論文と書籍―文系の場合

シリーズ:
パート
03
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論文と書籍―文系の場合

書籍に関する校正・翻訳

――鈴木先生は本をたくさん出されていますよね?本を書こうと思って文章を書かれているのですか?それとも論文がある程度まとまったら、本にするのですか?

私は単著として『日本古代氏族系譜の基礎的研究』(東京堂出版)と『日本古代氏族研究叢書 大神氏の研究』(雄山閣)、共編著では『国造制の研究』(八木書店)を出していますが、このうち単著2冊は、いままで学術雑誌に発表したいくつかの論文を一つのテーマに沿ってまとめて出版したものです。


――日本語の論文を翻訳して、英語の論文を出したいというニーズもありますか?

ええ。それでいま書いているものを校正していただいています。


――そうでしたか。

いま私が働いている早稲田大学の高等研究所というところは、人文科学・社会科学・自然科学の若手の研究者が30人くらい所属していて、研究発表や会議なども全て英語なんです。そこで周りの先生から、日本の古代史で英語の論文を書く人はなかなかいないので、ぜひやってみてはどうかというアドバイスをいただいて。こういう環境に身を置くのも貴重な経験なので、せっかくだからチャレンジしてみようと思い、去年から今年にかけて論文を書いて、エディテージさんに校正をお願いしています。

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(写真:高等研究所がある早稲田キャンパス9号館)


――ありがとうございます。もうすでに論文になっているものを英語にするのですか?

アイディアとしてはそうですね。ただ、もとになる論文は同じフィールドの日本人の研究者向けに書いていて、かなり込み入った内容になっているというか、そのまま英語に訳してもほとんど伝わらないと思うので、外国の方にもわかってもらえるように、もとの日本語原稿から書き直したり、論文の構成も変えたりしています。日本の古代史をよく知らない外国の研究者にも、興味を持って読んでもらえるような形にしたいと思っています。


――自分で翻訳して校正する形ですね。エディテージでは、書籍に特化した校正・翻訳サービスも別にありますので。

そうなんですか。ぜひ検討してみたいと思います。


――著作の話になったのでお聞きしたいのですが、人文系の研究者の場合、本が業績になるんですか?

両方ですね。本と論文と。


――理系の場合、分野によっては書籍は業績にカウントされず、論文だけとか、査読付きの英語雑誌だけとかありますが、人文系の分野では論文と書籍の両方がカウントされるのですか?

人文系の中でもいろんな分野があるので一概には言えませんが、少なくとも古代史の分野では、まず論文をどれだけ書いているか。その中でどれだけ査読付きの雑誌にインパクトのあるものを書いているか。それと単著や共著がどれだけあるか。そういったところが評価の基準になっています。


――単著・共著や、使用する言語で業績の比重の違いはありますか?

論文と書籍とありますが、論文は基本的に単著です。理系のように共同研究のメンバー全員で執筆するということはまずありません。書籍の場合は、自分で一冊書く単著の方が、共著よりも評価されますし、単著の中でも専門書・研究書の方が、一般向けのものよりも評価されます。私の分野では、英語の論文はまだまだ少ないですし、英語だから高く評価されるというわけではありませんが、それでも英語で執筆した経験から得られるものは大きいと思っています。


――最後に今後の研究活動について、特に英語での研究成果の発表という観点ではどのように考えていらっしゃいますか?

私の場合は、神道の研究や、国宝に指定されている古代の古文書の研究が中心なので、そうした古代日本独特の文化やその価値を英語でもっと情報発信をして、海外の研究者と交流したり、フィードバックをもらったりすることで、自分の研究を深めたり、研究の幅を広げたりしていきたいですね。もちろん英語で論文を書くことは、日本語で書くより何倍も大変ですが、でも新しいことにチャレンジしていきたい。そして、そうした自分の経験を、大学で古代史を勉強している学生たちにも伝えていきたいと思っています。


――長時間にわたりインタビューにご協力いただきありがとうございました。引き続きよろしくお願いいたします。

前回までの記事も、どうぞご覧ください。
インタビュー第1回スタンダード英文校正を使う理由
インタビュー第2回古代史研究の意義と英語での情報発信

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