研究室の一匹狼として知った7つのメリット

研究室の一匹狼として知った7つのメリット

研究室と言えば、複数の研究者が忙しなく活動している場を想像するのではないでしょうか。でも、研究者が一人しかいない研究室もあります。あなたは、研究室でたった一人の研究者になりたいですか?

 

この記事では、私のように、実験科学の博士課程を研究室で唯一の研究者として過ごす生活について紹介します。たった一人で研究に取り組む研究生は、世界中に何人かはいるでしょう。この状況は、研究室の主宰者(PI)が何等かの理由で学生の募集を停止した場合に生じます。具体的には、PI自身は研究機関を退職したものの未完了のプロジェクトがある場合や、PIが別機関からの移籍中で一人の学生しか受け入れる余裕がない場合などが考えられます。

 

私は、博士課程での実験作業の多くを、研究室で唯一の研究者としてこなしてきました。最初は孤独でしたが、良い点に目を向けてみると気持ちがぐんと上向き、今では「研究室の孤独な学生」についての偏見を覆したいと思うようになりました。研究室でただ一人の学生であることが、複数の学生がいる場合と比べてラッキーだと思える7つの点を紹介しましょう。

 

  • 自分だけの静かな時間: 4~5人の研究者がいる一般的な研究室では、さまざまなルールや作業で集中を妨げられる場面が多々あります。頻繁なコーヒーブレイクの誘いもあるかもしれません。一人であれば気を散らされることがなく、仕事に集中できるので、生産的な一日を過ごしたという満足感を毎日得やすくなります。そのような職場環境からもたらされる安らぎと平穏は、かけがえのないものです。執筆や作業の邪魔をせず一人にしておいてほしいときに、デスクの上に「DND(Do Not Disturb=話しかけないで)」のサインを掲げて周囲に知らせる必要もありません。このような環境は、個人としての成長にも有意義です。自己評価、内省、人格形成に必要な時間と場が得られるからです。もちろん、あらゆる交流を奪われているわけではありません。同僚や先輩との交流はもちろん可能ですが、研究室ではただ一人の研究者として、気を散らす多くのことから逃れられます。
     
  • 自立した研究者になるためのOJT: 科学分野の大学院生は、同じ機関内の身近な研究室から実験プロトコルを探すことがよくあります。ただし、確実なプロトコルというものは存在しないので、どのような実験プロトコルを実行するにしても、それを標準化する責任は研究者にあります。4~5人の博士課程の学生とポスドク2人がいるような一般的な研究室であれば、プロトコルのトラブルシューティングについて相談できる先輩がいるので、標準化は比較的容易かもしれません。ただし、一人だとそうはいきません。プロトコルを取得し、読み込み、関連情報にアクセスするまで、「自助は最上の助け」ということわざを頼みにしなければなりません。かなり大変そうに思えますが、一人で学んでスキルを向上させることによって、そうでなければ見逃していたかもしれない本質的な部分まで理解でき、あらゆる意味で研究者として自立することにつながります。
     
  • ネットワーク作り: 研究室で一人だと、研究結果について議論する相手や、データを確認してもらう人がいません。そのため、コンフォートゾーンから抜け出して、他の研究室の先輩やポスドクとネットワークを築かざるを得ません。最初は上手くいかないこともあるかもしれませんが、「継続は力なり」です。ネットワークを築いておくことで、実験でのインフラの共用から、消耗品の貸し借りや査読まで、多くの点で助けが得られます。ネットワーク作りは重要なスキルであり、キャリアに大きなプラスになります。
     
  • 優先順位の付け方が分かる: 人の多い研究室では、社交性の高い学生は、日々の生産性を下げるほどおしゃべりにエネルギーと時間を費やすことがあります。会話好きな人が研究室で一人という状況に置かれると、おしゃべりを控えることで貴重なエネルギーがいかに節約できるかがよく分かります。もしあなたが社交家なら、一人ぼっちという環境をあえて選択することで、エネルギーの使い道を調整でき、よりスマートで生産的な研究者に変わっていけるでしょう。
     
  • スーパーバイザーを独り占めできる: 人数の多い研究室では、スーパーバイザーの指導が十分に得られないことや、博士課程の上級生やポスドクに指導が偏ってしまうことがあります。このような場合、博士課程の下級生は、ミーティングの時間をあらかじめ押さえておかない限り、スーパーバイザーと十分なコミュニケーションが取れません。コミュニケーションに溝が生まれると、モチベーションと研究の進捗にも影響します。コミュニケーションの溝は、研究室全体での定期ミーティングがあったとしても生じ得るので、1対1のミーティングが欠かせません。1対1のミーティングは、生産的で健全な関係の構築につながり、研究を順調に進めるために必要なものです。人数の多い研究室では、コミュニケーションの溝によって生まれるモチベーションの低下が、資金の歪んだ利用にもつながります。このような状況は、下級生の希望をくじき、フラストレーションを増幅させる可能性があり、悪循環です。すべての研究者に平等に指導を行えるPIもいますが、できない人もいるのです。その点、研究室でただ一人の学生なら、個別の指導やメンタリングを受けやすいでしょう。
     
  • 予算管理のスキルと財務センスが身に付く: 研究室でただ一人の研究者なら、プロジェクト予算を管理し、必要な材料を購入する責任を一身に負わなければなりません。そのためには、資金を有効活用するための綿密な計画を立て、消耗品の支出などの過不足を回避する必要があります。購入する材料の品質や在庫を上手に管理する方法として、価格の比較表を作成するのも良いでしょう。慣れてくれば、研究室での購買の位置づけが見えてきて、購入と配送の上手な技が身に付くかもしれません。また、組織内の関連部門だけでなく、企業や代理店の営業部門や技術部門とのつながりもできるので、ネットワークも生まれます。さまざまな利害関係者との間で生まれたつながりが、博士号取得後に産業界に進む場合に役立つこともあります。
     
  • 有害な職場文化に染まりにくい: 人数の多すぎる研究室や、資金が不足している研究室では、消耗品、研究費、PIとの時間をめぐる激しい争奪戦が起こりがちです。そのような研究室では、競争がストレスとなり、極端な場合にはメンタルヘルスの悪化につながることもあります。さらには、いじめという不幸な状況を生み、研究室の雰囲気が緊張感のある険悪なものになる可能性もあります。(もちろん、人の多いすべての研究室がそうなるわけではありません。ただ、競争の激しいところではその可能性が高まります。)一人なら、そのような状況とは無縁です。
     

以上が、「一匹狼の研究者」でいることのメリットです。研究室での作業は豊かな体験であり、多くを学ぶことができます。複数の研究者がいる研究室にも、一人しかいない研究室にも、それぞれの良さがあります。もし、一人ぼっちの研究者でいることに不安を感じているなら、ここで紹介したメリットがそれを和らげてくれるかもしれません。

皆さんの周りに、孤独な研究者として活動している人はいますか?その人たちは、ここで紹介した以外のメリットを感じているでしょうか?ぜひ聞いてみたいです!

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