関連文献のレビューを上手に進めるためのクイックガイド

関連文献のレビューを上手に進めるためのクイックガイド

関連文献のレビューはどのように行えばよいのか?というご質問をよく頂きます。それにお答えする前に、まずは「関連文献のレビュー」とは何かを理解しましょう。

 

関連文献のレビューとは?

 

簡単に言えば、関連文献のレビューとは、論文のトピックに関連する既存の文献を徹底的かつ詳細に分析することです。具体的には、既存文献の概念、方法、結果などが対象となります。関連文献のレビューを行うことで、その分野で何が行われてきたのたか、言及されている結論に至るためにどのような方法が採用されたのか、未解決の課題(ギャップ)や矛盾はないのかについて、概要をつかむことができます。ギャップの課題や矛盾があれば、そこからリサーチクエスチョンを立てることができます。

 

詳細な文献レビューに時間を費やす価値はあるのか?

 

答えはYESです。詳細な文献レビューには、次の3つの目的があります。

 

1. 研究に先立って、分野の課題や実施済の作業について理解していることを示すことができる。

2. 既存文献のギャップや矛盾を特定することで、課題ステートメントと研究目的を定めやすくなる。

3. 分野について読者(ジャーナル編集者、査読者、研究者)にあらかじめ知っておいてほしいことを要約することで、研究の流れを設定しやすくなる。

 

文献レビューの上手な進め方

 

レビューを始める前に

 

1. レビューをどのようにまとめるかを決める

文献レビューにはいくつかの方法があります。下の表は、よく使われる2つの方法の違いをまとめたものです。これを参考にして、あなたの原稿に最適な方法を選んでください。
 

時系列

テーマ別

刊行時期の古いものから順にリストアップする。関連文献を、テーマまたは理論的概念ごとにリストアップする。
一定期間における分野の発展を強調する。重要な問題/テーマ/視点を参照して、トピックに関する既存の知識を強調する。
例: 皮膚がんに焦点を当てた文献レビューで、まずは診断と治療の初期の方法を調べ、段階的に最近のモデルと治療に進む。

例: 皮膚がんに焦点を当てた文献レビューで、悪性黒色腫(メラノーマ)とそれ以外の皮膚がん、皮膚がんの原因としての日焼け、皮膚がんに対する10代の意識と態度、治療モデルに関する研究を挙げる。

 

 

2. 研究の背景と文献レビューの違いを理解する

研究の背景と文献レビューの違いについては、こちらの記事を参照してください:
インフォグラフィックス: 研究背景と文献レビューの6つの違い

 

3. 文献管理ソフトを活用する

Zoteroのような文献管理ツールで書誌データや関連資料を管理することもお勧めです。

 

実際のレビューと執筆

 

1. 関連文献を特定する
文献レビューを行うための第一歩は、レビューすべき文献を特定することです。この作業は、オンラインとオフラインのさまざまな情報源を通じて行いまます。資料を確認しながらメモを作成し、レビューで述べるべき主要概念を整理しましょう。関連文献を探すことは非常に重要な作業です。ターゲットを絞った検索、関連文献の引用文献の追跡、文献管理ソフトの活用も有益です。以下の記事も参考にしてください(英文):  Tips for effective literature searching and keeping up with new publications

 

2. 文献レビューをまとめる

イントロダクションや方法といった原稿の各セクションと同様に、文献レビューも原稿の重要な一要素です。レビュー論文は通常、次のように構成されます。
 

  • イントロダクション: 研究分野、選択したトピックの意義、文献レビューの焦点に関する情報を述べることで、読者に文脈を説明します。
  • 方法: 当たった情報源を選択した基準や、情報がどのような形で提示されていたかについて説明します。こうすることで、読者は研究へのアプローチを理解しやすくなります。
  • 本文: 関連するすべての文献をリストアップし、研究との関連性を説明します。構成は、時系列かテーマ別かといったアプローチによって異なります。時系列なら期間ごとに、テーマ別ならテーマごとに段落分けする構成が考えられます。
  • 考察と結論: 研究の主な成果についてまとめ、トピックと分野に関してレビューで提起された問題を論じます。また、レビューで明らかになった研究のギャップを提示し、将来の研究に対する提言を行います。
  • 参考文献リスト: 論文は一次資料に基づくものであるため、参考文献リストは文献レビューのきわめて重要な部分です。参考文献の情報は漏れなく記載し、必要に応じてページ番号やセクション情報も示します。

 

注:文献レビューを論文の一セクションとして書く場合、構成はジャーナルの要件によって異なります。単一の段落として書く場合は、イントロダクションや方法などの情報は、小見出しなしでまとめます。

 

おわりに

 

文献レビューは、独立した文書として書くこと場合も、論文の一部として書く場合もありますが、その基本は同じです。文献レビューは、若手研究者や多忙な科学者が分野の最新情報を把握し、未知の研究領域を見つけるのに役立ちます。

 

このテーマについての疑問・質問は、コメント欄またはQ&Aフォーラムからお問い合わせください。専門家がお答えいたします。

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