遺伝子編集技術「CRISPR」は安全か否か?

遺伝子編集技術「CRISPR」は安全か否か?

遺伝子編集はいま、空前の盛り上がりを見せています。科学者たちは、革命的なDNA編集技術であるCRISPRの力を借りて、大小問わないあらゆる病気の治療法の開発に取り組んでいます。遺伝子編集技術そのものは数年前から存在していましたが、高価で扱いが難しいものでした。そこに、より安価で簡便な技術であるCRISPRが新たに開発されたのです。


そんな中、20175月にコロンビア大学医療センターがNature Methods誌で発表した論文が、医学界を震撼させました。この論文は、革命的なCRISPR遺伝子編集技術によって意図しない危険な突然変異が起きる可能性を指摘し、遺伝子編集技術の有効性を疑問視するとともに、この技術の安全性を再評価する必要があると主張するものでした。この発表により、遺伝子編集関連企業3社(エディタス・メディシン、インテリア・セラピューティクス、CRISPRセラピューティクス)の株価が軒並み下がるという事態にも発展しました。


しかしながら、この論文の実験では3匹のマウスしか使用されていなかったため、サンプル数が少ないことを主な根拠として、CRISPR関連企業に所属する研究者たちは、懐疑的な見方を示しました。同年7月に発表された新たな論文(プレプリントサーバーでも閲覧可)では、この論争の元となった研究結果について、すなわち意図しない突然変異について、妥当な説明がなされました。3体のサンプル(CRISPR編集されたマウス)のうちの2体がたまたま遺伝的に近かったため、突然変異をより多く共有していたとして、前回の論文の前提条件には不備があったと述べたのです。


CRISPR技術は、ガンや遺伝性疾患のほか、ジカ熱やデング熱などの蚊媒介性疾病をはじめとする死病を正確に診断し、治癒できる可能性を秘めており、医療の発展に大きく寄与することが期待されています。CRISPRの可能性に期待を寄せている医療従事者や科学者たちは、ひとまず安堵のため息をもらしたことでしょう。


ソース:

DOI: 10.1101/159707
DOI: 10.1016/j.cell.2017.05.044

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