動物実験の報告に関するガイドラインの遵守:ケーススタディ

動物実験の報告に関するガイドラインの遵守:ケーススタディ

事例: ある著者が、前臨床試験に関する論文を国際ジャーナルに投稿しました。動物モデルに利用する新しい医療機器の効果と安全性に関する試験を行なった研究です。ジャーナル編集者から、適用されるすべての規定を遵守しているかどうか尋ねられ、ARRIVEチェックリストの提出を要求されました。しかし著者は、守るべき規定について十分に把握しておらず、ARRIVEガイドラインのことも知りませんでした。そこでエディテージ・インサイトにアドバイスを求めました。


対応: エディテージ・インサイトの専門家は、ARRIVE(Animal Research: Reporting of In Vivo Experiments)ガイドラインとは動物を利用した研究報告に関する国際的な規定であること、そしてARRIVEチェックリストとは動物を利用した研究の論文原稿に添えて提出すべき補足文書であることを説明した上で、このチェックリストの項目を一緒に1つ1つ確認していきました。


しかし、文書への記入を行ううちに、気になることが見つかりました。その研究は、国内外いずれの倫理委員会の承認も受けていなかったのです。著者の説明によると、自分の国に動物実験に関する倫理委員会はないということでした。エディテージ・インサイトの専門家は、その旨をチェックリストに記入し、編集者に別途この点について説明するようアドバイスしました。


編集者は、著者がチェックリストに記入した内容を見て納得し、国内に倫理委員会がなければ所属機関の倫理委員会の承認だけで構わないと言いました。ここからの承認はすでに得ていたものの、著者の母国語で書かれていました。ただそれはジャーナル側で翻訳可能ということになり、編集者はこれを了承しました。


まとめ: ジャーナルは、各国を拠点とする様々な研究グループからの論文投稿を受け付けています。しかし、科学研究における動物の利用や世話(ケア)に関する規定は、国や研究機関によって異なります。このため、動物を利用した研究報告を標準化して改善を図るために、ほとんどのジャーナルがARRIVEガイドラインの利用を奨励しています。ガイドラインのチェックリストは20項目に渡り、「動物を利用した研究について報告するあらゆる学術出版物に含まれるべき最低限の情報を説明」しています。具体的には、研究に使用し動物の性別と数、飼育環境と世話の方法、健康状態の詳細、薬剤量・麻酔・安楽死の方法を含む実験方法について述べられています。


政府機関や科学コミュニティの多くは、研究目的での動物利用に人道的な方法をとろうとしており、動物を使用する回数や、使用する動物の数、飼育環境、与える苦痛の程度などを制限しようとしています。ARRIVEガイドラインにより、その方向に一歩前進することができるでしょう。そのためにも、著者とジャーナルには、このガイドラインをしっかり守ることが期待されています。

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