「認知行動療法のKAIZENを目指して」小堀修先生(千葉大学)

「認知行動療法のKAIZENを目指して」小堀修先生(千葉大学)

小堀先生のご経歴について教えてください。

東京大学大学院では、臨床心理士になるための訓練を積みながら、完全主義というパーソナリティを研究していました。その後は、イギリスのキングスカレッジロンドンで3年半、強迫性障害について研究し、現在は千葉大学で健康不安 (心気症) の研究をしています。
 

学生時代に研究された完全主義について教えてください。

完全主義は、高い基準を自分自身に課し、粘り強く努力するという側面と、ミスが自己評価に大きな影響を与えてしまう側面を合わせ持つパーソナリティです。スポーツで活躍する選手や音楽家だけでなく、精神疾患を持つ方も完全主義が高いので、これはどういうことかと興味を持ちました。
 

強迫性障害とはどんな障害ですか?

強迫性障害は不安障害のひとつです。不安は誰もが体験する感情ですが、強い不安が長く続くと、不安障害になります。他者からの否定的な評価を恐れるのが社交不安障害、通常の身体感覚を破局的に受け止めてしまうのがパニック障害、自分自身や他者に危害を引き起こしてしまうと感じるのが強迫性障害です。例えば、自分が念入りに手洗いをするかしないかで、自分や他人が病気になるか決まってしまう、自分が注意深く玄関の確認をするかしないかで、強盗がやってくるかが決まってしまうと、強迫性障害を持つ人は考えてしまいます。

小堀修先生のプロフィール:2010年より千葉大学 社会精神保健教育研究センター 特任講師。臨床心理士・学術博士。2001年 東京大学 教育学部卒業後、2006年 東京大学大学院 総合文化研究科を修了。2006年~2010年 ロンドン精神医学研究所にてポスドク研究員。
小堀先生のホームページ 


 

ポスドク時代のロンドン留学で研究されたことについて教えて下さい。

ロンドンでは、再保証を求める行動について研究していました。「自分以外を通じて、大丈夫であることを確実にする」ための行動です。日常的にも「さっきの私のプレゼン、大丈夫だった?」と他人に聞いたり、赤ちゃんの咳が止まらないときに、インターネットで対策を調べて安心したりします。強迫性障害の場合「ちゃんと手を洗えたか」を家族に見ていてもらったり、家族にも手洗いを強要することもあります。家族の返事が「まあ大丈夫じゃない?」と曖昧だったり、家族がいい加減に手を洗ったりすると、その対応にイライラします。再保証を求める行動は、強迫行為と同様、本人の回復を妨げるだけでなく、人間関係のトラブルの種にもなります。
 

千葉大学ではどのような研究をされていますか?

千葉大学では、再保証を求める行動を健康不安 (心気症) という疾患に広げて研究をしています。健康不安とは、診察や検査で異常がないにもかかわらず、やはり病気があるのではないか、今日は見つからなかったけれど、これから病気になってしまうのではないのか、と心配を続けてしまう障害です。
健康不安では、診察を繰り返したり、検査を要求したり、インターネットで病気を調べたりすることが、再保証を求める行動になります。強迫性障害に比べると対人関係のトラブルは少ないものの、診察や検査は医療費を増やしてしまいます。健康不安という概念と治療法を広め、かつ、再保証を求める動機づけを明らかにすることで、医療費の削減に寄与できると考えています。

 

小堀先生は英語で苦労されたご経験はありますか?

英語で苦労した点は、イギリスに留学する前と、留学中とでは異なります。 留学前で苦労したのは、国際学会でのランチタイムやレセプションです。プレゼンテーション自体は練習すれば上達します。質疑応答も難しいですが、受け答えの台詞を覚えてしまえば、心に余裕が出ます。ランチタイムでは、多くの会話が飛び交いますし、思いがけない質問をされることがあります。25歳くらいのときに、ある学会のランチタイムで日本のことについて聞かれましたが、うまく答えられませんでした。とてもショックで、帰国したあとすぐに語学学校に通うことにしました。
留学中では、気持をしっかり英語で伝える難しさがありました。同僚が強盗に入られて、パソコンを盗られてしまったとき、しっかりとした言葉がかけられなかったという体験がありました。日本人的な感覚で、暖かい感じで寄り添っていれば良い、というのは通じないんですね。ちゃんと言葉をかけなければ伝わらないという文化差があります。一言でいうと、真心をどう伝えるかというのが非常に難しい。

 

小堀先生には長い間エディテージを使って頂いております。エディテージの印象はいかがでしょうか?

どれだけ英語論文を書いても、校閲しないで投稿するのは難しいでしょうね。特に心理療法の事例研究を書くときは、ニュアンスがしっかり伝わるか、必ず検閲してもらいます。エディテージは、若手研究者が投稿しやすいようにサービスを提供していると思います。プレミアム英文校正や論文投稿支援パックなどがそうですね。この前、エディテージから校閲後のファイルが戻ってきたときに、「英語がよく書けていて内容が面白い」という割引を貰ったのはすごく嬉しかったです。また、私自身そうなんですが、周囲に自分と同じ専門分野の研究者がいない中堅研究者にとっては、応援団みたいな役割を担っていると思います。心強い存在ですね!
 

小堀先生の今後の抱負は?

将来の抱負というか、いつでも心がけていることですが、自分の認知行動療法を日々改善していくことです。そして、毎日1行でもいいから英語論文を書くこと、新しい教育方法を身につけることです。1日の終わりに、実践、研究、教育の3つの領域で、それぞれ何を改善できたか、振り返ることを習慣にしています。

 

小堀修先生のプロフィール:2010年より千葉大学 社会精神保健教育研究センター 特任講師。臨床心理士・学術博士。2001年 東京大学 教育学部卒業後、2006年 東京大学大学院 総合文化研究科を修了。2006年~2010年 ロンドン精神医学研究所にてポスドク研究員。
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