グラント申請のレビュー制度の改善に向けて: Publonsによるグローバル調査の概要

グラント申請のレビュー制度の改善に向けて: Publonsによるグローバル調査の概要

ピアレビューウィーク2019は終了しましたが、「査読(レビュー)」には今後も注目していかなければなりません。20199月には、Sense about Scienceによる(信頼と質という観点から)査読に関する調査結果が公開されました。そして10月には、Publonsによるグラント申請のレビュー(grant peer review)に関する調査結果が発表されています。「Grant Review in Focus」と題されたこの調査は、グラント申請のレビュー制度における関係者の考えを明らかにすることを目的として、Publonsに登録されている4700名の査読者(主に欧州出身者)を対象に実施されたものです。また、今回の調査では、査読者らと協力関係にある複数の主な助成団体からの意見も集められました。


グラント申請のレビュー制度は、すべての利害関係者にとって重要なものです。この制度は、助成者が適切な資金提供を行うための賢明な判断を下す拠り所となっており、各国が研究予算を削減している現状において、とりわけ重要なプロセスとなっています。研究者にとって、助成金の獲得はきわめて重要です。助成金は、研究者としての評価や昇進につながるからです。また、レビュアーは、レビューを行うことで科学への貢献を果たすとともに、助成を受けて然るべき研究に資金が行き渡るようサポートしているのです。


これを踏まえて、今回の調査の主な結果を見てみましょう:
 

  • 研究者は総じてこの制度を支持しており、大多数(78%)の回答者が、助成されるべき研究が助成を受けるための最良の手段であることに同意している。ある回答者は、「このシステムは有益で重要なものだと思う」と回答している。
  • 助成金の獲得はきわめて競争率が高く、助成を受けられるのは申請全体のわずか1025%。この割合はさらに減少傾向にあり、研究への支出を抑制する世界的な傾向を反映している。
  • 論文の査読と同様、グラント申請のレビューにも長い時間を要する。助成機関はレビュアーを見つけるのに平均で26時間を費やしており、レビュアーを確保できるまでに声を掛ける人数は平均3人。すなわち、労力の3分の2は徒労に終わっていることになる。一方、レビュアーがグラント申請の審査に費やす時間は、年間10日程度。
  • 半数以上(56%)の回答者が、労力に対する対価に不満を持っていた。ある回答者は、「レビュー後に受け取るお礼のメール(謝意を伝えるもっとも一般的な手法)は、ほとんどが機械的なもの。助成団体は私たちに関心がないのでしょう」と不満を漏らしている。
  • グラント申請のレビューを行う主な動機は、コミュニティへの貢献であり、動機としてもっとも多かったものが「研究者の仕事の一環だから」、続いて「科学界への還元」。


この調査によって、グラント申請のレビュー制度のメリットを再確認することができたと同時に、制度の不備を改善するためのヒントが得られました。ただし、今回の調査対象となった研究者は、人数は十分であるものの、全員がPublonsのユーザーであったという点に留意しなければなりません。結果に何らかのバイアスが働いている可能性があるからです。ベルン大学(スイス)の社会学者で査読の研究を行なっているアナ・セヴェリン(Anna Severin)氏は、回答者の50%が欧州出身で、中国人がたっだ3%だったことを踏まえ、「西洋バイアス」の存在を指摘しています。


Publonsも、今回の結果が必ずしも世界中の科学者の意見を代弁するものではないことを認めています。とは言え、この調査によって、レビュー制度への理解が深まり、レビューにまつわる議論が活性化されたことは間違いないでしょう。


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