ノーベル賞に多少の変化は必要?

ノーベル賞に多少の変化は必要?

今年も、ノーベル賞受賞者が発表される時期になり、研究者は自分の専門分野が認められるかどうかわくわくして待っていることでしょう。それぞれの分野に与えた影響力に対して授与されるこの賞にふさわしい受賞者のみなさんに、お祝いの言葉を送ります。しかし、今や研究はより国際的、学際的になっているため、ノーベル賞のシステムは時代遅れで、何らかの変革が必要だと感じている人もいます。
 

ノーベル賞は、研究者なら誰もが目指したくなる、最高の賞です。世界一高名な賞で、人類の発展のため科学を促進するという崇高な目標に向かい、長年の努力を行った末の理想の頂点が、ノーベル賞なのです。


1895年、アルフレッド・ノーベルが遺言の中でノーベル賞設立を唱えた時、授与する分野は、物理学、化学、医学・生理学、文学、平和に決められていました。100年以上たったこんにちでも、賞の設立者が考えていた通りこれらの分野にノーベル賞が授与されています。1969年、ノーベル経済学賞が導入されたことだけが、授与分野での変化といえます。 
 

しかし、世界は変わってきています。科学も1895年から大きく変わりつつあります。20世紀の大部分で、研究者は専門化した分野やさらに特殊に専門化した分野を発展させてきました。そして今や、こうした特殊に専門化した分野が互いに独立しているのではなく、密接に関連しているということが明らかになっています。例えば、原子物理学と分子物理学は、物質の化学的特徴を究明する物理学です。物質の化学的特徴は、物質の生物学的活動を決定し、生物学的活動が、薬の中でその物質がどのように利用されるかを決めるのです。


科学上の偉大な発見の中には、学際的な協同により達成されたものもあります。ワトソン(物理学者)とクリック(生物学者)の協力によりDNAの構造が発見されたように。科学での大発見を目指す協同の現代の例としては、ヒトゲノム解析を目指す国際プロジェクトENCODEやヒッグス粒子の発見をもたらしたATLASプロジェクトがあります。これらのプロジェクトには非常に大きな国際チームが関与し、何十年も協力して活動していました。事実、ATLASの発見を記録した論文には、何ページにもわたって著者名が挙げられているのです! 
 

さて、質問に戻りましょう。科学と研究がこんなにもグローバルに変化しているこの時代に、ノーベル賞は時代遅れなのでしょうか?団体に授与が可能な平和賞を除いて、他の分野ではノーベル賞は個人だけに授与されます。さらに、各分野で最大3人までしか授与することができません。これはつまり、世界を変えるような発見につながる協同的な取り組みにとって、すべての貢献者がこのすばらしい栄誉を受け取ることができないということを意味します。 
 

おそらく、変革の時が来ているのでしょう。ノーベル賞がホットな議論の話題として上がっているように、学際的な研究にそぐわないという問題も、いくつか一流の国際的な新聞や雑誌で議論され、若干の変革が提案されています。ガーディアン(the Guardian)は、「宇宙生物学」のような新たに学際的な分類を、年ごとに導入・変更することを提案しています。サイエンティフィック・アメリカンでは、個人だけでなく団体も受賞できるようにする、受賞者の最大人数を増やす、といった提案がされています。
 

今後の進展がどんなものであっても、学際的研究という潮流が広く認められ、奨励されることは明らかです。何と言っても、アルフレッド・ノーベル自身が、化学者であると同時に、物理学者であり、エンジニアであり、発明家だったのですから!
 

ノーベル賞はいかに進化すべきか、ぜひ他の意見も聞きたいと思っています。ノーベル賞以外で、科学における世界的な影響力を賞し、報いる手段がありましたら教えてください。下の欄にどうぞコメントをお願いします。

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