「ブックレビューは著者、読者、学問分野全般に重要な役割を果たしています」

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「ブックレビューは著者、読者、学問分野全般に重要な役割を果たしています」

Journal of Qualitative Criminal Justice & Criminology (JQCJC)の目的と領域、そして書評担当編集者としての役割について簡単に教えてください。

The Journal of Qualitative Criminal Justice and Criminologyは、刑事司法及び犯罪学の分野において、質の高い、定性的研究を発表する場を提供することを目指しています。この学問分野では、近年、価値も必要性もある研究に対し、発表に適した学術誌をなかなか提供することができていません。書評担当編集者としての私の仕事には、以下のことがあります。(1) 当分野における注目すべき質的研究に関する新刊本を見つける、(2) その本のレビュアーを探す、 (3) 持ち込まれた書評を検討する、(4) レビューを編集してコメントする、(5) これらの原稿を本誌から出版できるように準備する。究極の目標は、これらの書評を、犯罪学と刑事司法の質的研究に興味を持つ人々に読んでもらうことです。

ブックレビューが学術コミュニティに必要である理由と、研究者が他の研究者の著作のレビューを行う動機について、簡単にご説明頂けますか?

この種のレビューは、履歴書上は些末なものだと考える人もいます。しかしブックレビューは、著者、読者、学問分野全般にとって、重要な役割を果たしています。読者にとっては、どんな本が授業や研究で役立つかを考える際の検討材料になりますし、自分の勉強にもなります。レビューが肯定的なものであれば読者が増えますし、そうでなければ読者は遠ざかります。言い換えれば、本が「当たるか当たらないか」を決める助けとなるのです。

ブックレビューは、その学問分野にも利益をもたらします。良いレビューは、その本の学問的価値を評価するだけでなく、学術文献全体におけるその本の位置付けを読者に伝えます。加えて、ブックレビューはたいてい学術誌に掲載されるため、オンラインの大手学術検索エンジン(例えば大学図書館で利用できるようなもの)から入手でき、ブックレビューがなければ見逃してしまうような本に、研究者の目を向けさせることにもなります。このような検索エンジンで文献を探す研究者は大勢いるので、ブックレビューがなければ見逃されてしまう本も、発見されやすくなるでしょう。

学問分野へのもう一つの利益は、小さなダーウィン説ともいうべきものです。ブックレビューは、活気のない研究分野と、注目すべき研究分野を区別します。つまり、ある研究が自分の時間を費やすに値するかどうかを研究者たちに伝える助けとなっているのです。

また、ある学問分野で出版された全ての著作を読むことは不可能ですが、ブックレビューによって、研究者は、膨大な文献を簡潔に理解できるようになります。研究者には、他にも時間を取られる業務がたくさんあるので、本を一冊ずつ詳細に読まずとも、ブックレビューのおかげで、ある程度最新の文献についていけるようになります。このため、レビューで文献に親しみつつ、自分の関心度が高い特定の研究に時間を割り当てやすくなるといえます。

犯罪学分野におけるブックレビューの数は、書籍の出版点数に見合っていると思われますか。

ブックレビューは奇妙な曲者ですが、私の見るところ、学問分野に必要不可欠な存在です。しかし、一般的に、出版物のレベルとしては低いと考えられており、そうした見方にはもっともな理由もあります。私の大学院時代のある教授が、出版物の価値を比喩的にドルで表したことがありました。一流の学術論文は100ドル、2流から3流の学術論文は20~50ドル、本の章は5ドル、そして百科事典の見出し語とブックレビューは約1ドルでした。ドルの価値配分について、意味論的な議論の余地はありますが、全体としてのメッセージは明確です。ブックレビューは、他の学術的貢献に比べて、特に価値があるとは思われておらず、下っ端の出版物とみなされているということです。

そうはいっても、ブックレビューを書く一流研究者はたくさんいます。彼らにとってブックレビューは、従来考えられてきたような「学問」という形式ではなく、その学問分野に対するサービスのようなものなのでしょう。忙しいスケジュールの合間を縫ってレビューを書くということは、レビュアーがその本に並々ならぬ興味を持っているということであり、学術誌や編集者に敬意を持っているということです。彼らは、自分たちがきちんとした仕事をすれば、レビューが他の人の役に立つということを知っているのです。

 

スタインメッツ博士のインタビュー続編では、ブックレビューはどのように評価され受け入れられるのかなどが語られています。是非ご覧ください。

 

推奨と責任に関する免責事項:スタインメッツ博士及びJournal of Qualitative Criminal Justice & Criminologyは、商品、プロセス、サービスを宣伝したり推薦したりすることはありません。このインタビューは情報提供のみを目的としており、エディテージの宣伝あるいは推薦を行うものではありません。

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