共有するべきか、せざるべきか: 研究者がデータを共有する動機は?

共有するべきか、せざるべきか: 研究者がデータを共有する動機は?

科学の進歩は、知識とデータの共有を起源としています。当然ながら、近頃では研究プロジェクトの成功は、そこから生みだされる出版物だけで決まるのではなく、より広いコミュニティが利用できるようになったデータによっても決まります。


掲載された研究であっても、基礎的データによる裏づけがない場合は無効であることは多くのジャーナルも認識しており、論文投稿時に裏づけとなるデータを提出することを義務づけています。
 

データ共有から得られる利益は計り知れません。研究の結果は追試を通して妥当性の実証が可能になり、そうでなければ同じデータセットから新たな仮説が生まれる可能性があります。データの共有が科学の理想であることに、たいていの研究者が同意していても、自分たちのデータを一般の人がアクセスできるようにすることに関しては、懐疑的な見方が広く存在しています。
Wileyが行った大規模調査によると、ローデータの共有を研究者がためらう背景には、主として次のような理由があるということです。
 

  • 知的所有権/守秘義務
     
  • 資金提供者/所属機関がデータの共有を必要としていない
     
  • 出し抜かれることを恐れて
     
  • 誤解あるいは誤用を恐れて
     
  • 倫理的な問題
     
  • 適切な引用がなされない/適切なクレジットがつかないことを恐れて
     
  • どこでデータの共有ができるかがわからない


こうした理由にもかかわらず、自分のデータを共有させている研究者は多いです。データの共有を研究者がためらう理由を焦点にした研究が数多くなされていますが、データの共有という行為、共有の方法、データ共有を行う動機、という点まで深く探求されてはいません。先日、知識の交流(Knowledge Exchange (KE))、つまりデンマーク (DEFF)、フィンランド(CSC)、ドイツ(DFG)、オランダ(SRUF)、イギリス(Jisc)、各国組織間の協力関係のことですが、ある研究“Sowing the seed: Incentives and motivations for sharing research data”を発表しました。
そこでは、研究データの管理と共有に関する問題が国際的な視点から取り上げられています。研究者が自分のデータを共有しようと決めた、その背景にある理由を明らかにしようとしています。KEは、様々な領域の研究グループ・個人の研究者にインタビューを行い、データ共有の背後にある動機は、主に次の4つの領域に分けられることを明らかにしました。

1.    研究者によっては、データの共有が研究プロセスに不可欠な一部である場合があります。たとえば、研究プロジェクトの中に、分野・所属機関が異なる研究者、営利企業との協同が含まれている場合です。

2.    研究者が、データ共有により直接キャリアに関わる利益が得られるケースもあります。利益にはたとえば、複数の論文での引用(additional citations)につながる、あるいは新たな共同研究、自分の研究を強化する相互的なデータのやり取り、研究者同士の同意につながる一連の研究に対する、認知度がより高くなることが挙げられます。

3.    時には、データの共有が研究グループ内、あるいは分野内でされているやり方にすぎないこともあります。

4.    資金提供者もしくは出版社がデータの共有を求め、(理想的には)それを支えるインフラやデータサービスを提供している、というケースもいくつか見られます。

KEの研究ではまた、研究者が「データの共有」について語る場合、他の研究者との研究データの交換方法として、実に様々なやり方を挙げている と指摘しています。

たとえば、民間経営による共有(private management sharing)、コラボレーションによる共有(collaborative sharing)、研究者間でのやり取り(peer exchange)、 透明な管理のための共有(sharing for transparent governance)、 コミュニティによる共有(community sharing)、一般社会による共有(public sharing)があります。

KEの研究報告では、研究者間でのデータ共有を奨励し支援する見解とともに、研究資金提供者、学会、学術機関、出版社、データセンターに対する詳細な政策(ポリシー)提言がなされています。しかしながら、共有されたデータが誤用されないようにするというデータ共有ポリシーを開発するには、資金提供者が重要な役割を果たしているということが、研究から明らかにされていました。
また、資金提供者と出版社が、形式的なデータポリシーの概要を述べるとき、データの感受性を考慮することが必要不可欠です。さらに、資金提供者には、質の高いデータを共有する研究者たちに報酬を与える責任があります。          
                         

ビッグデータの出現により、データの保存・共有のキャパシティが格段に広がっています。ですから、データの共有は、オープン・サイエンスを促進し、科学が進歩するための手段を増やすための、重要な一歩なのです。データの共有は科学の中核をなすため、それに対する全体的な姿勢が変われば、科学がまた一歩前進する引き金となるでしょう。 

 

 

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