掲載論文の裏の物語

掲載論文の裏の物語

学術出版の世界に入ったばかりの人は、研究論文をジャーナルに投稿し、それを掲載させるのは、秩序正しいプロセスだと感じるかもしれません。もちろん、実際は違います。『二重らせん』[1]の中で、DNA構造の発見によりノーベル賞を受賞したワトソン博士は、ネイチャーに掲載された有名なワトソン・クリック論文の発表までにいたる出来事の舞台裏を記しています。研究論文を発表するプロセスは客観的だというイメージがありますが、非常な努力を要することなのです。ジャーナルの選択、査読者の個性、偏見、先入観、どこかで行われている類似の研究、そうしたことすべてが掲載の可能性に影響を及ぼします。この点に気づくのは重要なことです。


もう一つ興味深いのは、ネイチャーで不採択になったルカ・トゥリン(Luca Turin)の論文について書かれた本[2]です。そこでは、投稿し、不採択になり、再投稿し、新たな査読者による査読が行われ、再度の不採択になった、彼の論文の物語が描かれています。



こうした体験談の情報源として、とりわけ良いのがウェブサイトの‘Web of Stories’で、一見の価値があります。このサイトは、現代の著名な科学者が語った体験談を記録保管するサイトとして始まりました。体験談の数が増えるにつれ、関連のあるテーマについていくつか体験談があることが明らかになり、次第にそれら関連した体験談が網のようにつながっていきました。先日、ウェブサイトの検索欄に‘publishing papers’と入力したところ、検索結果には、生物学、物理学、コンピュータ・サイエンス、天文学など非常に多様な分野の著名な科学者の体験談が、467個も表示されました。体験談を話すビデオ映像は、科学者が自ら撮影したもので、どのビデオにも英語の原文がついています。    

 

[1] Watson J D. 1968. The Double Helix: a personal account of the discovery of the structure of DNA. New York: Atheneum. 226 pp.

[2] Burr C. 2002. The Emperor of Scent: a true story of perfume and obsession. New York: Random House. 332 pp.

 

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