医学論文におけるエポニムや疾患、症候群などの大文字化について

医学論文におけるエポニムや疾患、症候群などの大文字化について

引用とインパクト・ファクターが重要になるよりずっと前、科学者を評価する一つの形として、科学者にちなんでその発見・発明の名前をつけるということがありました。ボイルの法則、プランク定数、ペトリ皿、三角フラスコがその例です。

研究論文が広く受け入れられているものや、普遍的に知られているものについて研究論文で言及するとき引用は省いているのと同様に、高く評価されている科学者と、当該業績の関係が徐々に薄れていくうちに、大文字が使われなくなることが多いです。ブンゼン灯(Bunsen burners)、卵管(fallopian tubes)、グラム陰性(gram-negative )(もしくはグラム陽性(gram-positive)) 菌が挙げられます。


しかし、大文字のままにするか、あるいは代わりに小文字を使うか、どうやってわかるのでしょうか?
 

大文字にするのを反対しているスタイルガイドも時にはありますが、エピニムが形容詞に変わった場合は大文字をやめるという点において、すべてのスタイルガイドが同意しています。
たとえば、メンデル遺伝子(mendelian genetics)、殺菌牛乳(pasteurized milk)、ダーウィンの自然選択説(Darwinian selection)。

 

問題を避けるための、もう一つの方法は、エピニムではなく記述的なラベル(descriptive label)、もしくは普通名詞を使うことです(ゼロックス・コピー(Xerox copy)ではなくコピー(photocopy);セロハンテープ(Scotch tape)ではなく粘着テープ(adhesive tape);サーモス魔法瓶(Thermos flask)ではなく真空瓶(vacuum flask))。そうすれば特殊記号(登録名の ®や登録商標の™ など) の使用や著作権侵害も避けられるため、著者の役に立ちます。

 

ところが、特に疾患名については、小文字で書かれたものは長いだけでなく、馴染みが薄いのです。AMA Manual of Style

で思い出されるように[1]、読者にとってエピニムの方が馴染み深い場合に、エピニムではない言葉にこだわると、「誰もがすぐに理解できるような情報を広める(‘which is to disseminate information that can be quickly understood by all.’)」という、科学的文章の主たる目的を無にすることになります。AMAマニュアルではまたさらに続けて、妥協案、つまりエピニムでない表現を角カッコ[ブラケット]にいれてエピニムの直後に置くという案を示しています。

まとめますと、この記事のタイトルで取り上げた質問に対する明快な答えはないということになります。適切なスタイルガイドや辞書を参照するか、コピー・エディターに任せてみてください。

 

 

[1] AMA. 2007. AMA Manual of Style: a guide for authors and editors, 10th edn. New York: Oxford University Press [and American Medical Association]. 1010 pp.

 

 

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