論文のパーソナルオーディエンスを獲得するには

論文のパーソナルオーディエンスを獲得するには

ジャーナルのアクセプト通知には、論文のオンライン公開や宣伝に関する編集者からの要請が含まれていることがあります。ジャーナルは、掲載論文が広く読まれて引用されるほど自誌の知名度や評判を高めることができるので、そのような要請があることは理解できます。しかしこれは、著者であるあなたにも利益をもたらすことなのです。とはいえ、論文の宣伝は骨の折れる作業です。なぜなら、膨大なコンテンツが制作され消費されている昨今のオンライン環境(しかも、ほとんどの宣伝活動がここで行われている)で注目を集めるのは、至難の業だからです。


2018年のあるデータ[1]によると、Twitterでは毎分47万以上のツイートがあり、Instagramでは49000件の投稿があり、動画は400万回視聴されています。


ンラインプロモーションに不慣れな研究者にとっては、このようなデジタルの雑音の中をくぐり抜けることは、果てしないタスクのように感じられるかもしれません。その結果、散発的なメディア報道にのみ依存したり、注目を集めるためにセンセーショナルな方向に走ったり、タスクそのものを避けたりしたくなることもあることでしょう。


しかし、道はほかにもあります。オンラインチャンネルでのコンテンツマーケティングを通じて、自分だけのパーソナルオーディエンスを集めればよいのです。この記事では、研究の宣伝対象となるオーディエンスを獲得するためのオンラインチャンネルを探して、アクセスするための、簡単なプロセスを紹介します。


この記事を読んで、取り入れられそうなことがないか、ぜひ探ってみてください。


パーソナルオーディエンスを獲得する


新たに発表した論文がどれだけ関心を集められるかは、研究の質と新規性のほか、その論文について直接的に宣伝できる人数にかかっています。


この集団(同僚、フォロワー、研究に関心を示した人々とのつながり)こそが、あなたのパーソナルオーディエンスです。パーソナルオーディエンスとは、あなたに一定の管理権があり、特定の組織やプラットフォームとは無関係な人々です。マーケティングやジャーナリズムなどの領域[2]では、パーソナルオーディエンスは、オーディエンスの「オーナー」に価値をもたらす新たな業績への関心集めるための、現実的な戦略上の強みと見なされています。


ジャーナル論文の出版戦略には、注げる時間と労力の点から見て、山と谷があります。谷にいる間は、パーソナルオーディエンスの確立と拡大を図り、その人たちに論文の宣伝をする準備をすることで、研究のインパクトをより高めるための力を蓄えましょう。


そのための基本プロセスは、きわめてシンプルです:
 

  1. アクセス可能、またはアクセスしたいオンラインチャンネルをいくつか選ぶ。
  2. それらのチャンネルで、自分の研究分野に関連する興味深いコンテンツを継続的に発信する。
  3. 機が熟したら、オーディエンスに自分の最新の研究を宣伝する。


オーディエンスが拡大すれば、研究をより多くの人に届けることができ、より大きなインパクトを与えることができます。いざ検索してみると、あらゆるタイプのチャンネルが利用できることが分かります。まずは、一定のオーディエンスが用意されている可能性のあるチャンネルから始めてみましょう。


第三者のチャンネルを利用する


まずは、すでに用意されている外部のコミュニケーションチャンネルを見てみましょう。オーディエンスを獲得するためのもっとも手軽な手段は、すでにオーディエンスを持っているプラットフォームを利用することです。あなたがそのプラットフォームのオーナーに利益をもたらすことができるなら、研究のサポートや宣伝に、喜んで協力してもらえるでしょう。


以下は、研究のシェアに関心がある団体が運営する、一般的なオンラインチャンネルのリストです。


利用できそうなチャンネルについて、自分の研究をシェアできそうなニュースやブログのセクションがあるかどうか、確認してみましょう。必要なら運営者と連絡を取り、自分がそのチャンネルにどのように貢献できるかについて相談してみましょう:
 

  • 助成団体のウェブサイト
  • 所属する機関や部門のウェブサイト
  • 研究者として会員になっている団体や協会のウェブサイト
  • 同僚や共同研究者の個人ブログ
  • 関連研究を行なっている企業のウェブサイトやブログ
  • 業界のウェブサイトや、分野の評論家のブログ
  • 関わっている共同研究プロジェクトのウェブサイト


これらのチャンネルは既存のものなので、あなたがやるべきことは、適切な相手に、適切なタイミングで、自分のコンテンツを提供することだけです。もちろん、プラスアルファの労力を注ぐ余裕があれば、パーソナルオーディエンスの構築に役立つチャンネルはほかにもあるでしょう。


ソーシャルメディアアカウントやネットワーキングプラットフォームを見直す


ソーシャルメディアで研究を宣伝する方法については、すでに慣れ親しんでいると思いますので、ここでは詳しく説明しません。ここまではチャンネルを検討してきましたが、ここからは、過去に設定したものや、今後利用できそうなウェブサイトやソーシャルメディアアカウントを見ていきます。以下は、そのスタートに適したプラットフォームのリストです:
 


研究の成果物を追跡するためのツールは、それらをシェアするためのチャンネルとしても利用できます。一部の有名なセルフアーカイブプラットフォームでは、ユーザーがニュースやアップデートをシェアできるため、自分が過去に出版したすべての論文に注目を集めるのに役立ちます。


もちろん、これらのすべてがあなたにとって役立つものとは限りませんし、このような作業に費やせる時間にも限りがあるでしょう。したがって、11つを吟味して、自分がインパクトを与えたい層に情報を届けるための最良の選択肢を検討し、選ぶ必要があります。


また、これらを「2次チャンネル」として利用することも可能です。新たなコンテンツの作成に時間と労力の必要なプラットフォームとしてではなく、別の場所で作ったコンテンツへのリンクのみを共有するプラットフォームとして利用するのです。


先述した第三者のチャンネルと、ここで紹介したソーシャルメディアとネットワーキングのプラットフォームを組み合わせれば、オーディエンスを獲得するための潜在的機会が広がります。そして、この組み合わせのパズルには、もう1つのピースがあります。


自分のウェブサイトを持つ


あなた個人のウェブサイトがあれば、ターゲットオーディエンスとコミュニケーションをとるための重要なチャンネルになるでしょう。自分のサイトは、自分でもっとも管理しやすいものでもあります。


個人のウェブサイトは、その役割の大小に関わらず、パーソナルオーディエンスを構築する上で、自分が望む通りの役割を持たせることができます。一部の研究者は、個人サイトを、オンラインの履歴書や大学ウェブサイトのプロフィールページと同様の機能を果たす、単なるポートフォリオとして利用しています。一方では、積極的にブログを投稿したりサイトを更新したりすることで、さまざまなターゲットオーディエンスに向けて興味深い情報や素材を提供し、論文の質の向上につなげている研究者もいます[3]


学術的成果物の宣伝効果を高める手段としての個人ウェブサイトは、あなたの仕事に関心を持つ人々にとって、重要なサービスとなります。あなたの学会発表を聴いた人や、あなたが書いた記事を読んだ人、論文や参考文献からあなたの名前を記憶している人は、あなたについてもっと知るために、個人サイトを検索するでしょう。したがって、そうした人たちのためにも、明確性と一貫性があり、情報が可能な限り最新の状態に保たれた、質の高いサイトを用意するようにしましょう。


もちろん、タスクの優先順位やスケジュールは千差万別なので、個人サイトをどのように活用するかは個人の自由ですが、継続的なメンテナンスを最小限に抑えつつ、サイトをよりアクティブで有益なものにする方法はいくつかあります。それは、情報をシェアするために利用しているほかのチャンネルを組み合わせることです。


これには、以下のようなアプローチがあります。ただし、ウェブ技術やコンテンツ管理システム(CMS)は各サービスによって異なるため、ここではそれぞれの実装方法の詳細な説明は省きます:
 

  • Twitterフィードを埋め込む – サイトを訪れた人は、あなたがシェアしている最新の情報やリソースを見ることができます。
  • LinkedInバッジを埋め込む – 最新のアップデートを直接的に見せられるわけではありませんが、LinkedInで定期的にリソースをシェアしていれば、サイトのユーザーは、あなたのプロフィールにアクセスしやすくなり、あなたとつながることができます。
  • 所属機関や所属部門のResearchGateアクティビティを埋め込む – ResearchGateには現在、ウェブサイトで使用できる3種のプラグインがあります。これらを通じて、所属機関や所属部門のResearchGateメンバーの統計や、求人のフィードを提供しています。これらのプラグインは、新たなメンバーや出版物を自動的にアップデートしてくれるので、自分でメンテナンスを行う必要はありません。
  • 自分の出版リストを埋め込む、リンクを貼る、掲載する – 用可能な学術成果のすべてをウェブサイト上でリスト化すれば、最小限の手間で最新の状態に保つことができます。これは、研究者としての活動成果の実証に役立ち、成果物全体の流れを示すことができます。出版時期が最新のものから順にリストを作ると、読者にとって分かりやすいでしょう。
  • ほかのコンテンツとリンクした小コンテンツ – 新しい論文を出版するたびに、マスコミで紹介してもらったり、ウェブサイトで取り上げてもらったりします。そうすることで、自分のウェブサイトのコンテンツが簡単に作成できます。数パラグラフの文章を書いて論文のリンクを貼るだけでも十分です。Googleアラートなどのツールを使用すれば、ウェブ上での自分の名前や研究分野に関するコメントを、自動的に追跡できます。


個人のウェブサイトで、自分が何者で何をしている人なのかをうまく示すことができていて、上記のような管理のしやすいダイナミックな要素を少しでも取り入れられているなら、そのウェブサイトは、研究の宣伝にうまく役立っていると言えるでしょう。


まとめ


この記事では、新たな論文をシェアするときにターゲットオーディエンスにアクセスするための、さまざまチャンネルの概要を紹介しました。ここで得た知識を活用して、うまくスケジュールを調整しながらパーソナルオーディエンスを獲得し、その人たちに論文を宣伝するための戦略を立てましょう。

うまくいくことを願っています!


出典:

[1] https://www.domo.com/learn/data-never-sleeps-6

[2] https://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/17512786.2015.1036903

[3] https://www.timeshighereducation.com/blog/seven-reasons-why-blogging-can-make-you-better-academic-writer

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