文献レビューの不備で研究が無駄に:ケーススタディ

文献レビューの不備で研究が無駄に:ケーススタディ

事例: ある著者がジャーナルに論文を投稿し、初回の審査後、原稿は査読に回されました。その後、査読報告書を受け取ると、査読者の1人から、非常に似た結果の研究がすでに出版されているとの指摘がありました。文献調査を行なった際、著者はなぜかその研究を見落としていたのです。その論文が存在するのなら、この著者の研究はほとんど無駄だったといえます。

著者は、この研究のために費やした時間が全くの無駄であったと感じました。途方に暮れた著者は、我々のところにアドバイスを求めてやってきました。研究を無駄にしたくないと思い、どんなことがあっても必ず出版するつもりでした。追い詰められた著者は、結果に少し手を加えて他のジャーナルにその論文を投稿することが可能かと尋ねてきました。
 

対応: 我々は、結果に手を加えることは非常に非倫理的な行為であることを指摘しました。それは詐欺行為にあたるため、論文は撤回され、著者の評判は汚れることになります。査読者がこれに気づいてくれてよかったということも説明しました。もし気づいてもらえなかったら、論文が出版後に撤回されるという事態を招いていたかもしれないからです。

我々は、この研究を無駄にしないための2つの方法を提案しました。

1. 研究の焦点を変え、少し違う視点からテーマに取り組んでみる。

2. それほど目立たなかった結果のうち、独立した一本の論文に展開できる可能性のあるものがないか見直してみる。

弊社の専門家も原稿を見直し、論文内では強調されていなかった二次的な結果を見つけました。著者も、その角度から見直してリサーチクエスチョンを修正し、追加の研究を行うことで発展させていけると言いました。もちろん、論文の大部分は書き直さなければなりません。

著者は数カ月かけてここまでやり遂げ、新しい論文を学会に提出しました。その後すぐに著者から連絡があり、論文が受理されて学会で発表することになったと伝えられました。
 

まとめ: ある研究テーマについて膨大な数のオンライン検索を行なってから研究を始め、その後で自分の研究テーマがすでに取り組まれたものであることがわかると、著者は大変気落ちするものです。研究テーマが発表済みでないことを絶対確実にする方法はありませんが、次のような段階を踏めば、徹底した文献レビューが実施できると考えられます。

1. 分野の専門家に連絡を取り、そのテーマが以前に研究されたものかどうか尋ねてみる。

2. サイテーション・インデックス(引用索引)を利用し、文献検索が徹底しているかどうか確かめる。引用索引は、ある論文がどのように引用されたかをたどる助けとなります。論文が引用された筋道をたどることができ、関連する論文をすべて見つけ出すことができます。

このような方法を利用してもなお、現存する研究論文と非常に似た研究であることが後から分かった時には、次のことを思い出してください。

1. 研究結果の改ざんは絶対に行わない。これは非常に非倫理的な行為で、深刻な結果をもたらす可能性があります。

2. 自分の研究を見限らない。もう一度、研究を慎重に見直し、発展させることができそうな研究の空白や、副次的な結果がないかを探してみましょう。

3. どうしてもうまくいかない場合は、そのプロジェクトをしばらく棚上げし、時間を置いて新たな視点で見直してみる。そうすれば、違う視点からその研究を見ることができ、別の方向に発展させる方法を思いつけるかもしれません。

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