臨床試験に対する倫理要件

臨床試験に対する倫理要件

国際医学雑誌編集者委員会(The International Committee of Medical Journal Editors;ICMJE)の定義によると、臨床試験とは、人間の被験者を介入群と統制群のどちらかにあらかじめ割り当て、医学的介入と健康に現れる結果との因果関係を研究することをいいます。米国医師会雑誌(the Journal of the American Medical Association)掲載の報告には、臨床試験を行う際に満たすべき7つの倫理要件が挙げられています。

 

(1)価値—研究は、健康を促進し、将来行われる研究の土台となる知識を生み出すものでなければならない。

(2)科学的妥当性—研究は、科学的に見て信頼でき、妥当で、再現可能性がある結果が得られるよう、方法論の上でも正確でなければならない。

(3)リスク‐ベネフィットのバランス—個人に対するベネフィットや、社会に与えられた知識に対するベネフィットが、研究に関連するリスクを上回っていることが非常に重要である。リスクが医学的ベネフィットを超えている場合は、臨床試験は認められないだろう

(4)第三者による独立した審査— 研究を審査・承認・修正し、終結させるのは、外部の個人でなければならない。

(5)被験者選択が公正であること—被験者の選択は研究の目的によって決まるのであって、バイアスに影響を受けてはならない。例えば、論理的根拠のなく、研究対象から女性を除外することは、非倫理的であるとみなされるだろう。

(6)インフォームド・コンセント—参加者は、研究の全体、つまり研究の目的、方法、リスク、ベネフィットを知った上で、自発的同意を書面に記述するべきである。    

(7)被験者の尊重—被験者の機密性は守られなければならない。例えば、被験者の名前、処置が行われた日や場所などの、個人情報や個人が特定できる情報は消去する。研究レポートで写真を使わなければならない時は、個人が特定できないよう修正する。さらに、研究の途中で気が変わり、参加をやめたくなったら、ペナルティなしでやめられるようにしなければならない。
 

リストの項目7-10は、研究の全体的な影響や価値に直接関係しないため、研究者に見逃されがちです。臨床試験が被験者選択における選択・除外基準を述べていない場合や、インフォームド・コンセントの書面にサインがない場合は、査読者あるいは倫理審査委員会のメンバーが警告を発することが非常に多いです。上で述べたガイドラインは、こうした場合に大変役立つでしょう。


余談ですが、上で述べた倫理ガイドラインを遵守するのとは別に、ICMJEは臨床試験をすべて登録するよう要請しています。

登録例は以下のリンクから入手できます。
www.anzctr.org.au(オーストラリア、ニュージーランド)
www.clinicaltrials.gov(米国)
www.ISRCTN.org,www.umin.ac.jp/ctr/index/htm(日本)
www.trialregister.nl(オランダ)
https://eudract.ema.europa.eu/(EU)

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