剽窃チェックサービスで論文が盗まれる:ケーススタディ

剽窃チェックサービスで論文が盗まれる:ケーススタディ

事例:ある著者が、ジャーナルに論文を投稿する前に、剽窃チェックサービスを利用することにしました。論文が自分で書いたものであることに間違いはなく、剽窃チェックを受ける必要性も低かったのですが、念には念を入れて受けることにしたのです。彼女は、あるオンラインの剽窃チェックサービスを見つけましたが、費用が高額でした。しかし、オンラインのマーケットプレイスを通した同様のサービスを使えば、費用を半分に抑えることができました、さらに、論文をカスタマーサービス業者に送れば、さらに費用を削減できることが分かりました。なるべく費用を抑えたかった著者は、論文をその業者に送ることにしました。


剽窃チェックの結果は、類似度

38%という予想外に高いものでした。著者は、論文を自分自身の手で書き、ほかのいかなるソースからのコピーにもならないよう注意を払っていたため、この結果は誤りだと確信しました。レポートを細かく見ていくと、参考文献のセクションもチェックの対象になっていることが分かりました。通常は参考文献が剽窃チェックの対象になることはないので、著者はこのことを不審に思い、業者に問い合わせました。すると、「剽窃チェックをやり直すなら同額の費用が発生する」と主張されたため、著者は立腹し、オンラインでこの業者にネガティブな評価をつけました。


業者からすぐに連絡が来て、「ネガティブな評価を取り消さないと、論文をインデックスする」と脅しました。ここでいうインデックスとは、著者名を出すことなく論文をScience Citation IndexSCI)またはSCI公認のジャーナルやウェブサイトに掲載するということです。つまり、論文がデータベースにインデックスされてしまえば、その論文は、二重出版を理由にほかのジャーナルで出版することができなくなってしまうのです。


著者は、業者の脅迫を深刻に捉えなかったため、ネガティブな評価を取り消すこともしませんでした。ほかの自動チェックサービスを利用したところ、類似度12%という結果が出たので、著者はこれに満足し、分野で評判の高いジャーナルに論文を投稿しました。


1ヶ月後、編集者から査読結果が返ってきました。そこには、「出版済み論文との類似度が高いため、論文はリジェクトする」と書かれていました。


対応:著者は、ジャーナルの剽窃チェックレポートに、「ある学生のオンライン論文との類似度が67%」と記載されていることにショックを受けました。その論文に目を通すと、それはなんと、自分が書いたものでした。業者に問い合わせても返答はありませんでした。さらに、その業者にネガティブな評価をしていた別の著者も、同様の経験をしていることが分かりました。その著者の論文も、同じ大学から出版されていました。


それでも、論文が出版されたジャーナルは特定できませんでした。どの検索エンジンでもSCIデータベースでも見つけられなかったのです。ジャーナルが特定できないことには、論文の撤回を求めることもできません。そこで、自分の持っているエビデンスとともに、学生が所属しているとされる大学に問い合わせました。しかし、大学からの返答は、「著者とジャーナルを特定できない限り、協力しようがない」というものでした

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残念ながら、本件はまだ解決されておらず、数ヶ月後に卒業予定の著者は、論文出版の最初の機会を奪われたままです。実験をすべて完了し、論文を書き上げるのに約1年を費やしましたが、その労力はすべて無駄になってしまいました。残されている選択肢は、論文を全面的に修正するか、別の視点で新たな論文を書くかの2つだけです。


まとめ:残念ながら、今日の学術出版界では、さまざまな非倫理的行為に対する脆弱性が高まっています。悪徳業者は、脱け出すのが困難または不可能な罠に無知な著者を嵌めるための、新たな方法を模索し続けています。本件のように、論文を盗むというケースは、比較的新しい手口のようです。著者側は、利用するオンラインサービスの評判を徹底的に調べ、ユーザーレビューを隅々まで読み、教授や先輩にサービスの評判を聞くなどして、自衛策を練る必要があるでしょう。


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