野口ジュディー先生の科学英語コラム第2回:「効率よく、盗用なく、科学論文を書くために」

野口ジュディー先生の科学英語コラム第2回:「効率よく、盗用なく、科学論文を書くために」

前回は自分の専門分野で効率的に英語をマスターするために「ジャンル」を利用することを勧めました。今回はそのジャンルの攻略法を紹介します。

専門分野でコミュニケーションをスムーズに行うために、ジャンルと言ったパターン化された文書(書いたものと口頭のものを含む)が繰り返し使われます。このパターン化には2つのレベルがあります。1つは全体の構成のパターン化で、もう1つは言葉や表現のパターン化です。

ここでは研究の成果をまとめて発表する科学論文のパターンを取り上げましょう。一見すると、非常に難しく感じるかもしれませんが、科学論文のパターンがわかれば、実はそれほど難しくありません。

そもそも科学論文は、面白い発見などを知らせる手紙が発展したものです。現在の科学誌の始まりは、ロンドンの王立協会の会員から初代事務局長のヘンリー・オルデンバーグ氏に送られた手紙をニュースレターとしてまとめたものでした。330年を経て、そうした手紙は現在の科学論文に発展し、科学者同志がコミュニケーションを取り合い、専門分野の知識を蓄積するツールとなりました。

研究論文では、研究の意義、背景、先行研究などを説明した後で、研究方法と研究結果を示し、その研究結果から導くことのできる結論を述べます。研究論文でこのようなパターン通りに情報を提示することで、最先端の研究が効率よく紹介でき、研究内容が正しく評価できます。これが研究論文全体の構成のパターン化です。

また、論文のどの部分でどのような内容を述べているかが分かるように、hint expressionsが繰り返し使用されます。これが言葉や表現のパターン化です。

たとえば、研究の意義を説明するには、“Over the past few decades” (Google Scholarで117,000件)や “Recently, X has emerged as (a promising alternative to)” (2,830件) といったhint expressionsを用いて、その研究が最近注目されていて、いかに重要であるかを強調します。また、先行研究があるにもかかわらず、まだ研究が必要である場合は “However, little is known” (195,000件) や “To date, there are no (studies that)” (47,300件) といった表現がよく使われます。論文を書く時に意識してこのような表現を使うと、説得力を持った読みやすい論文になります。引用元を明示せずに全文を写すこととは違って、これほど多くの人が使っているhint expressionsを利用することは盗用ではありません。

 

 

ジュディー先生の本の紹介:

理系英語のライティングこのように、科学論文のパターンが分かれば、論文を早く、効率よく読めるようになり、論文を書く時にも非常に大きな助けとなります。論文のパターンやhint expressionの見つけ方などは「理系たまごシリーズ(3)理系英語のライティング」で詳しく説明しています。また、自分の専門分野に特化したコーパスの作り方や、コーパスの簡単な利用法も紹介しています。

 

 

 

 

野口ジュディー先生のプロフィール:ハワイ大学(化学専攻)卒業、テンプル大学大学院修士課程修了(外国語教育)、バーミンガム大学博士課程修了。博士(応用言語学)。現在、武庫川女子大学薬学部教授(英語)。ESP(English for specific purposes)とJSP(Japanese for specific purposes)の研究、ESP教材開発、ESP教育を専門とする。主な著書に『Judy先生の耳から学ぶ科学英語』、『Judy先生の成功する理系英語プレゼンテーション』(共著:講談社サイエンティフィック)、『テクニカル・イングリッシュの基礎と演習』(総監修:研究社)、『理系英語のライティング』、『理系英語のプレゼンテーション』(以上共著:アルク)など多数。

 

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