英語が下手だと研究の掲載やインパクトに影響があるか?

英語が下手だと研究の掲載やインパクトに影響があるか?

英語が上手でないと研究の掲載が遅れる可能性があります。イギリスの週刊科学雑誌 New Scientistに掲載された最近の論文によると、英語がうまくないということは「不利な立場になる研究者を出すもうひとつの要因である。アメリカのiPS細胞研究者を牽引してきたMITのルドルフ・イェーニッシュ(Rudolf Jaenisch)によれば、アジアからの論文の中には、あまりに英語がうまく書けていないばかりに審査が困難なものもあるという」。 

 

“Paper trail: Inside the stem cell wars”という論文は、幹細胞研究の分野において、なぜ、アメリカの研究室の研究論文が他の(国の)研究室より速く掲載されるかを調べています。

英語が上手ではないということは、スペル、文法、句読点法の完全な誤りだけでなく、文の構成に欠陥がある、慣用的に見て合っていない表現、論文の内容からスタイルへと査読者の注意をそらしてしまうほど目立っておかしな表現も指しています。査読中の論文が、英語を第一言語としない人によって書かれているからといって、論文の科学的な価値判断には関係はないのですが、その論文の査読と、それに続く編集作業は遅れてしまうかもしれません。言語表現に関する数個の誤りは研究論文では小さな汚点であり、査読者はそれに気づくことすらないかもしれませんが、誤りが多すぎる場合は必ず、逆に研究論文にはねかえってきます。最悪の場合、英語があまりに下手で査読者がその論文を評価できないということになります。

 

研究論文の掲載後でも、英語がうまく書かれていないと、論文のインパクトは下がってしまいます。というのも、その論文を読みたいと思う人が少ないために(特に、主流である英語ジャーナルに発表している人の間で少ないために)、論文が引用される可能性も少なくなるからです。

 

もしあなたの第一言語が英語でなかったら、英語が深刻な障害にはならない人たちが不当に有利であることを快く思わないかもしれません。ちなみに、すべての(英語の)ネイティヴ・スピーカーが完璧な英語を書けるわけではありません。ポール・ブライアンのサイトを訪れてみさえすればよいです。彼のサイトは、英語ネイティヴが書いた文章によく見られる誤りに限定しています 。結局のところ、自分の第一言語で書いた文章には誤りがないと、どのくらい自信を持って言えるでしょうか?

 

問題は、自分の英語の改善に取り組みたいか、ということです。問題となっている言語が母語の場合であっても、何か1つの言語でうまく書けるということは、1つのスキルとなります。そして、あらゆるスキルと同様に、そのスキルも適切な訓練を伴えば習得することが可能です。第二言語で書けるということも1つのスキルであり、それを習得するまでは常に発展を続けていく必要があります。反対に、英語を学ぶよりも研究に自分の時間を使う方が幸せだ、と結論を下すかもしれません。それでも、論文をもっとよくするには、いつでも校閲者に依頼することが可能です。

 

New Scientist, 9 June 2010 www.newscientist.com/article/mg20627643.700 

 

学術界でキャリアを積み、出版の旅を歩もうとしている皆様をサポートします!

無制限にアクセスしましょう!登録を行なって、すべてのリソースと活気あふれる研究コミュニティに自由に参加しましょう。

ソーシャルアカウントを使ってワンクリックでサインイン

5万4300人の研究者がここから登録しました。

便利さを実感して頂けましたか?

あなたの周りの研究者にもぜひご紹介ください