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学術論文における時制の使い分け

英語は汎用性の高い言語ですが、時制の使い分けに苦労する人も多いのではないでしょうか。とくに科学論文を執筆するときは、どの時制で書くべきかに頭を悩ませることでしょう。科学論文で使うべき時制は、IMRaD形式の各セクションによって異なり、それぞれのセクションにふさわしい時制があります。主題となっている研究プロセスの側面に応じて、使用すべき時制は、より細かく複雑になっていきます。以下の図は、研究論文を書くときに選択すべき正しい時制を、セクションごとにまとめたものです。この図を参考にして、論文出版というゴールに一歩近付いて頂ければ幸いです!
※こちらの図はPDF版のダウンロードが可能です。プリントするなどして参考資料としてお気軽にご利用ください。

【科学論文における時制の使い分け】
1. イントロダクション
以下の内容は単純現在形で書く:
・研究の背景と目的
・テーマに関する先行研究
・普遍的な一般的事実
[例:The Earth revolves around the sun.(地球は太陽のまわりを回っている)]
[例:Multiple sclerosis is an autoimmune disease that affects the central nervous system.(多発性硬化症は中枢神経系に影響を及ぼす自己免疫疾患である)]
・自分の研究に関連する、事実と考えられる先行研究の結果
[例:Many studies suggest that periodic mechanical stress inhibits the development of osteoarthritis.(多くの研究は、周期的な機械的負荷が変形性関節症の進行を抑制することを示唆している)]
以下の内容は単純過去形で書く:
・過去に真実と考えられていたが、誤りであることが明らかとなった知見
[例:Bats were thought to be blind.(コウモリは盲目であると考えられていた)]
[例:Fibromyalgia was considered a psychosomatic disorder.(線維筋痛症はかつて心身症の一種と考えられていた)]
・先行研究の研究方法の説明
・先行研究が何を行い、何を明らかにしたかを説明する場合
[例:Takizawa et al. (2023) found that Vitamin D consumption mitigated the risk of meningitis.(Takizawaら(2023)は、ビタミンDの摂取が髄膜炎のリスクを軽減することを見いだした)]
2. 文献レビュー
テーマに関連する先行研究の説明は、単純過去形で書く。ただし、複数の時制を組み合わせる場合もある:
・研究または著者に焦点を当てる場合は、過去形
・研究に関して自分の視点を語る場合は、現在形
・最近の先行研究を引用する場合、または過去の研究を一般化する場合は、現在完了形
[例:Recent studies have shown that… (最近の研究は…ということを示している)]
[例:Several researchers have studied these stimuli…(複数の研究者がこれらの刺激について調べている)]
3. 材料および実験方法
・自分が何をどのように行なったかを説明する場合、これらの行為がすでに完了している場合は単純過去形で書く
・初期段階の実験手順を説明するときは、必要に応じて過去完了形で書く
[例:Subjects who had been assigned to the control group were given a placebo instead of Drug A.(対照群に割り当てられた被験者には、薬品Aの代わりに偽薬が与えられた)]
4. 結果
・論文執筆時点で実験が完了している場合は過去形で書く
・結果を説明するために図表を引用する場合は現在形を使う
[例:Fig. 3 shows that…(図3が示すように…)]
・自分の論文をまとめる場合も同様
[例:Section 4.1 discusses…(4.1では…について述べている)]
5. 考察
・知見をまとめるときは過去形を使う
[例:In our study, X induced changes in Y.(本研究では、XがYに変化を引き起こした)]
・結果の解釈や有意性、結論を述べるときは現在形を使う
[例:Our findings have valuable implications for …(本研究の知見は、…に対して重要な示唆を与える)]
・結果をもとにした今後の課題や必要な研究に言及するときは未来形を使う
[例:Future studies will need to control for …(今後の研究では、…を統制する必要がある)]
その他のよくある質問
ナラティブ時制 (Narrative Tenses)とは?
ナラティブ時制とは、物語や経過を語るときに用いられる時制のことです。主な4つのナラティブ時制は以下の通りです。
・単純過去形
[例:Takajima et al. showed …(Takajimaらは…を示した)]
・過去進行形
[例:Before the principal entered the room, most students were talking while the teacher was teaching.(校長が教室に入る前、教師が教えている間、生徒の多くは話をしていた)]
・過去完了形
[例:Rituximab had been effective in several preliminary studies.(リツキシマブは、いくつかの予備研究において有効であった)]
・過去完了進行形
[例:By 1990, researchers had been using data management tools for nearly 3 decades.(1990年までに、研究者たちはほぼ30年にわたりデータ管理ツールを使用していた)]
研究論文の同じセクション内で異なる時制を使ってもよいですか?
はい、研究論文のどのセクションでも、複数の時制を組み合わせて使うことは可能です。
たとえば結果のセクションでは、
“In the intervention group, once-daily dosing increased medication adherence. Figure 3 shows a detailed comparison of …”
(介入群では、1日1回の投与により服薬遵守率が向上した。図3は、…の詳細な比較を示している)
のように、過去形と現在形を併用できます。
参考資料:
科学論文における時制の使い分け.pdf

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