剽窃の罠に落ちないための6つのヒント

剽窃の罠に落ちないための6つのヒント

あなたが開発した新技術を、ほかの誰かがあなたの名前にも論文にも触れずに別の論文で論じていたら、きっと怒りやショックを感じることでしょう。このような行為は、アイデアを無断で使用した、つまり盗んだとみなされ、剽窃と呼ばれます。剽窃は、アイデアだけでなく文章や図表にも適用されます。

 

論文を出版してキャリアを発展させたいという思いが高じ、プレッシャーに耐え切れなくなって剽窃行為に手を出してしまう研究者がいます。しかし、ひとたび剽窃行為が露見すれば、それまで積み上げてきたキャリアと信用は一瞬にして消えてしまいます。「キャリアのため」と思ってしたことが、逆にキャリアを潰す結果となってしまうのです。また、どのような行為が剽窃に当たるのかを理解していないために、無自覚に剽窃行為を行なってしまうケースもあります。いずれにしても、良くない結果を招くことに変わりはありません。

 

IT技術の発展に伴い、剽窃チェック機能は向上しています。また、論文のオンライン化が進み、剽窃の検出は容易になっています。非倫理的な行為である剽窃は、そもそも絶対に避けるべきですが、「発見される可能性が高い」という意味でも、失うものの大きさを考えれば、そもそも割に合わない行為と言えるでしょう。

 

この記事では、剽窃の種類を把握した上で、剽窃を回避するためのヒントを紹介します。

 

剽窃の種類

 

非倫理的な行為とされるのは、人の文章やアイデアを借りることではありません。科学とは、先人の研究成果の上に新たな知見を積み上げていく行為なので、ほかの誰かの業績をまったく使用しない研究というものはあり得ません。だからこそ、土台になった情報の「素性」とも言うべきものをはっきりさせることが重要になってきます。つまり、許可を得ないまま、あるいはソースを明示せずに情報を勝手に使ってしまう行為が非倫理的とされるのです。

 

剽窃は、おおまかに次のように分類できます。

 

  • 出典の明示に関するもの

自分の著作物も対象です。自分の著作物を出典として明記しなかった場合は、自己盗用とみなされてしまいます。

 

  • 剽窃の分量・程度

元のテキストを一字一句そのままコピーして使用するケースや、部分部分のコピーを論文全体に散在させて「モザイク」のようにするケースがあります。

 

  • コンテンツの種類

画像、イラスト、図表、ほかの研究者が開発した方程式など。

 

  • 意図的(故意)か無意識(故意ではない)か

他人の研究デザインやアナロジーをコピーした場合は概して「故意」とみなされ、引用符が抜けていたりパラフレーズが不十分だったりした場合は「故意ではない」とみなされます。

 

剽窃を回避するためのヒント

 

剽窃を回避するには、いくつかの方法があります。

 

1. 執筆と修正に十分な時間を取る

 

剽窃に手を出してしまうのは、一から文章を書くよりもコピー&ペーストした方が速いからです。自力で書くことは、難しく、時間もかかります。しかし、剽窃を疑われれば、それまでの時間を失うに等しい状況に陥ります。メモを作成するときにも自分の言葉を使うようにするなど、念には念を入れましょう。原稿を書くときは、元の資料ではなく自分のメモを見るようにすると安全です。

 

2. 引用元を引用符で明示する

 

引用を行なったら、引用であることを明確にするために、引用元を記すだけでなく、引用文そのものを引用符で囲みましょう。この方法を使うときは、一字一句が正確に再現されていることを確認してください。句読点、フォント(斜体など)も忠実に再現します。以下の例のように、アメリカ英語とイギリス英語で違いがある場合は綴りにもとくに注意しましょう。

例paediatric(英)/pediatric(米):小児科の、leukaemia(英)/leukemia(米):白血病

 

3. 自分の言葉で言い換えた上で、出典を明記する

 

出典を明記した上で、他人のアイデアを自分の言葉で適切に言い換えて使用することは盗用には当たりません。言い換えをするときは、元の文章が目に入らないようにするとよいでしょう。目に入ると、ついついオリジナルに気を取られ、別の単語や言い回しを考えにくくなるからです。ポイントは、言い換える際にオリジナルの意味が歪められないようにすることです。

 

4. 優れた文章を幅広く読む

 

幅広いトピックの文章を読んで、語彙を増やすことを意識しましょう。文章の質に定評のある著者の作品を読むこともおすすめです。優れた文章に触れることで、さまざまな構成や文構造を知るのに役立ちますし、豊富な語彙が身に付けば、言い換えもスムーズにできるようになります。言葉を使いこなすのは簡単なことではないので、日頃から論文以外にも幅広い文章を読む習慣を身に付けるとよいでしょう。

 

5. 引用元を正確に記載する

 

ソースの引用は、剽窃を回避する際の基本であり、もっとも簡単な方法です。引用元を記載する際は、情報の正確性に注意しましょう。資料の検索は以前より容易になりましたが、その分、コピーや転記の際の間違いが生まれやすくなっています。引用箇所と参考文献を、必ずクロスチェックしましょう。

 

6. 剽窃チェックを行う

 

文章の言い換えに自信がない場合は、剽窃チェックサービスを利用するのも良い方法です。剽窃と見なされる箇所がないかどうかを確認することで、万が一そのような箇所があっても、投稿前に適切に対処することができます。ハイクオリティな英文校正を提供するエディテージのトップジャーナル英文校正サービスなら、365日間回数無制限の剽窃チェックのオプションが含まれています。


 

剽窃は、研究キャリアを危険にさらす非倫理的な行為です。安易に近道を行こうとせず、着実な道を進みましょう。最終的に実を結ぶのは、遠回りに思えても、正直で誠実な取り組みです。

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