私が博士課程にいる理由

私が博士課程にいる理由

もし2年前に「あなたは2年後、何をしていると思いますか?」と聞かれていたら、「毎日机に向かって論文を読み、8万ワードの論文のための研究計画書を書いている」と答えることは絶対になかったでしょう。しかし現在の私は、まさにこの答えのような生活を送っています。驚きなのは、私がその生活を楽しんでいるということです。


「なぜ博士課程に?」という問いに答えるには、「なぜ心理学なのか」という原点に戻る必要があります。11年生の科目選択のときに、母から心理学を勧められました。それをきっかけに心理学が大好きになり、12年生のときにも心理学を履修し、将来は臨床心理士になることを夢見ていました(当時は、心理学にそれ以外の職があることを知らなかったのです)。そのような経緯で、大学での最初のコース選択のときに、私は心理学士(優等学位)を取得するためのコースを選びました。


「将来何になりたいですか?」という質問は、多くの高校生をドキッとさせる質問ですが、私にはさらにこたえました。高校の最終学年に進級した時点では、やりたいことははっきりしていましたが、心理学を勉強し始めると迷いが生じるようになり、その質問に純粋に答えることができなくなっていたのです。私は心理学者になりたいのか?教師になりたいのか?それともジャーナリストか?これらの選択肢が頭をよぎるようになっていました。大学2年生になったら専攻をジャーナリズムに切り替えようと思っていたほどです。しかし、2年生の前期だけでも心理学の勉強を続けるよう、母が的確なアドバイスをくれました(実際、大学2年目の心理学は、1年目よりもはるかに面白いものでした)。


今は、あのときの母のアドバイスを受け入れて本当によかったと思っています。2年目の心理学の講義はとても面白く、臨床心理士になりたいという気持ちが再び戻ってきました。この時点でも、研究者という選択肢があることを知りませんでした。この年に現在の指導教官(保全心理学者)の講義を受けた日のことは、今でも憶えています。彼女とその研究(動物行動学と、人間が環境に及ぼす影響に関する研究)に憧れるようになりました(動物は昔から大好きでした)。でも、何となく、彼女のような仕事が自分にできるとは思えず、現実的に捉えてはいませんでした。


優等課程の1年目には、卒業論文のテーマを選ばなければなりません。私はその時点でも、修士課程を終えたら臨床心理士になると決めていました。しかし、研究テーマの選択肢を眺めていると、保全心理学というテーマに惹かれている自分がいました。私はキッチンに立って、どのテーマを第一志望にしようか考えていました(臨床関連のテーマが有益だろうと考えていました)。そのとき、はっと気付いたのです。私が保全心理学に関するテーマを選ぶことを躊躇しているのは、その選択が逃避だと思い込んでいるからだと(面白そう、楽しめそうなテーマを選ぶのは逃避だと思い込んでいたのです)。何と馬鹿げた考えでしょう!むしろそれこそが、私が保全心理学を選ぶべき理由だったというのに。それに気付いたとき、私の頭の中にはマーク・アンソニーの言葉が鳴り響いていました:「好きなことをするということは、“仕事”を一生しなくていいということだ」。このときのことは、鮮明に記憶しています。


この選択をした私にとって、博士課程に進むのは自然の流れでした。優等課程をきっかけに、研究という世界への扉が開いたのです。そして、私が選んだ学術界でのキャリアには、1年生のときに迷っていた心理学・教育・ジャーナリズムという3つのすべての道が含まれており、その上、個人的な関心分野である動物や保全までもが含まれていたのです(実によくできた話です!)。

そこで私は、次のメッセージを皆さんに伝えたいと思います。自分が今やっている「面白い」、「楽しい」ことが現実逃避だと感じているなら、絶対にそれをやめないでください!

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ブリアンナ・レ・ブスケ(Brianna Le Busque@BriannaLeBusque)氏もしくは「Dr. of What」は、保全心理学の博士課程に在籍中の学生です。この記事は、201661日にブリアンナ氏のブログ「dr.ofwhat?」で公開されたコンテンツ(こちらでご覧頂けます)を、許可を得てここに再掲載したものです。

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