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2013年ノーベル生理学・医学賞受賞おめでとうございます!
2013年ノーベル生理学・医学賞を受賞したのは、細胞が輸送システムをどのように組織しているかという謎を解決したジェームス・E・ロスマン氏、ランディ・シェクマン氏、トーマス・スードフ氏です。研究知見は、糖尿病などの病気治療での実用化につながる可能性があります。
イェール大学のロスマン博士は、細胞の輸送システムの性質に興味を持ち、細胞内の輸送機関の重要な構成要素の位置を明らかにしました。カリフォルニア大学バークリー校のシェクマン博士は、細胞がその輸送システムをどのように作るかに興味を持ち、モデルシステムとしてパン酵母を使いました。スタンフォード大学のスードフ博士は、神経細胞が脳でどのように伝達物質をやり取りするか、時間精度をいかに得ているかを研究しました。
ここで雑学的知識を。シェクマン博士とスードフ博士は、ハワード・ヒューズ医療研究所にいたとき、それぞれ別のノーベル章受賞者のもとで研究していたことがあります。
今までにノーベル生理学・医学賞は103回授与され、そのうち男性は201名、女性は103名です。始めて授与されたのは1901年、ドイツの生理学者エミール・アドルフ・フォン・ベーリング氏で、血清療法とジフテリア・ワクチンの開発に対してでした。
2011年は、アメリカのブルース・ボイトラー氏とフランスのジュール・A・ホフマン氏が、「自然免疫の活性化に関する発見」により、カナダのラルフ・M・スタインマン氏が「樹状細胞と獲得免疫におけるその役割の発見」により、受賞し、2012年は、イギリスのジョン・B・ガードン卿と日本の山中伸弥氏が、「成熟細胞が多能性をもつ状態に初期化できることの発見」により受賞しました。
ノーベル賞は、生理学・医学の様々な分野に授与されてきました。1901年から2011年までの間、Gタンパク質とセカンド・メッセンジャーによるシグナル伝達の分野への寄与が理由の受賞は8回、神経生理学では13回、中間代謝の分野では13回です。個人だけに授与されたのは38回、2名での共同受賞は32回、3名(認められている最大人数)での共同受賞は33回でした。4名以上への授与は認められていないこと、ここ半世紀は共同研究への流れが高まってきていることから、受賞の資格がある研究がノミネートから外れることに対し、最近は議論が多くなされています。
けれども、ノーベル賞が今でも最も名誉な賞だということは、つまり、国際的な科学コミュニティが賞の決定の多くに賛同しているという意味です。こうしたことを考え合わせると、生理学・医学へのノーベル賞が、数多くの重要な発見に光を当ててきたことを否定はできません。
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