「地震や津波が起きたときの対処法を発信して、被害を回避する」 丸山 喜久先生(千葉大学)

「地震や津波が起きたときの対処法を発信して、被害を回避する」 丸山 喜久先生(千葉大学)

千葉大学大学院工学研究科建築・都市科学専攻で准教授をされていらっしゃる丸山 喜久先生にインタビューをさせて頂きました。

 

ご経歴を教えていただけますか?

2000年3月に東京大学工学部の土木工学科を卒業し、修士、博士課程へ進学しました。博士を取得後の1年間は東京工業大学で21世紀COEプログラム「都市地震工学の展開と体系化」のポスドクとして研究をしていました。
2005年3月から現在の千葉大学に助手に赴任し、助教のポジションを経て2009年10月から准教授として研究と学生への指導をしています。

 

東京大学では土木を専攻されていたということですが、きっかけは?

高校生のときに、兵庫県南部地震があったのですが、それで高速道路が崩壊するのを見て、当時は「なんでこんなことになるんだ!」という衝撃がありました。そのときの経験から、自然災害に強い、地震に関わるインフラ系のことを学びたいと思い、土木を選びました。
東京工業大学でのポスドクでは、橋梁の耐震構造が専門の研究室に所属していました。ここの研究室では自分たちで橋脚のモデルを作って、載荷実験をしていました。

 

ポスドクを経て、千葉大学ではどのような研究をなさっているのでしょうか?

千葉大学に入った当初は、東京大学時代の指導教員の下で研究を始めました。そのため、研究内容も指導教官の研究に近い内容でしたが、2009年に准教授になってからは、教授と准教授は別々に研究するのが学科の方針なので、自分でテーマを探しました。主に地震防災に関わる研究をしています。災害のときの交通などのテーマを扱っています。

 

世間ではポスドクから就職をするのが大変と言われていますが、就職活動でどんな苦労がありましたか?

私も就職試験で受けたところが落ちたりして、本当に狭き門だなっていうのを感じています。東京工業大学時代のポスドクは3年間の在籍は認められている契約でしたが、年度ごとの更新があります。大学の教員や研究所の職員になれるのは、採る側のニーズと自分の専門が合致しているのが条件で、かつ業績も見られるので、自分も経験上、厳しい世界だと思ったことはあります。


今もお話を聞いて、やはり研究者への道は狭き門だと思うのですが、それをくぐりぬけるために何かやられてきたということはありますか?

指導教員に言われていたことは、「とにかく論文を書け!」ということでしたので、チャンスがあれば論文を書き、学会や国際会議に参加して、世界中の研究者の発表を見て、インスピレーションを受けながら自分のアイディアやネタを増やすということをしていました。そのような場で研究者としての刺激を受けることができ、私は恵まれていたほうだと思います。

 

国際的な会議の場合、英語で意思疎通をする機会がたくさんあると思うのですが、いかがでしたか?

幸いなことに、当時すでに、自分が所属していた東京大学大学院社会基盤工学専攻の授業はすべて英語でしたので、土木に関する専門用語は大学の授業を通して学ぶことができました。国際会議でも英語の質問が聞き取れなかったことは少ないですね。ただ、それに答えることには慣れていなかったのでが難しかったですね。

 

論文に関しても日本語で書かれたり、英語でかかれたりされると以前うかがったのですが。

そうですね、土木学会ではほとんどの人が日本語で論文を書いています。ただ、それだけではだめだとおっしゃる先生が多いので、英語の論文を書けるように頑張りました。英語のジャーナルに投稿する努力もしてきたつもりです。

 

現在の研究内容について教えてください。

継続的に研究しているテーマとしては、「リアルタイム地震防災システム」というもので、どこにどんな被害が起きそうかという予測をして、緊急対応に生かすというシステムです。もともと地震の強さと被害の程度の関係性の評価など地震関連の研究を扱ってきたのですが、2011年の東北地方太平洋沖地震で津波の被害が大きかったということもあって、今は津波についても研究しています。津波発生時には車での避難は危険といわれます。しかし、お年寄りが避難する場合、そうもいってられない状況もあります。

車を運転中に津波が来た場合どう人は行動するのか?ドライビングシュミレーターで分析し、運転中に津波がくることを想定した実験ができるようにしました。津波警報はカーラジオ、緊急地震速報、エリアメールなどを見ればわかります。その情報を受けたら、どのようなルートで避難するか,走行実験の被験者からデータを集めます。

このデータをもとに、避難の際、できるだけ危険性を減らすような情報提供ができないかという点にフォーカスしてシステムの構築をしています。例えばカーナビを通して、「この範囲より外にいってくれ」とか、「ここまでいけば大丈夫」などの情報を発信することによりて、自動車で逃げるときのリスクを多少なりとも、減らすことはできないだろうかということをやっています。これは他ではやられてない研究だと思います。

 

エディテージの英文校正をご利用していただいております。ご感想をお伺いしたいのですが。
 

私自身留学の経験がないので、指導教員とやっていたときは指導教員に英語を直してもらったりしたのですが、今はそういう人がいないので、大変助かっています。英語で論文を書く際には、特に冠詞が難しいですね。aなのか、the なのか、そもそも単数形でいいのか、複数形でいいのか、などそのあたりが難しいなといつも思います。そういうところばかりではないですけど、適切に直してもらえるので、有難いなと思います。

 

では、最後に今後の抱負をお願い致します!

地震や津波は頻度は少ないのですが、一度起きると多くの人が亡くなったりするので、犠牲者を一人でも減らすよう貢献したいと思っています。また、生き残った人たちはライフラインが止ったりして生活に支障がでてくるので、その支障をなるべく短い期間にできるようにしたいと思います。このようなことに貢献できるような研究をしていきたいと思います。

 

丸山先生のプロフィール:1996年に桐蔭学園高等学校卒業し、東京大学へ入学、大学院へ進学。2004年に博士課程終了後は21世紀COE研究員として東京工業大学の都市地震工学センターで1年間過ごす。その後は現在所属の千葉大学大学院工学研究科 建築・都市科学工学専攻で教育・研究を続けている。
専門分野 :リアルタイム地震工学 /  都市防災 / 外乱下の車両走行安定性
好きなスポーツ:野球
最近夢中になっていること:月に数回,野球をやってストレスを発散してます
丸山先生のホームページ

 

 

学術界でキャリアを積み、出版の旅を歩もうとしている皆様をサポートします!

無制限にアクセスしましょう!登録を行なって、すべてのリソースと活気あふれる研究コミュニティに自由に参加しましょう。

ソーシャルアカウントを使ってワンクリックでサインイン

5万4300人の研究者がここから登録しました。