あなたが購読あるいは投稿しているジャーナルを誰が出版しているのか?

あなたが購読あるいは投稿しているジャーナルを誰が出版しているのか?

著者はジャーナル出版社が採用しているポリシーの影響を受けるので、ジャーナルの出版について少し知っておくと、ジャーナルへの自分の貢献度がわかるようになるでしょう。

たとえば、掲載料を取り上げてみましょう。論文著者に掲載料を課すのは、アメリカのジャーナルで長いこと続いている慣習です。掲載料を支払いたい思う著者の気持ちが、論文の受諾とは全く関係がないことは、はっきりと理解されてきました。「略奪的な(Predatory)」ジャーナルは、この点において違います。これらのジャーナルは、著者が料金を支払いさえすれば、投稿された論文は掲載、それも迅速に掲載されるであろうと、事実上保証しているのです。
 

それでは、科学、技術、医学系ジャーナル(出版業界ではSTMジャーナルとして知られている)の出版者は誰でしょうか? また、なぜ出版するのでしょうか? 出版ジャーナル数という点から見てトップ5にあがるSTMの出版者は、Elsevier(エルゼビア)、Springer(スプリンガー)、Blackwell Publishing(ブラックウェル)、Wiley

(ウィリー)、Taylor & Francis(テイラー&フランシス)で、いずれも商業的な出版社です。これらの出版社にとって、ジャーナルの出版はビジネスであり、経営によって利益を出すことを期待しています。 いずれの出版社も、少なくとも数百のジャーナルを出版しています。

 

こうした出版社の2つ目のタイプは学会です。学会の活動の1つとして、ジャーナルの出版があるのです。たいていの学会が出版しているジャーナルは1冊か、多くても2,3冊です。Institute of Electrical and Electronics Engineersのような最大の学会では、100冊近いジャーナルを出版していますが。学会の場合、印刷や商業的出版社への流通といった、ジャーナルの内容と関係のない主要な工程は外注するのが普通です。一方、ジャーナルの扱う分野や査読プロセスなどに対しては、学会の編集者による管理が行われています。学会は主に、ある分野についての知識を広め、進展の現状を報告したいという思いによって強く動かされています。ジャーナルの出版が採算の取れない冒険的事業ではないとわかっていることは確かに大切ですが、利益が大きな動機になっているわけではありません。学会の収入は、主に会員の会費や手数料です。ジャーナルの発行部数の大部分は、会員リストが占めています。

3つ目のタイプは大学の出版会です。オックスフォード大学出版会やシカゴ大学出版会のような大手の大学出版会も、何十ものジャーナルを出版しており、事業のスケールという点では商業出版社に近いかもしれませんが、利益を動機としていないという点では全く異なります。実際に、大学出版会の設立趣意書には、利益を挙げる商業的事業を行うことを禁止すると明言されています。

ここで簡単に概観してきましたが、ジャーナル出版を大きな視野でとらえるときの補足することができれば幸いです。

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