プレゼンテーションスキルを向上させるためのヒント7選

プレゼンテーションスキルを向上させるためのヒント7選

研究者にとって、学会などでの口頭発表は研究成果を公に発信するという意味で、論文出版と同様に重要なタスクの一つと言えます。したがって、研究者にとってプレゼンテーションスキルは必須のスキルであり、そのスキルが高いほど、より多くの人に研究を伝えることができます。研究の内容がより多くの人に伝わるほど、その情報を活用する人も増え、助成金の獲得や共同研究などの機会を得るチャンスも増えるでしょう。とはいえ、人前に立つとどうしても緊張してしまったり、伝えたいことがうまく整理できずに聴き手を混乱させてしまったりなど、プレゼンテーションに苦手意識を持つ研究者も多いのではないでしょうか。この記事では、プレゼンテーションスキルを向上させるために考慮すべき点をまとめ、聴き手に伝わりやすいプレゼンテーションを行うためのヒントを紹介します。


プレゼンテーションスキルを向上させるために考慮すべき点:


1. 聴衆

言うまでもなく、話す内容はプレゼンテーションを行う相手によって変える必要があります。聴衆が分野の専門家ばかりの場合は、基本的な情報は省き、より専門的な内容に重点を置くべきですし、非専門家に向けて発表する場合は、研究の背景をより重点的に話したり、専門用語にはその都度説明を加えたりする必要があるでしょう。


2. 発表時間

学会発表で与えられる時間は、20~30分である場合が一般的ですが、発表時間は必ず事前に確認するようにし、与えられた時間に応じて発表の構成を考えましょう。また、コミュニケーションのスペシャリストで、『It’s The Way You Say It(物は言いよう)』の著者であるキャロル・A・フレミング(Carol A. Fleming氏によると、1分間に話す最適なワード数は160ワード(英語の場合)と言われています。このデータを参考に、与えられた発表時間に合わせて話す内容を調整しましょう。


3. 第一印象が肝心

聴衆の興味を引けるかどうかは最初の10~20秒の間に決すると言われるほど、第一印象は重要です。まずは、堂々と、名前、所属、専門分野、発表題目などの自己紹介を行い、聴衆の信頼を掴みましょう。発表者が「誰」であるのかが伝わったあとに聴き手が関心を寄せるのは、その発表者が「なぜ」その研究を行い、その研究から「なに」が明らかになるのか、という点です。これらの要点を冒頭で共有することができれば、その後の内容も格段に伝わりやすくなるでしょう。


4. 論文とプレゼンテーションの違いを意識する

論文は「読まれる」ものですが、プレゼンテーションは「聴かれる」ものであることを意識しましょう。聴き手の集中力は、読む場合よりも持続時間が短いとされているので、簡潔明瞭な内容にまとめましょう。また、下を向いて原稿を読み上げるのではなく、聴き手とアイコンタクトをとり、ときには間をあけて聴き手が情報を咀嚼する時間を与えるなど、聴き手の生の反応を見ながら語りかけるように話しましょう。


5. ストーリーテリングの要素を組み込む

研究に関連する体験談やエピソードや具体例をプレゼンテーションに組み込むストーリーテリングは、聴き手の興味を持続させるために効果的な手法です。また、ストーリーテリングを始めるときは、導入として、「○○がなぜ××なのか、ご存知ですか?」や「△△についてどう思いますか?」といった質問を投げかけると、聴き手の興味をより一層引き付けやすくなるでしょう。


6. スライドの文字数

一般的なプレゼンテーションのスライド1当たりに含まれるワード数は40ワード程度ですが、Amazonのプレゼンテーションでは10枚のスライドも40ワードを越えることはないと言われています。アカデミックとビジネスのプレゼンテーションを同列に比較することはできませんが、プレゼンテーションのプロフェッショナルは、スライドのテキスト量が伝わりやすさを阻害するものであると考えていることが分かります。また、イメージが豊富なプレゼンテーションほど聴き手の感情を司る右脳を刺激するため、スライド内の文章は極力減らし(もちろん、文章をただ読み上げるようなこともしないように)、図表や画像などをうまく活用しましょう。どれほど立派なデータやロジックを用意していても、聴き手の感情を刺激して効果的に伝えることができなければ元も子もありません。


7. 質疑応答

発表後の質疑応答の時間は、発表で伝わりきらなかった内容や、カバーできなかった情報を伝えるためのチャンスなので、積極的な姿勢で臨みましょう。質問に答えられなくても焦る必要はありません。指摘された点を考慮していなかったことと、今後の検討課題にする旨を真摯に伝えるようにしましょう。

 

聴き手に言いたいことを効果的に伝えるプレゼンテーションスキルは一朝一夕で身に付くものではありません。場数を踏み、その都度聴き手の反応やフィードバックから学びながら試行錯誤することこそがプレゼンテーションスキルを向上させるための最善策と言えるでしょう。

以下の記事でも効果的なプレゼンテーションを行うためのヒントを紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください:

学会発表を成功させるための8箇条

研究者としての口頭コミュニケーション力を高めるには

スライド: 学会発表を成功させるための9つの心得

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