初めての論文執筆のための実践的アドバイス5選

初めての論文執筆のための実践的アドバイス5選

何ヶ月も研究に没頭してデータが揃ってきたら、初めての論文執筆に着手しても良い時期に差し掛かっていると言えるでしょう。しかし、何をどう始めればいいのか見当もつかず、執筆の開始に二の足を踏んでいる人はいませんか?


何かを新しく始めるときは、たいてい困難を伴います。研究論文の執筆も例外ではありません。私が初めて論文を出版したのは1977年でしたが、印刷された自分の論文を目にした時の感動は、今でも鮮明に覚えています。


ジャーナルに論文を投稿するプロセスは、時代とともに大きく変わっていますが、単語から文、文から節へ言葉を紡いでいく執筆のプロセスは、昔から変わりません。紙に文字を書く作業から、画面に文字を入力する作業への移行はありましたが、サイエンティフィック・ライティングのプロセスにおいては、小さな変化にすぎないでしょう。


この記事では、初めての論文を書き始めようとしている人に向けて、5つのアドバイスを送りたいと思います。


1. 論文の枠組み(骨格)を考える:執筆作業でもっとも難しいのは、連続した文章を生み出すことです。なぜなら、文法や構文に神経を使う必要があるからです。建築士が実際に建物を建て始める前に設計図を描くのと同様に、論文でも、まずはその枠組みを考えることが重要です。枠組みや骨格を決めることで、論文を論理的に構築していくことができます。


ターゲットジャーナルがIMRaD形式を採用している場合、この作業は進めやすいはずです。ただし、ジャーナルの指示に応じて、IMRaD(イントロダクション、材料と方法、結果、考察)のそれぞれのセクションに、小見出しを付ける必要があります。ジャーナルがフォーマットをとくに指定していない場合は、適切な見出しを適切な順序で自ら設定しなければなりません。この作業に長い時間はかからないでしょう。論文の概略は、比較的短い時間で設定・修正することができるはずです。


この作業を終えたら、同僚にチェックしてもらい、必要に応じて修正を加えましょう。自分にとって明快なことが、他者にとってもそうであるとは限りません(1人で作業をしていると、客観的な判断ができなくなることがあります)。


2. 論文全体ではなく、セクションや段落ごとに考える:目の前の画面はまだ空白であるにも関わらず、頭の中には、丁寧な構成で簡潔に書かれた、誤字脱字や文法ミスのない完成した論文の姿が見えていませんか?このギャップは、作業開始を躊躇してしまうほど、とてつもなく大きなものです。解決策は、論文の完成形を思い描かないことです。論文は小さなまとまりに分割し、段落やセクションを1つずつ着実に書き上げていきましょう。

 
3. ターゲットジャーナルを選んだら、すぐに書き始める:ジャーナル選びは、それ自体が1つの課題であると言えます。ターゲットジャーナル(論文の投稿先)は、早めに選びましょう。そうすることで、ジャーナルの投稿要件やバックナンバーを調べる時間に余裕が生まれます。自分の論文がジャーナルの対象領域に含まれていることが確認できたら、執筆を開始しましょう。研究が完了するのを待つ必要はありません。論文執筆は、実験や実地作業と並行して進めましょう。たとえば、材料と方法のセクションは、記憶が鮮明なうちに書き始めるのが良いでしょう。あらかじめ図の枠組みを作っておいて、実験結果が更新されるごとに、所定の升目に値を入力していきましょう。


Detailing the writing of scientific manuscripts: 25-30 Paragraphs(科学執筆の詳細:25-30段落の論文)」(De Araújo2014)という論文では、研究論文を書くという難しそうな作業に怯えることなく、タスクを視覚化して、IMRaD形式(イントロダクション、材料と方法、結果、考察)に分けられた2530段落の文章を書くプロセスについて解説しています。Belcher2009)は、論文を12週間で書き上げられるように設計されたシステマティックなアプローチを紹介しています。


4. 論文を書き始める前に、自分の研究について話す:自分の研究の話をすることは、論文を書く「準備」になります。自分の研究について他者に説明することができれば、執筆の際にも言葉が出てきやすいでしょう。自分の考えを言葉にして整理しておけば、論文の書きやすさが向上するはずです。共同研究者や信頼できる同僚と議論をすることで、研究の穴なども発見することができるでしょう。


5. 目標ワード数を設定する:論文執筆に取り掛かる際は、目標を細かく設定するようにしましょう。たとえば、「今日は400ワード書くまでやめない」といった具体的な目標です。これは、「今から3時間論文を執筆する」と決めるよりも効果的です。また、火曜の午後や金曜の午前中など、1週間の中で必ず論文執筆を行う時間を設定することで、論文を書く習慣が身に付きます。毎週同じ時間に腰を据えて論文を書く時間を設けることで、脳がその作業に適応しやすくなるのです。習慣化するまでは、設定したスケジュールを厳守するようにしましょう

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理屈はこれくらいにして、今すぐ書き始めましょう!


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参考文献:

Belcher W L. 2009. Writing Your Journal Article in 12 weeks. Thousand Oaks, Los Angeles: Sage Publishing. 376 pp.


De Araújo C G S. 2014. Detailing the writing of scientific manuscripts: 25-30 paragraphs. Arquivos Brasileiros de Cardiologia 102: e21–e23. http://doi.org/10.5935/abc.20140019

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