地球に蓄積された83億トンのプラスチックの末路

地球に蓄積された83億トンのプラスチックの末路

83億トンのプラスチックの塊をイメージしてみてください。環境問題の専門家たちは、プラスチックの使用削減を以前から訴え続けていますが、今回発表されたプラスチックの大量生産に関する新たな研究は、人類を本当の意味で目覚めさせるきっかけになるかもしれません。ジョージア大学、カリフォルニア大学サンタバーバラ校、海洋教育協会(Sea Education Association)の共同研究チームは世界で初めて、地球上でのプラスチック総生産量に関する分析を行いました。驚くべきことに、人類がこれまでに生産したプラスチックは83億トンにも上り、その多くはリサイクル不可であることが分かったのです。


Science Advances誌で発表されたこの研究では、プラスチックの使用と、将来的な廃棄物管理や生分解性についての調査も行われました。プラスチックの大量生産は

1950年代に始まって以来、拡大の一途をたどっています。分解不可能なこの合成物質の多くは、埋め立てられているか、海などの自然環境に廃棄されているのが現状です。


研究では、さまざまな産業から樹脂、繊維、その他の合成材料などに関する生産統計を集積。まずはプラスチックの生産量を定量的に把握することを目指し、それらを管理することを最終目標としています。この研究チームでは、海に廃棄されたプラスチック量を計算する論文を2015年にScience誌で発表していますが、2010年に海に廃棄されたプラスチックは実に8百万トンにも上りました。


しかし、私たちの生活からプラスチックを完全に除去することが解決策とは言えず、研究者たちもそのようなことを提唱しているわけではありません。重要なのは、生活のあらゆる面で、プラスチックの使用をより慎重に検討していくことです。プラスチックは、その耐久性と利便性から、欠くことのできない材料ですが、生産されてから数年後に、あるいは包装材などの場合は一瞬のうちに廃棄される材料でもあります。私たちはいよいよ、持続可能な材料の使用や、廃棄物の適切な管理方法について、真剣に考えていかなければならない時期に差し掛かっているのかもしれません。


DOI: 10.1126/sciadv.1700782

 

 

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