責任著者の6つの役割(論文投稿前)

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責任著者の6つの役割(論文投稿前)

オーサーシップ(著者資格)を重視しない研究者はいません。著者として論文に名前が載るかどうかは、大きな問題だからです。論文出版はすべての研究者が避けて通れない道であり、学術界に身を投じるのであれば、誰もがその道を行くことになります。あなたがPIprincipal investigator、研究責任者)の下で研究活動をしているなら、自分が取得したデータをPIに渡すことになるはずです。PIは、あなたやほかの同僚たちのデータをまとめて1本の論文に仕上げます。論文に十分な貢献を果たした人の名前は論文著者として掲載され、PIを責任著者(コレスポンディング・オーサー)とした論文が出版されます。この責任著者になることを目標にしている研究者は少なくありません。出版された論文には、責任著者の名前にメールアドレスが添えられた小さなアイコンが付きます。これは大きな責任が伴うという印でもあり、いい加減に務められるような立場ではありません。この記事では、責任著者になることの意味と、論文投稿前の責任著者の役割について取り上げます。


論文の責任著者にふさわしいのは誰か?


これを理解するために、まずは国際医学編集者会議(ICMJE)が定義するオーサーシップの基準を見てみましょう。論文への貢献にはさまざまな形があります。著者資格があるのは、研究の構想やデザインおよび論文の執筆に著しい貢献を果たし、最終原稿の出版を承認した人です。責任著者の役割は昔から変わらず、ICMJEのオーサーシップ・ガイドラインでは以下のように定義されています:


「責任著者は、論文の投稿・査読・出版プロセスにおいて、ジャーナルとのコミュニケーションに主たる責任を負う人物である。責任著者は、オーサーシップの詳細情報の提供、倫理委員会の承認の取得、臨床試験登録書類や利益相反申告書の提出などの、ジャーナルの管理要件が適切に満たされていることを確認しなければならない。ただしこれらの責務は、1人または複数の共著者に委任することができる」


このように、責任著者は論文に著しい貢献を果たすだけでなく、さまざまな手順に従って出版プロセスを円滑に進める能力を持っていなくてはなりません。PIが責任著者を務めることが多いのは、PIが中心となって研究全体を率いていて、また、十分な出版経験を積んで投稿書類一式の内容を把握しているからです。複数の著者が関わる共同研究プロジェクトでは、それぞれの研究者がさまざまな情報を持ってきます。それらを論理的かつ包括的な論文としてまとめ上げるには、相応の労力とリーダーシップが必要なので、責任著者が果たす役割はきわめて重大です。このようなプロジェクトでは、責任著者はグループから指名されることが一般的であり、自薦で務めることは稀です。なお、単著論文の場合は、著者本人が責任著者になります。ここからは、責任著者の役割を見ていきましょう。


責任著者として果たすべき役割は?


責任著者は、出版の前後を含め、論文出版のあらゆる段階で重大な責任を負います。まずは、論文を投稿する前にすべきことを見ていきます。
 

  1. 進捗が期日に沿っているか確認する:論文に関連するあらゆるコミュニケーションを担う立場として、共著者の進捗を定期的に確認し、それぞれの役割が期日通りに果たせるようにしましょう。これは、共著者の所属先が異なっている場合はとくに重要です。たった1人の遅延が、論文の投稿日程の遅延を招きかねないからです。ただし、共著者のやり方に口を出すリーダーではなく、論文を出版するためのタイムキーパーあるいはコーディネーターとして振る舞いましょう。各著者の役割は、初期の段階で明確にしておき、合意を得ておく必要があります。
     
  2. 論文原稿を用意する:ジャーナルに投稿する原稿に不備がないことを確認しましょう。具体的には、IMRAD(イントロダクション、方法、結果、考察、結論)、タイトル、キーワード、アブストラクト、図表、引用箇所、参考文献リストを含めて、不備がないことを確認します。異なる役割を持つ複数著者による論文の場合は、各著者の貢献が適切に反映されていることを確認しましょう。また、別々の成果物を寄せ集めたようなまとまりのないものにならないように、論文に統一性があることを確認しましょう。
     
  3. 投稿書類一式を揃える:著者からそれぞれの受け持ち分を受け取ったら、ジャーナルに提出する投稿書類一式を揃えるのも責任著者の仕事です。まずは、ジャーナルの要件(同意書、関連委員会からの倫理承諾書など)をリスト化しましょう。ジャーナルの指示に従って論文を仕上げ、投稿時には必要なすべての書類が揃っている状態にしましょう。なお、研究によっては、被験者のインフォームド・コンセント倫理委員会の承認は、研究開始前に取得しなければなりません。これらの書類を欠いた論文は受け取りを拒否されることがあるので、責任著者は、こうした手順を前もって十分に理解し、投稿時にすべての書類が確実に揃っている状態にしておかなければなりません。
     
  4. 各著者の情報が正確かどうかを確認する:論文にすべての著者名が正確に書かれていることと、著者名の順番が正確であることを確認しましょう。著者名の順番は、後でトラブルが発生しないように、すべての著者と話し合って決定しましょう。この話し合いは、論文の執筆開始前の初期段階に行うのが一般的です。各著者のメールアドレスや所属先が、最新の正確な情報かどうかも確認しましょう。すべての著者からオーサーシップの詳細に関する署名入りの同意書を貰い、ほかの投稿書類と一緒にジャーナルに提出します。複数著者による論文の場合は、各著者が論文に果たした役割を示す、著者の貢献度に関する申告書の提出を求めるジャーナルもあります。この申告書では、すべての著者による同意と署名が必要です。責任著者として、必要事項を記入してジャーナルに提出しましょう。
     
  5. 倫理的慣行が順守されていることを確認する:責任著者は、論文が倫理的に作成され投稿されていることを保証する責任を負っています。責任著者(および共著者)は、サラミ法剽窃・自己剽窃連続投稿・二重出版データの改ざん・捏造などの、いかなる不正行為にも手を染めてはなりません。これは重要な責務であり、すべての著者が最善の倫理的慣行を順守するよう働きかける必要があります。
     
  6. オープンアクセスに関する手続きをリードする:共著者とともにオープンアクセス出版を選んだら、責任著者は、論文掲載料(APC)の支払いの管理、助成団体や所属機関の要件を満たしていることの確認、論文のリポジトリへの登録(必要に応じて)など、オープンアクセスに関するすべての手続きを先頭に立って処理する必要があります。


以上が、論文投稿前の責任著者の大まかな役割です。記事の後半では、論文投稿後の役割について取り上げます。


記事後半:What corresponding authors are expected to do after journal submission


参考資料:


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