掲載が早まれば、進歩も早まる: 迅速な掲載の基礎

掲載が早まれば、進歩も早まる: 迅速な掲載の基礎

"Every day that you wait is a day that people die."
 

ワイルコーネル大学医学部神経学教授Gregory Petsko(PhD)が、迅速な掲載にかんするF1000 Researchのビデオ で述べた言葉です。

科学について、出版について、科学的発見を必要以上に遅れることなく掲載することについて、Dr. Petsko博士の言葉はどれも全くその通りです。 

論文の投稿、査読、修正、完成まで含めた、従来型の掲載手順は数ヶ月に及び、研究分野、査読者が見つかりやすいかどうか、ジャーナルの刊行頻度によっても異なります。著者(とジャーナル)が、ジャーナルによる決定と論文掲載の予定が延長されても、それを受け入れようとしていたのは、はるか遠い昔のことです。今では、科学的発見、出版、研究者のキャリアアップは、質もスピード必要としています。免疫学や臨床研究のような分野では、迅速な掲載が、重要な医療関連の開発に 影響を与える可能性があります。また、従来型の掲載プロセスでは、科学的発見を迅速に共有させることができないかもしれません。掲載の遅れを減らす必要性に応え、ジャーナルと出版社の中には、迅速な掲載を行い始めているところもあります。研究者に、論文投稿後数日から数週間以内のジャーナル決定(あるいは掲載までも)を保証するような、加速化された掲載手順がとられているのです。

 

 

迅速な掲載を行うジャーナルは、どうやって迅速に掲載しているのか

従来型の掲載プロセスで一番集中され反復されるのは、査読、修正、完結の段階です。迅速な掲載を行うジャーナルはたいてい掲載後の査読 とオープンアクセスを選択し、時間の遅れを削減し、大量の投稿論文を管理しています。最初に投稿された後、論文は基本的な正確さ、関連性、オリジナリティ、剽窃、ジャーナルの範囲と一致する程度などの観点からスクリーニングされます。スクリーニングされ、認可された論文は査読なしとしてインターネット上に掲載されます。掲載された後に 査読され、査読者のコメントは論文とともに掲載されます。PubPeer やPublonsといったオープンなプラットフォームに論文を掲載し、より多くの多様な読者層からコメントを受け付けているジャーナルもあります。さらに、査読者(たち)が誰であるかわかるようになっているオープン・ピア・レビューを行う出版社もあります。

その後、著者は論文を修正し、修正された論文をインターネット上に掲載することができます。掲載が一番速いジャーナルは、オープンアクセスジャーナルであり、出典を適切に明記するのであれば、論文の内容の自由な使用をユーザーに認める、クリエイディブ・コモンズ・ライセンスの許可を得て論文を掲載します。迅速な掲載を行うジャーナルや出版社は、より早い掲載のためプレミア料金を課すのが一般的です。所属機関/助成金がオープンアクセス出版を射程範囲に入れている著者に対しては、出版社はまた、すすんで免除を申し出るかもしれません。 

 

著者の利益

あなたが研究者だったら、迅速な掲載は次の点で役に立つでしょう。

  • 競争力: 科学の研究は非常に競争が激しく、研究者としての評判は発表した論文によるところが大きいものです。研究結果の発表が早ければ早いだけ、他の研究者に比べ競争力が強くなります。
     
  • 出し抜かれるリスクが少ない: I別の研究者があなたと同じテーマを研究している可能性は常にあります。アイデアと論文の功績を第一に認められるのは、論文を最初に発表した研究者です。あなたのオリジナルのアイデアの功績を誰か他の人がH誰か他の人があなた独自のアイデアに対して功績を認められたり、学会で知られているように「出し抜かれ」たりすることは、研究者にとって最悪の悪夢です。迅速な掲載により、他の人に出し抜かれないようにし、自分独自のアイデアに対して確実に功績を認めてもらえるようになります。
     
  • B助成金/ポスドク申請: たいていの場合、論文発表は研究助成金やポスドクの職の前提条件です。これらの申請には時間の期限があるため、ジャーナルに論文が掲載されるまでの時間が短ければ、申請の〆切に間に合わせることができるでしょう。論文発表の業績一覧があれば、助成金やポスドクの職への申請が通る可能性も当然高まるはずです。
     
  • ペースが速い環境での知名度上昇: 掲載までの過程が短くなれば、業績一覧も早く作ることができます。さらに、迅速な掲載手段としてオープンアクセスをますます選ばれるようになると考えると、研究者の世界規模での知名度も高くなるでしょう。
     
  • 今後の計画を立てる: ジャーナルからの回答が早いと、論文発表までのプランをよりうまく、前もって立てることができます(特に、不採択の場合)。

出版社の利益

出版社もある程度は、従来型の掲載プロセスから離れ迅速な出版を採用することにより、利益を得ようとしています。

  • 一歩先を行く: 科学的発見を報告する競争は、ジャーナル/出版社の間にもあります。信頼のできるオリジナルの科学研究を迅速に掲載するジャーナル/出版社は、その分野の最新情勢の頼りになる情報源とみなされる可能性が高いです。
     
  • 投稿論文の増加: 長々と著者を待たせないジャーナルは、一時審査の結果を伝えるのに時間がかかるジャーナルよりも、評判がよいものです。それによって、世界中のより広い層の著者から、より多くの投稿を引き寄せる可能性が高まります。
     
  • 効率の向上: R論文を処理するスケジュールが短くなると、ジャーナルはより効率的な生産システムを得て、数多くの投稿論文を扱うことができるようになります。もちろん、これは迅速な掲載を行うジャーナル/出版社が、迅速な引渡しと同時に品質も保障するプロセスをとらなければならないことを意味しています。


但し書き

ジャーナルから決定が出され雑誌が製作されるのにかかる非常に長い時間への、まさに解決策となるのが迅速な掲載かもしれません。しかしながら、迅速な掲載を選択しようと思っているならば、慎重さが助けになるでしょう。科学の世界では果てしない競争と掲載へのプレッシャーは、疑わしい出版社を生み出してもきました。そうした出版社は、掲載の約束で論文の著者を誘いますが、本当のところ、関心があるのは独自のアイデアを盗み取ることなのです。

まず、金目当ての出版社(Predatory)あるいは偽出版社の犠牲にならないようにするため、正しいジャーナルを選ばなければなりません。ジャーナルのウェブサイトの情報に細心の注意を払いましょう。話がうますぎて信じられない約束には気をつけましょう。出発点として有効なのは、Jeffrey Beallが作成した、金目当ての出版社・ジャーナルのリストを参考にすることでしょう。次に、掲載後の査読のようなプロセスが、自分の研究の質の批判的評価に対しどのくらい力になってくれるかを、把握しましょう。自分の研究に関し、従来型の査読と、迅速に行われる掲載後の査読のメリットとデメリットを比較検討します。前者のほうが自分の研究にとっては価値があると思えば、伝統的な投稿方法を選び、無事掲載されるまで我慢しましょう。

最後に、迅速な掲載と掲載後の査読は、全く最近の動向です学術出版への型破りなアプローチの多くと同様に、これらも厳重な検査を受けており、科学の発展とコミュニケーションにどの程度の価値を与えるものなのか、今もなお吟味されているところです。迅速な掲載への賛否にゆれないようにするため、自分の研究および/またはキャリアがどのくらい利益を受ける立場にあるかを考え、それにもとづいて掲載方法を選択しましょう。

 

 

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