は2005年が26.2%、2010年が26.8% なのに対し、アメリカはそれぞれ50.8% と50.1%でした。このように、中国からの投稿は飛躍的に伸びているけれども、受理率は依然低いままです。2010年のデータに関して言えば、アメリカからの投稿数(23万本)は、中国の投稿数  (11万本)の約2倍で、論文の受理率もアメリカ(50.1%)が中国(26.8%)の約2倍です。ですから、2010年、アメリカからの掲載論文の合計は、中国の約4倍だったということになります。

この報告では、受理率の低さに関係する以下の要因について議論しています。世界的に見て論文投稿が圧倒的に増加していること、また短期間での論文掲載しなければならないプレッシャーから、ジャーナルの編集委員会はきわめて速いペースで、どの論文を査読に回すかを決定するよう求められています。その結果、編集委員会が、投稿された論文に最初の決定と最終決定を行う平均時間は少なくなっているというのが世界的な傾向です。つまり、5年前に比べて、査読に回されることすらないまま完全にリジェクトされる論文が多くなっているのです。

 

査読前に論文がリジェクトされる理由のいくつかが次のように述べられています。

幅広い世界の研究者との関連がない: 焦点がある地域だけにあたっている研究(一つの地理的な場所に特有のテーマ)、また、その地域の人だけが参加した研究というのは、世界の読者には関係がないととらえられやすく、完全にリジェクトされるのかもしれません。

 

剽窃(盗作): ある文化では、他の研究からテキストをコピーして自分の論文につけ加えることは、もと論文の著者への敬意を示す一つの方法だとみなすことがあります。しかし、出版倫理委員会が規定した国際的な基準によれば、こうした行為は結局、剽窃にあたります。論文をはじめにふるい分ける時、ジャーナルの編集委員会は剽窃検知ソフトを使うこともあります。その結果、論文の文章が他の研究の文章と非常に似ていることが明らかになれば、おそらく著者の意図があったかどうかに関わらず、リジェクトされるでしょう。

 

言語表現および構成の問題: ジャーナルの編集者と査読者には、言語表現や構成の問題がたくさんある論文に、関わっている時間も忍耐もないかもしれません。そうした論文は研究自体が価値ある物であっても、リジェクトされてしまうかもしれません。

ジャーナルの編集者が、良い研究を投稿する著者といっそう緊密に協力し、地域という障害を取り払い、掲載可能なレベルにまで論文の言語表現を改善したいと思ってくれるのが理想です。けれども、投稿論文数の全体的な増加、ジャーナルの発行期限、スペースの制約など様々な要因により、現実的なシナリオとしてそれは現在では不可能なので、ここでは、受理率を上げるのに役立つ方法をお教えしましょう。

1.    研究がある地域特有のものだったら、どうすれば研究知見が他の地域にも適用できるか議論しましょう。カバーレターでは、自分の研究が広く適用可能であることを強調し、上手に印象的に書きましょう。外国の研究者との共同研究という選択肢も視野に入れましょう。そうすることで、研究の射程範囲が広がり、あなた自身も国際的な研究実践に慣れるようになるでしょう。

2.    他の研究を参照するときは、一字一句内容を写してはいけません。自分自身の言葉で書き直し、必ずもとの研究の出典を引用すること。

3.    論文はできるだけ体裁をきちんと整えましょう。英語話者の同僚や校閲サービスの助けを借りて、論文に言語表現上の問題がなく、文章の流れをよくします。そうすれば、ジャーナルの編集委員会は、論文が見た目でどうかということだけでなく、その先にある、実際の内容や内容の重要性に注目してくれるでしょう。

 

まとめますと、中国は、研究費の増大と世界的に見た投稿数への寄与からわかるように、論文の受理率が十分に増加するならば、学術出版で世界のリーダーになれる力をもっています。

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