論文の影響度指標の進化を理解する(書評)

論文の影響度指標の進化を理解する(書評)

あなたの研究が世に出ました。さあ、ゆったりと腰を下ろし(というわけにはいかないかもしれませんが!)、発表した論文の影響があらわれてくる兆候を待ちましょう。ここで問題になるのが、従来からある研究影響度の指標であるインパクトファクターなどは、出てくるまでに何ヶ月も何年もかかるということです。しかも、それが出てきたとしても、あなたの研究が学術界内外にもたらす影響力の、ほんの一部しか示すことができないのです。

ScholasticaAltmetricの共同で新たに出版された無料電子ブック「The Evolution of Impact Indicators: From bibliometrics to altmetricsインパクト指標の進化:ビブリオメトリクスからオルトメトリクスへでは、従来からの計量書誌学(ビブリオメトリクス)による影響力指標に内在する問題と、研究者たちがオルトメトリクスを用いてそれらの課題に取り組む方法について検討しています。オルトメトリクスは、研究に関するオンライン上での言及に基づいて論文の影響度を示す新しい形であり、研究が引用される前にどのように発見・共有されるのかを分析する、より総合的な方法として登場したものです。

オルトメトリクスは、被引用履歴をこれから築こうとしているキャリアの浅い研究者にとって特に有効です。OA(オープンアクセス)での出版を検討している研究者にとっては、まだインパクトファクターがついていない新しいOAジャーナルに掲載された論文の影響力を知ることが可能となります。オルトメトリクスでは、例えばオープンデータセットやデジタル・ヒューマニティーズのウェブサイトなど、従来の計量書誌学では評価することができなかった論文の影響力を示すこともできるのです。

The Evolution of Impact Indicators

は、研究の影響度の本質がどのように変化しているのか、そして学術研究の影響力についてより全体像を把握しやすくするため、研究者やジャーナルはオルトメトリクスと従来型のメトリクスをどのように組み合わせたらよいのかについて、概観を提示しています。

本書には以下の内容が含まれています:

  • 従来型メトリクス(計量書誌学)の長所と限界
  • オルトメトリクスの使用例とよくある誤解
  • 従来型メトリクスに加えてオルトメトリクスを利用することによる、研究者やジャーナルにとってのメリット
  • ケーススタディおよびオルトメトリクスの使用開始手順

オルトメトリクスは研究者にとって、自分の研究が初期段階でどのような注目を受けたかを追跡し、興味を持ってくれるコミュニティを見つけ、自分の研究への世間の関心度を資金援助機関や職場の運営委員会などに示すために活用することができるものです。The Evolution of Impact Indicators: From bibliometrics to altmetricsは、オルトメトリクスについてしっかり理解して自分の研究に活用するための助けとなるでしょう。

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