研究者間の境界と国際的相違を超えた科学

研究者間の境界と国際的相違を超えた科学

ノルウェー北極研究所(Norwegian Polar Institute /NPI)発行の学際的で査読付きの国際学術誌 Polar Researchの編集長である エレ・V・ゴールドマン(Helle V. Goldman)氏は、デンマークで生まれたアメリカ人の人類学者です。
ノルウェー気候・環境省の一部であるNPIに、16年勤めていらっしゃいます。ザンジバルでのフィールドワークにもとづき、ニューヨーク大学より、社会人類学分野のMA (1990) とPhD (1996)を授与されています。休暇にはボツワナを訪れますが、博士のご家族がオカバンゴ・デルタのはずれに原野を数ヘクタール所有しているからです。フィクション作品を編集したり、ノルウェー語の本を英語に翻訳したりされています。翻訳本にはたとえば、Norway in the Antarctic: from conquest to modern science (by J.-G. Winther et al., published by Schibsted in 2008) があります。博士のお住まいはトロムソで、北極圏内に位置しています (Many of her博士の著作 の多くは、申し込みに応じて入手することができます。博士の写真は、NPIのAnn Kristin Balto氏のご厚意によるものです。)

今回は、博士のインタビューの第三部、最終回です。世界各国の著者からの論文投稿について光をあてています。

 

中国、日本などから投稿された論文は、アメリカ、ヨーロッパからの投稿論文と質的には同じものですか? また、論文をより良くし、採択のチャンスを増やすため、東アジアの研究者へのアドバイスもお願いします。

私たちのもとには、質の高い論文も低い論文も世界中から投稿されてきます。私たちPolar Researchは、投稿者の英語の熟達レベルが様々であることを理解していますし、母国語ではない言語で執筆する場合、投稿者が直面する課題も十分認識しています。英語の文章の熟練度に自信がない方は、論文を投稿する前にプロ(科学的文章について経験がある人)にチェックしてもらうことを勧めています。 (ウェブサイトでこうしたサービスを提供する企業をいくつかリストアップしています。)
採択された論文はすべて徹底的な編集と校正を受け、表現を洗練させてから掲載しますが、査読中の論文に対してはこうしたことを行えませんし、場合によっては英語がうまくないと査読してもらうのも難しいということもあります。

それでもやはり、過去16年間で私のデスクで見つけた、最もうまく書けていなかった投稿論文の中には、英語のネイティヴ話者が投稿したものもあったということを指摘したいです。(たとえば)アメリカ人だというだけで、明快・簡潔・誤りのない英語が書け、科学論文を適切に構築し、ジャーナルが求める投稿規程に従うことができるわけではありません。ですから、英語を話せる友人や同僚に、論文を推敲してもらおうとするなら、ぜひその人の推敲がうまいことを確認してください。代わりにプロの手を借りることも考えてみましょう。 
 

何か特定の地域からの投稿論文が、言語や文章以外の理由で、作業するのがより困難だということはありますか? 何が難しくさせているのでしょうか、また博士のチームではそれにどのように対処していますか?

評価が最も困難だとわかった投稿論文の中には、ロシアの著者からのものがあります。それらの研究は、ロシアではおそらく広く受け入れられていますが、欧米ではまったく知られていない理論にもとづいているからです。参考文献リストには、ほとんど例外なく、英語では入手できないロシアの出版物しか載っていないかもしれないという事実は、査読者たちを困惑させます。こうした投稿論文についても公正に扱うよう私たちはベストを尽くしますし、政治的境界を越えて科学を伝え合うことが重要だと思っています。ロシアとノルウェーは長い間、科学に関し協力関係を結んできました。Polar Research がその協力関係にもとづいて設立されているのは本当に喜ばしいことです。けれども、自分の国や地域の外に広く行き渡っている理論を理解し、それにもとづいて自分の研究を組み立てていくことは、国際学術誌に投稿しようとしている著者にとっての義務です。これはけして、私たちPolar Research で頻繁に見られる問題ではありません(16年間の中で、わずか一握りの論文しか思い浮かびません)。また、みなさんが世界のどこにいても、国際的な科学論文にアクセスすることが簡単になっているのに伴い、結局のところこの問題は消失するのではないか、と思っています。


ゴールドマン博士、ありがとうございました!!

 

このインタビューシリーズは Alagi Patelが行ったものです。

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